【6月号誌面からWEB掲載】コロナに負けない! 新型コロナウイルス感染対策としての在宅勤務のポイントと今後の展望
日本テレワーク協会 専務理事 田宮一夫 氏 、ダンクソフト 代表取締役 星野晃一郎 氏

人事実務

人事実務 2020年6月号

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅勤務に対する関心が急速に高まっている。社員の命と健康を守るため、また、緊急事態宣言の発令や行政からの協力要請も踏まえ、すでに在宅勤務に取り組んでいる企業も多い。しかしその一方で、今回の事態に直面するまで「在宅勤務なんてうちには関係ない」ととらえていた企業も多く、とくに中小企業では、進め方に悩む経営者・人事担当者も少なくないようだ。
また、事態が収束した後の“ポスト・コロナ”に目を向けると、せっかくの経験を活かさず、元の働き方に戻ってしまってはもったいない。緊急措置としての在宅勤務から恒常的なテレワークへと進化させるには、何が必要だろうか。
本誌では、4月初旬に一般社団法人日本テレワーク協会専務理事の田宮一夫氏と株式会社ダンクソフト代表取締役の星野晃一郎氏にオンライン取材を行い、その概要を「緊急リポート」として5月号に掲載したが、ゴールデンウィーク直前の4月28日、改めてお二人に現在の企業の状況、テレワークを進めるうえでの課題、今後向かうべき方向性について話し合っていただいた。

 

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PROFILE
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田宮一夫(たみや・かずお)
1986年 富士ゼロックス(株)入社。富士ゼロックスでは18年間の法人営業・営業マネージメントを経験の後、国内販売部門の事業計画・マーケティングを担当。特にチャネルビジネス戦略、地域統轄会社の設立に従事。また外部企業M&A による新会社設立を担当、新会社執行役員管理本部長として、総務・人事・経理・情報システム、事業計画・業務プロセス改革を担当する。2019年6月から一般社団法人日本テレワーク協会 専務理事。

星野晃一郎(ほしの・こういちろう)
株式会社ダンクソフトCEOインターミディエイター。1956年 東京都出身。「インターミディエイター」として、ワークライフバランス、ダイバーシティなどにフォーカスした、テレワーク、サテライトオフィスといった先進的なワークスタイルの実践に取り組んでおり、経産省の「ダイバーシティ100選」「中小企業 攻めのIT 経営100選」総務省「テレワーク先駆者100選」の受賞など、5年連続 10受賞 各方面で高い評価を得ている。

 
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企業の現状
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田宮:日本テレワーク協会には、4月以降、中小企業などからの問合わせが急増しています。助成金(経済産業省、厚生労働省など)や、在宅勤務をするためのIT(セキュリティ、クラウドなど)に関する内容が中心です。電話での問合せは、以前は1日20〜30件でしたが、非常事態宣言が出された4月7日の前後くらいから、着信できているだけでも400件、つながらなかったものを含めると4000〜5000件はきています。外部にコールセンターを設けて対応していますが、かなりの数に上ります。ホームページへのアクセス件数も激増し、一時はサーバがダウンしたほどです。
 ただ、企業はこれまで、何の準備もしてこなかったわけではありません。本年開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都では2017年から「テレワーク・デイズ」というイベントを行っており、昨年夏には約3000の企業・団体、68万人の方が参加しました。テレワークで仕事をする練習を平常時にしていたわけです。そしてそのすぐ後、台風15号、19号により東京で約220万人が通勤困難となるなか、いわゆる「台風テレワーク」など改めてテレワークの必要性について警鐘が鳴らされました。
 テレワークは、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務に分けられますが、現在は、人と人との接触を避けるため、在宅勤務に限った形での運用が拡大しています。資生堂、電通、NECなど、テレワークの実践を積んでいた大企業は、早い段階から数千人単位で在宅勤務を開始しました。一方、中小企業は、3月までは「そうはいっても、うちの事業で在宅勤務は難しい」という雰囲気がありました。しかし、いよいよ緊急事態宣言が出され、行政からのメッセージの発信が日に日に強まるなか、「やらざるを得ない」という方向に変わってきました。日本はロックダウンではなく、もう少し軽いレベルで「3密」を避ける方針ですので、企業の対応も、在宅でできる業務を担当している人は在宅勤務に移行し、そうでない人は、周りが在宅勤務をすることで3密を避けた環境で仕事をしたり、時差出勤をしています。 

