新型コロナウイルスの影響にかかわらず、外来患者数は減少していく
株式会社CBメディカル 小林大介

医事業務

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記事の内容およびデータは掲載当時のものです。

こんにちは。
医療介護経営支援を行うCBメディカルの小林です。

 
新型コロナウイルスの影響で外来患者数が減少している病院が多いのではないでしょうか。
第2波、第3波と続く中で、いつまでこの状況が続くのか不透明です。
新型コロナウイルスの影響が落ち着けば、外来患者数は戻るのかというと、そう楽観視もできません。
大局的な視点で見ても、外来患者は減少傾向となる見込みだからです。

 

外来患者が減少傾向となる理由は、外来患者の年齢構成比をみると分かりやすくなります。
グラフ1をみると、65歳未満の患者数と65歳以上の患者数は、ほぼ半々の比率であることが分かります。

 

グラフ1

出典:平成29年患者調査をもとに作成

ちなみに入院患者の年齢構成比は、65歳以上の方が多く、約4分の3を65歳以上が占めています(グラフ2)。

 

グラフ2

出典:平成29年患者調査をもとに作成

これまでのメルマガでもお伝えしてきたように、これからは「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に局面が変化します。

 

入院と外来で比べると、現役世代の急減の影響を強く受けるのは外来になります。
グラフ3は、将来の年齢別人口推計を踏まえて、外来患者数がどのように変化するのかをシミュレーションしたものになります。

 

65歳未満の外来患者数は一貫して減少していくことが分かります。
65歳以上の外来患者数は緩やかな増加傾向ですが、65歳未満の外来患者数の減少を補うほどの増加ではありません。
結果として、将来的に外来患者数は減少傾向に向かうと考えられます。

 

グラフ3

出典:平成29年患者調査と国立社会保障・人口問題研究所 日本地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)をもとに独自に集計。

2015年を基準として、将来の外来患者の増減率を示しました(グラフ4)。
2020年は、2015年から2ポイント増加していますが、2025年は2020年から0.4ポイントの増加にとどまり、その後は減少していきます。

 

グラフ4

出典:平成29年患者調査と国立社会保障・人口問題研究所 日本地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)をもとに独自に集計。

新型コロナウイルスの影響が長引けば、そのまま外来患者は減少局面に突入する可能性もあります。
外来患者数の将来的な見積もりは慎重に行わなければいけません。

 

今回は、外来患者全体の傾向をお伝えしましたが、この傾向は傷病ごとに異なります。
次回は、疾患別に外来患者数の推移をみることで、もう一歩内容を深堀していきたいと思います。

(次回に続く)



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