2019年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査

人事

春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査
掲載している雑誌:賃金事情

7割以上の企業が賃上げを実施予定
うち7割が賃上げ率は2018年と「同程度」と予測

人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、毎年、春季労使交渉に先がけ「春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」を実施しています。このたび2019年の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。

 

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2019年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査
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主なポイント

(1)2019年の賃金改定の見通し

  • 賃上げの世間相場は「2018年と同程度」が6割弱を占め、「2018年を上回る」は1割強
  • 自社の賃上げ予測について、2019年に「賃上げを実施する予定」の企業は全体で7割強、企業規模別にみると1,000人以上企業は5割以下で、300~999人企業・299人以下企業は8割前後

(2)2019年の自社の賃上げ率予測

  • 自社の賃上げ率が「2018年と同程度」とした企業は71.9%、「2018年を上回る」は11.4%
  • 政府の賃上げ要請が自社の賃金改定に「影響しないと思う」企業は51.9%

(3)定期昇給制度の有無と賃金改定に向けた経営側のスタンス

  • 「定期昇給制度がある」企業は85.4%、うち52.6%が全社員に適用
  • 2019年の賃金改定について「定期昇給のみ実施する予定」48.9%、「定期昇給もベアも実施する予定」13.3%

(4)2019年の年間賞与の見通しと業績連動型賞与の導入状況

  • 2018年と比較した2019年の年間賞与の見通しは「ほぼ同額」36.1%、「増加する見通し」13.9%
  • 業績連動型賞与制度を導入している企業は3割

(5)非正社員の処遇改善状況と2019年の見通し

  • 2018年に非正社員の「賃金を増額した」企業は55.7%で、前回調査から増加
  • 2019年に非正社員の「賃金を増額する予定」の企業は35.4%

(6)非正社員の公正な待遇への取組み

  • パートタイム・有期雇用労働法が自社の経営に「影響がある」とした企業は57.0%
  • 非正社員の基本給や賞与について、「現在、制度・規程を改定中または検討中」の企業は2割強

 

調査要領

【調査名】  「2019年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」
【調査対象】 全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員企業から
       任意に抽出した3,000社
【調査時期】 2018年12月
【調査方法】 郵送によるアンケート調査方式
【集計対象】 締切日までに回答のあった158社について集計

●集計企業の内訳

グラフ

 

調査結果の概要

(1)2019年の賃金改定の見通し

【賃上げ世間相場予測】「2018年と同程度」が6割弱を占め、「2018年を上回る」は1割強

グラフ企業の担当者に賃上げの世間相場の予測についてたずねたところ、「2018年と同程度」が58.9%(前回調査54.1%)、「2018年を上回る」は12.7%(同22.6%)、「2018年を下回る」は10.1%(同5.7%)だった。なお、「現時点(2018年12月)ではわからない」と判断を保留した企業は17.7%(同17.6%)となった。
「前年を上回る」予測は2014年調査で47.8%と大幅な上昇をみせ、その後、2015年12.9%→2016年11.6%→2017年6.6%と下降傾向にあった。2018年は22.6%と大幅増となったが、今回調査で2015年水準にもどっている。


図表1-1 2019年の賃上げ世間相場の予測

グラフ

 

【自社の賃上げ予測】自社の賃上げ予測は「賃上げを実施する予定」が7割強

グラフ自社の賃上げについては、最も多かったのが「賃上げを実施する予定(定期昇給を含む)」の72.2%(前回調査74.8%)で、次いで「現時点ではわからない」23.4%(同20.8%)、「賃上げは実施せず、据え置く予定」3.8%(同3.8%)。「賃下げや賃金カットを考えている」と回答した企業はなかった。
企業規模別にみると、「賃上げを実施する予定」は1,000人以上企業では5割以下、300~999人と299人以下企業では8割前後となっている。


図表1-2 2019年の自社の賃上げ予定

グラフ

 

(2)2019年の自社の賃上げ率予測

自社の賃上げ率が「2018年を上回る」とした企業は11.4%

グラフ2019年に自社の「賃上げを実施する予定」と回答した企業(全体の72.2%)は、前年と比較して自社の賃上げ率をどのように設定する考えでいるのだろうか。
最も多かったのは、世間相場の賃上げ予測と同様、「2018年と同程度」の71.9%(前回調査63.9%)で、平均賃上げ率予測は1.9%(同2.0%)だった。次いで「2018年を上回る」11.4%(同14.3%)で前回調査から2.9ポイントの減少、平均賃上げ率予測は2.7%(同2.6%)。「2018年を下回る」は10.5%(同6.7%)で前回調査から3.8ポイントの増加、平均賃上げ率予測は1.8%(同2.0%)であった。


図表2-1 2019年の自社の予想賃上げ率

グラフ

 

政府の賃上げ要請が自社の賃金改定に「影響しない」51.9%

グラフ本調査では、昨年に引き続き、政府による賃上げ要請が自社の賃金改定に影響を及ぼすか企業の担当者にたずねた。「影響しないと思う」51.9%(前回調査42.8%)、「影響すると思う」22.2%(同32.1%)と、前年と比較して「影響しないと思うが約10ポイントの増加、「影響すると思う」が約10ポイントの減少となった。
本項目を調査した2014年、2016年、2017年の「影響すると思う」割合をみると、2014年25.2%、2016年33.6%、2017年26.3%となっている。