 最近の調査をみると、東京都では在宅勤務の実施率はこの3〜4月で4〜5割にまで増えました。しかし、日本全体では25〜26%にとどまり、残りの7割5分は移行できていません(図表1)。もちろん、在宅勤務を行っていない企業も、何もしていないわけではなく、大手は8割、中小企業を入れても6割くらいは、時差通勤をしたり社内の会議を中止したりと、できる範囲のアクションはとっています。

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テレワークが進まない理由
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田宮:中小企業では、在宅勤務が難しい業務があり、そこをどう判断するか悩んでいる企業が多いです。冗談でよくいわれるのが、ハンコを押すために会社に行くという話(笑)。

星野:冗談ではないですよ(笑)。日本ではそこが一番大変です。

田宮:日本は、申請をして、認め印を押して、次のステップに進む文化ですからね。社内の業務であれば、経営判断で、電子承認にする、クラウド上のサインで代用する、決裁権限を下に下ろすなど、承認プロセスを見直すとよいでしょう。問題は会社をまたぐ取引です。とくに行政を相手にしている企業は大変ですが、手続きの電子化や簡素化を進めてもらうなど、やりようはあると思います。
 書類の捺印と併せてよくいわれるのが、郵便物です。ある社長は、郵便物を受け取るために出社しているそうです(笑)。

星野:僕も聞いたことがあります。結局、自宅に転送するようにした会社もあるようですが。

田宮:私のところもそうですが、郵便で受け取らないといけないものや、受け取る場所を指定されている場合があります。しかし、オフィスワーカーが「会社に行かないと仕事ができない」という問題の多くは、ペーパーレス化、電子化、クラウド化、電子承認で解決できると思います。いまは、テレワークを支援するツールがいろいろ出ています。クラウド上で捺印できるソリューションもありますし、社員が立て替えた経費の精算も、自宅で領収書を写真に撮ってクラウド上に格納して処理するシステムなどがあります。

 
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緊急的な在宅勤務の留意点
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田宮:テレワークを導入する際には、厚生労働省のガイドラインが参考になります(図表2)。平時であれば、このガイドラインを参考に、労務管理、執務環境、IT・情報システム、業務プロセスなどを多面的に検討し、ルール化することをお勧めします。ところが、いまは、十分に準備する間もなく、否応なしに在宅勤務を求められてしまっている。そうすると優先順位を決めないといけないわけですが、とくに大事なのは労務とITです。後から変更してもよいので、この2つについては、なるべく早いタイミングで簡易的なルールを作り、社員に周知してください。

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・労務管理について
田宮:まず総合的な話として、テレワーク勤務規程の作成が大切です。労務管理の面では、社員が会社から離れた場所で仕事をしますので、タイムレコーダーの代わりに、始業と終業を通知する仕組みなりフローを入れる必要があります。シンプルな仕組みとしては「今日は8時から17時まで働きます」「こういう内容で仕事します」などと上司や職場の人にメールしてもらい、仕事を終えた際にも、「17時の予定でしたが、16時半で終了しました」などとメールで報告し、勤怠の履歴を残す方法が考えられます。 

星野:労働基準法をはじめとする日本のルールは、基本的に働く人の側に立っていますので、「現場で適当にやっておいてね」ではまずいですよね。会社と従業員が揉めたら大体会社が負けますので、気をつけたほうがいいでしょう。田宮さんがいうように、始終業時刻をメールで報告するようにすれば、証拠が残ります。私の知合いの会社は、最初、電話で報告をさせていましたが、それでは証拠が残りません。 

