医療は65歳以上、介護は85歳以上に注目する理由
株式会社CBメディカル 小林大介

医事業務

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記事の内容およびデータは掲載当時のものです。

こんにちは。
医療介護経営支援を行うCBメディカルの小林です。
これまで、65歳以降の将来推計人口の変化を見ながら医療介護需要について考えてきました。
一般に高齢者が多い場合、医療需要・介護需要が高いと考えられますが、厳密には医療と介護で注目するべき年代が異なります。
表の左側は、年齢階級別に人口1人当たりにかかる介護給付費・医療費を記載しています。
65~69歳を見てみると介護給付費が年間3.3万円、医療費が年間46.6万円かかることが分かります。
表の右側は、65~69歳の介護給付費・医療費を基準(1.0)とした場合に、各年齢階級がいくつになるのかを指数で表しました。
こちらは分かりやすくするためにグラフも用意しました。

※介護給付費は、第177回社会保障審議会介護給付費分科会(参考資料:介護分野をめぐる状況について)を参照
※医療費は、令和2年版高齢社会白書(高齢化の社会保障給付費に対する影響)を参照。医療費は医療保険制度分のみ。

グラフ1をみると、一人当たりの介護給付費は年齢が上がるにつれて指数関数的に増加していくことが分かります。
例えば、85~89歳では、65~69歳に比べて20倍以上の介護給付費がかかっています。
これが医療と介護で注目すべき年代が異なる理由です。
医療需要は65歳以上であれば年代による差が限定的(1~3倍以内)ですが、介護需要は65歳以上と、85歳以上で大きく需要が異なります。
そのため、介護の需要を考える場合は、高齢者と一括りにするのではなく、85歳以上に注目する必要があります。

グラフ1

人口推計においても、85歳以上は注目です(グラフ2)。
85歳以上の人口は2035年まで増加傾向が続きます。
高齢者人口全体は、2025年以降、高齢者急増から局面変化して、多くの地域で横ばいから減少傾向になります。
しかし、2025年~2035年にかけて、85歳以上の人口は増加します。
これは2025年以降、医療需要の増加は落ち着くものの、介護需要の増加は継続することを示しています。
病院経営においても、いかに将来的な介護需要に向き合っていくかが求められるのではないでしょうか。

グラフ2

(次回に続く)



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