図表2-2 政府の賃上げ要請による自社の賃金改定への影響

グラフ

 

(3)定期昇給制度の有無と賃金改定に向けた経営側のスタンス

「定期昇給制度がある」企業は85.4%、うち52.6%が全社員に適用

定期昇給制度についてみていく。「定期昇給制度がある」企業は85.4%(前回調査77.4%)、「定期昇給制度はない」は14.6%(同22.0%)と、定期昇給制度のある企業は2017、2018年調査で7割台となったが、今回調査で3年ぶりに8割台となった。額・率に記入のあった企業の定期昇給の平均額・率は4,510円、1.70%で、前回調査(5,022円、1.77%)から額・率ともに減少している。
定期昇給制度の適用対象をみると、「全社員に適用」する企業が最も多く、半数以上の52.6%(同47.2%)で、「一般社員のみに適用」は27.4%(同28.5%)、「特定層のみに適用」3.7%(同4.9%)であった。


図表3-1 期昇給制度の有無

グラフ

 

2019 年の賃金改定で「定期昇給のみ実施予定」は 48.9%

グラフ定期昇給制度のある企業に、2019年の賃金改定がどのような内容になるかたずねたところ、「定期昇給のみ実施する予定」は48.9%(前回調査51.2%)、「定期昇給もベアも実施する予定」は13.3%(同15.4%)と、どちらも前回調査から減少している。また、3割強の企業は「現時点ではわからない」と回答していた。
企業規模別にみると、「定期昇給のみ実施する予定」は規模が小さくなるほど高くなっている。大企業については、「現時点ではわからない」が5割を超えており、調査時点(2018年12月)では態度を保留した企業が多いようである。


図表3-2 2019 年の賃金改定について(定期昇給制度がある企業)

グラフ

 

(4)2019年の年間賞与の見通しと業績連動型賞与の導入状況

2018年と比較した2019年の年間賞与の見通しは「ほぼ同額」が36.1%

2019年の年間賞与について、2018年に比べて「増加する見通し」とした企業は13.9%(前回調査15.7%)、「ほぼ同額」36.1%(同28.9%)、「減少する見通し」5.1%(同8.8%)であった。2018年と比べて、「増加する見通し」と「減少する見通し」は減少し、「ほぼ同額」が増加している。なお,2018年12月時点における見通しということもあり、例年同様「現時点ではわからない」も4割ほどあった。
業績連動型賞与制度を導入している企業は31.6%で、前回調査(25.2%)から6.4ポイントの増加となった。導入していない企業は65.2%(前回調査71.1%)で、今後の方向性としては「導入する予定はない」が68.9%で最も高く、「現在検討中」は18.4%だった。


図表4 2018 年と比較した 2019 年の年間賞与の見通し

グラフ

 

(5)非正社員の処遇改善状況と2019年の見通し

2018年に非正社員の「賃金を増額した」企業は55.7%、2019年に「賃金を増額する予定」の企業は35.4%

同一労働同一賃金がいわれるなか、春季労使交渉においても非正社員の待遇改善、正社員との均等・均衡待遇が重要な交渉事項となっている。非正社員の賃金改定についてみると、2018年に非正社員の「賃金を増額した」企業は55.7%と、前回調査から7.3ポイント増加した。経年でみると、2013年25.2%→2014年41.7%→2015年53.4%→2016年46.7%→2017年48.4%→2018年(今回調査)55.7%と、年々増加傾向にある。
2019年の見通しについては、「現時点ではわからない」(39.9%)が最も多かったものの、「賃金を増額する予定」も35.4%あった。


図表5 非正社員の賃金の見直し状況と 2019 年の見通し

グラフ

 

(6)非正社員の公正な待遇への取組み

パートタイム・有期雇用労働法が経営に「影響がある」企業は57.0%

グラフ「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」、以下、改正法)が2020年4月から施行される(中小企業は2021年4月から)。改正法の自社の経営への影響について、「大いに影響がある」とした企業は7.6%、「ある程度影響がある」は49.4%で、合わせて57.0%が「影響がある」としている。
「影響がある」とした企業に予測される影響を聞いたところ(複数回答)、最も多かったのは「総額人件費が増加」の71.1%で、次いで「評価などの人事制度の改定が必要」43.3%となっている。


図表6-1 パートタイム・有期雇用労働法の予測される影響(複数回答)

グラフ

 

非正社員の基本給や賞与について「現在、制度・規程を改定中または検討中」の企業は2割強

現在の非正社員の待遇について、「以前から正社員と同じ制度・規程で運用」しているものでは「通勤手当」「時間外・休日・深夜労働手当」などが高くなっている。「現在、制度・規程を改定中または検討中」のものでは、「基本給」(28.1%)、「賞与」(22.1%)が2割強だった。


図表6-2 賃金等に関する 7 項目の現在の非正社員の待遇

グラフ

 

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※ 詳細データは「賃金事情」2019年2月5日号にて掲載しています。

 

本リリースに関する取材などのお問い合わせ

株式会社産労総合研究所「賃金事情」編集部   担当:片上、伊関
TEL 03(5319)3601   MAIL edt-a2@sanro.co.jp

※上記以前の調査結果については、「賃金事情」編集部 までお問い合せ下さい。


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