田宮:日本テレワーク協会は人数が多いわけではないので、毎日全員に一斉メールを出してもらい、各人の予定と実績を皆で共有しています(図表3)。そして、業務終了時の報告メールを見て、必要があればテレビ会議などで支援します。いまは一時中断していますが、週1回進捗確認ミーティングもしていました。これに近いことをツールでやりたいという会社は多いです。 

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 それから、育児や介護をしていると中抜けが発生するので、その場合にどうするかも決めておく必要があります。また、前回(本誌5月号参照)でもお話ししましたが、在宅勤務をすると、手を抜くよりも、働きすぎてしまうことが往々にしてあります。子どもが寝静まってから深夜に仕事をしようとする人もいますので、深夜業や休日出勤の原則禁止、必要な場合の事前申請などの決め事といったことも事前に周知するとよいでしょう。残業の事前申請制など長時間労働対策も必要です(図表4)。時間外や深夜、土日にメールで業務指示を出さない、深夜や土日はクラウドにアクセス制限をかける、といったことが考えられます。 

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 なお、通常の労働時間制度ではなく、裁量労働制などを導入してみなし勤務にしたいと考える経営者・人事担当者もいらっしゃるかもしれませんが、そのためには法律の要件を満たす必要があります(図表5)。また、仮にその人が時間管理の対象外だとしても、経営者には、社員の健康維持の観点から、適正な労働時間管理を行う義務があります。それができていないと、労災が発生したときなどに「ブラック企業」のレッテルを貼られてしまいます。 

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・IT(情報システム)について
田宮:ITについては、セキュリティにかかわる決め事を会社でもう一度確認・点検していただくことをお勧めします。チャットツールやWEB会議システムで、オフィス勤務に近いコミュニケーションは確保することが可能ですが、ツールや機材が必要になります。会社が専用のモバイルPCを提供できればよいですが、機材を提供できない場合、自宅のPCで会社のサーバにアクセスさせるのか、リモートアクセスのアプリやデバイスは私物を使わせてよいのかといったことについて取決めが必要です。いまは、媒体として個人のPCを使っても会社のデスクトップが立ち上がる「リモートデスクトップツール」など、便利なツールがあります。私も使ったことがありますが、自宅のPCにUSBを差し込むだけで、会社のPCを操作することができ、セキュリティも担保してくれます。

星野:セキュリティは、緊急措置としての在宅勤務から恒常的なテレワークに移行するうえでも重要ですね。在宅勤務であれば、家庭のなかなので、ある程度、セキュリティは守られます。横から他人に覗かれることもないし、大きな声で話してもだれかに聞かれる心配はありません。しかし、サテライトオフィスやシェアオフィス、モバイルワークの場合、周りの人に情報が漏れないかを意識しないといけません。

田宮:一昔前に、PCを閉じたらデータが端末に残らないシンクライアント型PCが注目されましたが、そういうふうにクラウドから自分のPCに勝手にデータを移せない仕組みが広まっていくかもしれませんね。

・電気代や通信費などの取扱い
田宮:緊急で在宅勤務を始める場合、さまざまな課題が生じます(図表6)。ルール化するうえでとくに重要なのは、いまお話ししたとおり、労務とITですが、実は、一番揉めるのは、家で仕事をするときの電気代や通信費です。手当を支給する企業もありますね。

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星野:ダンクソフトは、4月から全社員が在宅勤務に移行し、それに伴ない在宅勤務手当を支給しています。通勤費がなくなった分というと変ですが、一律1人1万円支給し、通信費など諸々の経費に充ててもらっています。同様の手当を出している会社も、月5000〜1万円のところが多いのではないでしょうか。期間についても、世の中の状況をみて判断していきますが、とりあえず、少なくとも6月いっぱいまでは在宅かなと考えています。在宅勤務は以前からやっていましたので、不都合は生じていません。

田宮:会社に出てきていれば会社の支給品を使えますが、在宅勤務が続くと、いろいろな出費が発生します。だから、それを1つずつ定義するのではなく、星野さんの会社のようにざっくりと在宅勤務の手当として渡し、そのなかで光熱費やインターネット回線、自宅のプリンタの紙代・インク代などを賄ってもらうというのは、よいやり方ですね。

