10年後、20年後の地域の変化を簡単に知る方法
株式会社CBメディカル 小林大介

医事業務

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記事の内容およびデータは掲載当時のものです。

こんにちは。
前回よりメルマガの新連載を担当しているCBメディカルの小林です。
前回は、次の2つのことを書きました。

  • 1、全国的には「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に局面が変化しているということ
  • 2、自院の地域に起きる将来の変化を知ることが重要であること

改めて東京都と秋田県の人口増減率の違いを比較してみます。

グラフ1(左) 東京都, グラフ2(右) 秋田県

東京都と秋田県の人口増減率の違い

出典:国立社会保障・人口問題研究所 日本地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)をもとに独自に集計。

オレンジ色のグラフは高齢者(65歳以上人口)の将来の増減率を示しています。
青色のグラフは現役世代(65歳未満人口)の将来の増減率を示しています。

左側(グラフ1)の東京都を見てみましょう。
高齢者は2045年まで増加し続けることがわかります。
そして、現役世代は2030年まで横ばいで推移し、2035年以降で緩やかに減少していくことが分かります。

右側(グラフ2)の秋田県を見てみましょう。
高齢者は2020年をピークに減少傾向に転じます。
そして、現役世代は、既に減少が始まっており、今後も同様のペースで2045年まで減少し続けることが分かります。

高齢者の増減は医療・介護需要の増減に直結し、現役世代の増減は職員採用に影響します。
中長期的な病院のあり方を考える際には、このような地域ごとの将来の変化を知ることが重要になります。
地域の将来の変化を調べるときには、国立社会保障・人口問題研究所が公表している「日本地域別将来推計人口」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)が参考になります。

※国立社会保障・人口問題研究所ホームページより

国立社会保障・人口問題研究所の統計データは厚生労働省等の公的な資料を作成するときにも使われています。

※国立社会保障・人口問題研究所ホームページより

「日本地域別将来推計人口」のページ内にある「男女・年齢(5歳)階級別の推計結果一覧(Excel 約8.0MB)」というExcelファイルをダウンロードすると、市区町村別の2045年までの推計人口を確認することができます。

データは5歳階級別となっていますが、あまり細かいデータだと大きな傾向をとらえることが出来ません。
そのため、冒頭でご紹介したように、65歳以上と、65歳未満という2階級に集計し直すと傾向が分かりやすくなります。
(もう少し細かくしたい方には、年少人口(0~14歳)、生産年齢人口1(15~39歳)、生産年齢人口2(40~64歳)、高齢者人口1(65歳~74歳)、高齢者人口2(75歳以上)の5段階で集計する方法もお勧めします。)
私の場合、(1)人口推移を実数で確認する積み上げ棒グラフ(左のグラフ)、(2)人口推移を変化率で確認する折れ線グラフ(右のグラフ)、(3)数値で確認するクロス集計表(グラフ3)の3点セットを市区町村別に確認できるようにして使っています。

グラフ3 3点セットの指標

3点セットの指標

ぜひみなさんも、国立社会保障・人口問題研究所のデータを使って、10年後、20年後の自分の地域の現状を確認してみてください。
きっと、病院経営を考えるヒントを見つけることができると思います。



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