2025年度 決定初任給調査

人事

決定初任給調査
掲載している雑誌:賃金事情

初任給を「引き上げた」企業は72.0%
引き上げ理由の7割が「人材確保のため」
大卒23万9,280円、高卒19万8,173円

人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2025年度 決定初任給調査」を実施しました。本調査は1961(昭和36)年から毎年実施しています。

2025年4月入社者の初任給を「引き上げた」企業は、前回2024年度調査比3.6ポイント減の72.0%となりました。これは調査開始以降で2番目に高い水準です。引き上げた理由(複数回答)は「人材を確保するため」が最多で71.1%を占めました。2025年度の決定初任給額(2025年4月時点で確定した初任給)は、大学卒(一律)で23万9,280円(対前年度比5.00%増)、高校卒(一律)で19万8,173円(同5.37%増)となり、いずれも前年を大きく上回りました。

 

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2025年度 決定初任給調査
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主なポイント

(1)初任給の引上げ状況

  • 2025年4月入社者の初任給を「引き上げた」企業は72.0%となり、調査開始以来2番目に高い割合となった(前年75.6%)。「据え置いた」は23.8%、「引き下げた」企業は、前回に引き続きなかった。
  • 引き上げた理由(複数回答)は、「人材を確保するため」が最多の71.1%(前年73.5%)。次いで「在籍者のベースアップがあったため」48.3%(同43.4%)が続いた。人材獲得競争の激化を反映した結果となっている。

(2)初任給額の水準

  • 学歴別の初任給額は下表のとおり。
  • 大学卒と高校卒は、一律に初任給を決定している場合と、職種やコース(総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務など)で格差を設けている場合の「最高額」と「最低額」を尋ねた。

グラフ

(3)付帯調査 新入社員の夏季賞与

  • 新入社員に「何らかの夏季賞与を支給する」企業は81.8%(前年77.5%)で、前年より上昇。支給方法は、「一定額(寸志等)を支給」が最多の67.6%となった。
  • 平均支給額は、大学卒が10万107円、高校卒が7万9,983円。支給額の分布では「5万~10万円未満」が最も多かった。

 

調査要領

当社会員企業および上場企業から一定の方法で抽出した3,000社に対し、2024年4月に調査票を郵送し回答を依頼。336社の回答を得た。
【調査名】 「2025年度 決定初任給調査」
【調査機関】産労総合研究所
【調査対象】当社の会員企業および上場企業から一定の方法で抽出した3,000社。
【調査時期】2025年4〜5月
【調査方法】郵送によるアンケート調査方式
【回答状況】締切日までに回答のあった336社について集計。集計企業の内訳は別表を参照。
【留意点】 決定初任給とは、本採用後支払われる所定内賃金月額。通勤手当、時間外手当等は除く。前年度比は、回答企業における2024 年度決定初任給との比較。

図表

 

調査結果概要

(1)初任給の引上げ状況

1. 初任給の改定状況

2025年4月入社者の初任給を「引き上げた」企業は72.0%で、前回2024年度調査(75.6%)から3.6ポイント減となったものの、同じ問いを設けた1997年度調査以降で2番目の高水準となっている。区分別にみると、規模別では「1,000人以上」87.5%(前回90.2%)、「300~999人」78.4%(同83.8%)、「299人以下」61.5(同66.0%)、産業別では製造業80.5%(同76.2%)、非製造業67.4%(同71.1%)だった。他方、「据え置いた」企業は23.8%(同16.5%)。昨年に引き続き、「引き上げた」が「据え置いた」を上回った。なお、「引き下げた」企業は3年連続でなかった。

初任給引上げ状況の推移(1997年度以降)

グラフ

 

2. 初任給改定の理由

初任給を引き上げた理由(複数回答)では、「人材を確保するため」が71.1%と最も多く、引き続き採用競争への対応が重視されている。次いで「在籍者のベースアップがあったため」が48.3%となり、既存社員とのバランスを考慮した企業も多い。一方、「据え置いた」理由では、「在籍者のベースアップがなかったため」が31.3%と最多となり、「現在の水準でも十分採用できるため」が30.0%と続いた。新卒を採用しなかった企業の割合も15.0%に上った。

引き上げた理由・据え置いた理由(複数回答)

グラフ

 

(2)初任給額の水準

2025年度決定初任給は、全体的に高い増加率を示し、前年に続いて上昇傾向が継続した。大学卒(一律)の初任給は23万9,280円で、対前年度比5.00%増、高校卒(一律)は19万8,173円で、同5.37%の増加となった。いずれも5%前後の上昇率を記録しており、1992年度以来の高水準となっている。企業規模別に見ると、大学卒は「1,000人以上」が25万9,285円(対前年増減率6.52%)と最も高く、「300~999人」が23万9,624円(同4.63%)、「299人以下」は23万1,657円(同4.63%)で、企業規模が大きいほど増加率・水準ともに高い傾向がみられた。高校卒も「1,000人以上」が20万8,505円(同7.52%)、「300~999人」が20万923円(同5.44%)、「299人以下」が19万450円(同4.08%)となり、全体として引き上げの動きが広がっていることがうかがえる。

2025年度 決定初任給

グラフ

大学卒(一律)における初任給額の対前年度増加率の推移(1992 年度以降)

グラフ

 

新卒入社者の夏季賞与・一時金の支給状況と支給額

本調査では、付帯調査として「新入社員への夏季賞与の支給状況」および「支給額」についても尋ねている。新卒入社者に対する夏季賞与・一時金の支給状況については、「何らかの夏季賞与を支給する」と回答した企業が81.8%に上り、前年(77.5%)から増加した。一方で「支給しない」は8.0%となった。支給方法は、「一定額(寸志等)を支給」が最も多く67.6%、次いで「在籍期間の日割計算で支給」が19.3%、「日割以外の一定割合で支給」が5.8%と続いた。平均支給額は大学卒が10 万107 円、高校卒が7 万9,983 円。支給額の分布を見ると、「5万~10 万円未満」が大学卒で41.0%、高校卒で49.6%と最も多く、全体としては前年と同様の傾向がみられた。企業規模別では、大企業の方が支給額・支給率ともに高い傾向が続いている。

新卒入社者の夏季賞与・一時金の支給状況

グラフ

夏季賞与・一時金の支給金額(何らかの夏季賞与・一時金を支給する企業)

グラフ

 

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本リリースに関する取材などのお問い合わせ

株式会社産労総合研究所 「賃金事情」編集部   担当:原、伊関
TEL 03(5860)9791   MAIL edt-a@sanro.co.jp


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