 
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テレワークを成功させる秘訣
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・社員との信頼関係

星野:当社は2008年に在宅勤務を本格スタートしましたが、これまでの経験を通じて感じるのは、やはり社員との信頼関係が重要だということです。いま、世界中が疑心暗鬼になっていますが、信頼できる人たちとのコミュニケーションのレベルを上げていくことを意識する、大事なタイミングなのではないでしょうか。 
 いまはどんな仕事もそうなってきていますが、成果が目に見える時代ではありません。要は、クリエイティビティを上げることが求められているわけです。それを行うのは一人ひとりの頭の中なので、例えば、副業をしている人が、就業時間中に頭のなかで別のことを考えていても、防ぎようがありません。そうすると、会社はもう、働いている人のことを全面的に信頼し、互いに信頼関係が結べる風土を作らないかぎり、絶対にうまくいかないと思います。だから当社は、できるだけ働きやすい環境を作ろうと、他社に先がけていろいろ取り組んできました(図表7)。

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田宮:性悪説に立つと、パソコンがちゃんと1日起動していたかを確認するために、一定時間ごとにパソコンの画面を自動的にキャプチャーしてマネジャーに送るといったこともできますが、少し行き過ぎですよね。人間関係がギスギスしてしまいます。

星野:それこそマウスが動いているかを遠隔でチェックするツールなどもありますが、監視の強化でよいことは何もないと思っています。疑おうとするのではなく、仲良くやれるほうを選ぶことが大事です。

・遠隔でのコミュニケーション
星野:当社では、テレビ会議システムを24時間365日、開きっぱなしにしていて、そのバーチャルな会議室に参加することを「出社」と呼んでいます。地方で働く人が多かったので、彼らが寂しくないように、離れていても常に互いの顔が見られるようにしたのが始まりです。フロアが分かれていたり、ほとんど会ったことがない社員がいる大企業よりよほどコミュニケーションのレベルは高いと思います。

田宮:1日、2日の在宅勤務ならよいですが、期間が長くなると、コミュニケーションや心のケアが重要になります。例えば、テレビ会議で毎週定例ミーティングをするとか、あるいは、グループチャット等でわからないことをすぐに質問したり、あるいは雑談できる環境を整えるといった工夫が大事です。

星野:ちなみに、オンラインでやり取りする際には、大きくうなずいたり、最後に手を振るなど、少しオーバーアクションなくらいのほうがいいですね。動きがないと、通信障害があってもわかりませんから。動作だけでなく、声を出すとより伝わりやすいです。
 あと、慣れないと感覚をつかみにくいですが、通信が途切れるときは、音声が完全に切れるのではなく、少し遅れてくることが多いのです。相手の声が聞き取れないと、「えっ?」などと聞き返してしまいがちですが、その間に音が飛んできてしまうことがあります。そこは意識したほうがよいと思います。月曜日の朝は、全体的に遅れる傾向がありますね。

田宮:多分、トラフィック(通信回線において、一定時間内にネットワーク上で転送されるデータ量)の関係でしょう。月曜日の朝は、東京の至るところでテレビ会議をしていますから。福岡在住の部下とテレビ会議をすると、福岡→東京はリアルタイムに音声が届きますが、東京→福岡は少し遅れることがあります。

星野:機材については、会議用のスピーカーが重要です。当社では、音声を圧縮して送ることで聞き取りやすく、ハウリングも防止する機能を備えたスピーカーを使っています。結局、大事なのは声なんです。声が伝われば、画面は切ってしまってもいい。ここに一番お金をかけるべきです。それと、WEBカメラもあるとよいと思います。ノートパソコンに内蔵されたカメラだと、目の前にカメラがくるので、相手にプレッシャーを与えてしまいます。別のカメラを用意して斜め上から写すと、相手に圧迫感を与えませんし、ものを映したいときなどにも便利です。

