入院患者は2030年まで増加傾向。その後は緩やかな減少へ。
株式会社CBメディカル 小林大介

医事業務

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記事の内容およびデータは掲載当時のものです。

こんにちは。
医療介護経営支援を行うCBメディカルの小林です。

 
前回、外来患者は今後減少していくと書きました。
では、入院患者はどうでしょうか。

 
グラフ1をみると、入院患者の年齢構成比は65歳以上が、入院患者全体の約4分の3を占めています。
今後、65歳未満が減少したとしても、大きな影響を受けないということが感覚的に分かるのではないでしょうか。

 

グラフ1

出典:平成29年患者調査をもとに作成

 

年齢階級別の受療率を示したものが表になります。
受療率とは、人口に対して何人が入院しているかを表したものです。

 

出典:平成29年患者調査をもとに作成

 

65歳未満の受療率は1%以下であるのに対して、65~74歳は1.5%、75歳以上は4.0%です。
年々、人口が減少していますが、減っているのは65歳未満であり、65歳以上の人口は増加しています。

 

65歳未満の人口減少による患者減よりも、65歳以上の人口増加による患者増が大きいうちは、入院患者全体は減らないということになります。

 

グラフ2は、将来の年齢階級別人口推計と受療率を掛け合わせて、入院患者数がどのように変化するのかをシミュレーションしたものになります。

 

グラフ2

出典:平成29年患者調査と国立社会保障・人口問題研究所 日本地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)をもとに独自に集計

 

65歳以上の入院患者数は、2030年まで大きく増加し、その後は緩やかな増加となります。
一方、65歳未満の入院患者数は一貫して減少していきます。

 

入院患者の増減を、2015年を基準とした増減率で示したものがグラフ3です。

 

グラフ3

出典:平成29年患者調査と国立社会保障・人口問題研究所 日本地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)をもとに独自に集計

 

入院患者増減率の「全体」をみると、2030年が分岐点となり増加傾向から微減傾向に変化していることが分かります。

 

2030年から2035年にかけては、65歳以上の増加率が0.3ポイントの増加に留まっているのに対して、65歳未満の減少率は5.4ポイントと大きく減少しているためです。

 

入院患者について、2030年以降は微減が予測されるため、楽観視はできません。
しかし、2045年時点でも、2015年と比べて11.4%多い入院患者が見込まれるという推計ですので、心配しすぎることもないと考えています。

 

このシミュレーションは全国的なものですので、地域別にみると状況は変わってきます。
特に、高齢化率の高い地域の場合、既に増加傾向から微減傾向への分岐点を迎えている可能性がありますのでご注意ください。

 

次回は、疾患別に入院患者数の推移をみることで、もう一歩内容を深堀していきたいと思います。

(次回に続く・・・)



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