記事の内容およびデータは掲載当時のものです。
こんにちは。
医療介護経営支援を行うCBメディカルの小林です。
前回、2030年頃まで入院患者は増加傾向にあると書きました。
今回は、疾患別に入院患者の傾向を見ていきましょう。
年齢階級別の受療率を示したものが 次の表です。
受療率は、人口10万人あたり何人の入院患者がいるかを計算したものです。
表
出典:平成29年患者調査をもとに独自に作成
今後、高齢者が増加し、現役世代が減少していきます。
高齢者の受療率が高い疾患ほど入院患者の増加が期待できます。
一方で、現役世代の受療率が高いほど、入院患者が減少していく可能性があります。
受療率と将来推計人口から、疾患別の入院患者の増減率をシミュレーションしたものが次のグラフです。
グラフ
出典:平成29年患者調査と国立社会保障・人口問題研究所 日本地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)をもとに独自に集計
2015年を基準にしたときに入院患者が増える傷病分類を青色、減るものを赤色、あまり変わらないものを灰色のスケールで表しました。
入院患者の増加率が最も高いのは「10 呼吸器系の疾患」です。
2030年では2015年と比べて26%ほど入院患者が増加する推計となりました。
「10 呼吸器系の疾患」は、2030年以降も横ばいでの推移が見込まれますので、しばらくの間、入院患者減少の心配はなさそうです。
次いで、入院患者増加率の高い傷病分類は、「9 循環器系の疾患」「19 損傷,中毒及びその他の外因の影響」になります。
一方で、減少率が高いのは「15 妊娠,分娩及び産じょく」「16 周産期に発生した病態」「17 先天奇形,変形及び染色体異常」になります。
現役世代減少の影響を大きく受ける傷病分類です。
表で示した受療率と、国立社会保障・人口問題研究所の日本地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)を利用することで、ご自身の地域の入院患者数をシミュレーションすることもできます。
簡易的なものではありますが、病院経営の参考になると思います。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
(次回に続く・・・)
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