 
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仕事のあり方、働き方が変わる
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田宮:おそらく現在の状況を乗り越えたとき、仕事のあり方、業務の進め方は大きく変わり、「えっ、まだ通勤しているの?」という文化になっていくと思います。これまでは対面で営業や打ち合わせをするのが普通でしたが、今回の経験を経て、離れた場所にいる人たちがテレビ会議でコミュニケーションを取るとか、クラウドのなかに共通でアクセスできるワークフローを設けたり、業務システムを使って遠隔でコラボレーションしながら1つの仕事を進めるといったことがあたり前になっていくでしょう。すべての仕事がそうなるわけではありませんが、テレワークや、オンラインで共同作業をする仕事の仕方は、減ることはありません。

星野:オフィスがなくなるという話もありますよね。

田宮:僕が知っている社長の会社は、すでにオフィスがないですよ。朝、皆がWEB上の会議室に「おはようございます」と入ってきて、朝礼をした後は各々の仕事をする。そして随時チャットでコミュニケーションを取ります。ここまで徹底するのは先進的な一部の企業くらいでしょうが、皆が出社して働く風土・文化には少しずつ変化が起きていくはずです。

星野:近年のゲームに慣れている若い世代は柔軟です。実は、ゲームの世界には、テレワークに必要なことが全部そろっているんです。遠隔でコミュニケーションを取って連携しながら敵を倒すなど、離れた人とコラボレーションをしながら共同作業をするシミュレーションを彼らはできています。だから、高校生をみていると、経験がない子でもテレワークを覚えるのが早いですよ。

田宮:このコロナを起点に、仕事のあり方、やり方、進め方、そして、人とのかかわり方、コミュニケーションの取り方が変わっていき、その先に新たな広がりが間違いなくあります。例えば、いままで“ドアノック”で営業をしていた営業職が、企画書をしっかり練り、いただいた時間を使ってWEBで提案するようになる。そうすると65歳や70歳、75歳になっても働きやすくなりますね。通勤が不要になりますので。

星野:そう!日本はいま、労働人口が減少していくという課題を抱えていますが、そういう働き方であれば、女性もシニアも働けます。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、緊急でこのようなことになりましたが、見方を変えると、「間に合った」ともいえると思っています。日本はオリンピック・パラリンピックに向けて準備を始めていたのがラッキーでした。

 
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まず労務とIT の取決めを明確に
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田宮:今日は、在宅勤務・テレワークをするうえでの留意点としてさまざまなお話をさせていただきましたが、ここであげたことが全部そろわないと在宅勤務はできないということではありません。まずは始めていただき、運用するなかでいろいろ問題が出てきますので、それをつど、迅速に意思決定していってください。最低限必要なのは、労務とITについて基本的な取決めをし、明文化して通知すること。そのうえで、「ここは見直したほうがいい」というところが出てくれば、臨機応変に対応していけばよいのです。会社の業態や、いまある人事制度をガラッと変える必要はありません。テレワークありきでそこにすべてのルールを合わせるのではなく、いまあるものに対して、テレワークを導入するために何をどう変更し、追加していくかという考え方です。会社ごとに違いがあってよいと思います。できるところから取り組んでいきましょう。

星野:先ほども言いましたが、一番大事なのは信頼関係です。企業もそうですし、地域コミュニティなども同じでしょう。信頼できる人を周りに増やしていくことを意識してください。
 また、今回やってみてわかったのですが、大手のプロバイダ・回線業者でも、利用者が急増したことで、意外とバーチャルのネットワークがうまく動かなくなるケースがあります。世界中が初めてのことに対応していますので、いろいろなことが起きます。初めての経験ですので、正解はありません。しかし、明らかにわかっているのは、何か変えていかないといけないということです。ヒントの1つは、インターネットをうまく活用すること。そこに意識を向けて、チャレンジしていくしかありません。それを1社だけでやるのではなく、知恵を集めて、次のステップとして何ができるのかを一緒に考えていきたいですね。年齢も性別も関係ありません。一気に共同学習の時代が来たなという印象です。いろいろなものを経験し、その経験を皆でシェアして、よりよい方向に進むためにチャレンジしていきましょう。

(文 崎原誠/4月28日オンライン取材にて)

 
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(公開日:2020年6月19日)



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