2021年度 決定初任給調査

人事

決定初任給調査
掲載している雑誌:賃金事情

初任給を据え置いた企業が1割増の65.7%
据え置いた理由は「現在の水準で十分」が過半数

人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2021年度 決定初任給調査」を実施しました。本調査は1961(昭和36)年より毎年実施しています。

調査結果によれば、「初任給を引き上げた」企業は29.8%、「初任給を据え置いた」企業が65.7%であった。前回2020年度調査と比較すると、「引き上げた」が約10ポイント減少し、その分「据え置いた」が増加した。
また、2021年度の決定初任給額は、大学卒(一律)で209,884円、高校卒(一律)で172,025円であった。

 

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2021年度 決定初任給調査
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主なポイント

(1)初任給の改定状況

  • 2021年4月入社者の初任給を「引き上げた」企業は29.8%(2020年度調査39.7%)、「据え置いた」企業は65.7%(同56.1%)で、引き上げた企業がおよそ1割減少し、ここ数年の初任給高騰にブレーキがかかる。

(2)初任給引上げ、据え置きの理由

  • 初任給を引き上げた理由は、「人材を確保するため」の61.2%が最多。据え置いた理由では「現在の水準でも十分採用できる」54.2%が最多となった(複数回答)。

(3)決定初任給額の水準

  • 2021年度の学歴別の決定初任給額は、職種やコースによる格差がなく、一律に決定している企業の場合、大学卒で209,884円、高校卒で172,025円であった。

(4)新入社員の夏季賞与(付帯調査)

  • 新入社員に対して「何らかの夏季賞与を支給する」企業は全体の8割を超え、83.3%。
  • 夏季賞与・一時金の平均支給額は、大学卒で91,117円、高校卒で73,276円。

 

調査要領

当社会員企業および上場企業から一定の方法で抽出した3,000社に対して、2021年4月に調査票を郵送して回答を依頼し、329社から回答を得た。
【調査名】 「2021年度 決定初任給調査」
【調査機関】産労総合研究所
【調査対象】当社の会員企業および上場企業から一定の方法で抽出した3,000社
【調査時期】2021年4月~5月
【調査方法】郵送によるアンケート調査方式
【回答状況】締切日までに回答のあった329社について集計。集計企業の内訳は別表を参照
【留意点】 決定初任給とは、本採用後支払われる所定内賃金月額のことを指す。ただし通勤手当、時間外手当等は除く。

図表

 

調査結果概要

(1)初任給の改定状況

2021年4月入社者の初任給を「据え置いた」企業が増加

2021年4月入社者の初任給の改定状況については、初任給を引き上げた企業が29.8%(前回調査39.7%)、据え置いた企業が65.7%(同56.1%)となり、「引き上げた」が9.9ポイント低下した。他方、「据え置いた」企業は9.6ポイント増加し、コロナ禍2年目の今期は、初任給の高騰に少しブレーキがかかっている。
企業規模別に「据え置いた」企業の割合をみると、1,000人以上企業(以下、大企業)が60.5%、300~999人企業(以下、中堅企業)が59.8%、299人以下企業(以下、中小企業)が72.6%となり、中小企業での割合の高さが目立つ(図表1-1、1-2)。

 

図表1−1 初任給改定状況の2021/2020年調査の比較

グラフ

 

図表1−2 2021年4月入社者に対する初任給の改定状況

グラフ

(2)初任給引上げ・据え置きの理由

初任給引上げの理由は「人材の確保」61.2%、据え置きの理由は「現在の水準で十分」54.2%

初任給を引き上げた企業に対し、その理由を尋ねたところ、「人材を確保するため」61.2%が最も多く、次いで「在籍者のベースアップがあったため」44.9%などとなった(複数回答)。規模別にみると、「人材を確保するため」は中小企業で最も高くなっており、これまであまり見られなかった傾向として注目される(図表2-1)。
一方、初任給を据え置いた企業にその理由を尋ねた結果は、「現在の水準でも十分採用できるため」54.2%が最も多く、次いで「在籍者のベースアップがなかったため」36.1%などとなっている(図表2-2)。

 

図表2−1 初任給を引き上げた理由(初任給を引き上げた企業=100,複数回答)

グラフ

 

図表2−2 初任給を据え置いた理由(初任給を据え置いた企業=100,複数回答)

グラフ

 

(3)決定初任給額の水準

2021年4月入社者に対する決定初任給は、一律の場合、大学卒209,844円、高校卒172,025円

2021年度の初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に初任給を決定している企業の場合、大学卒は209,884円、高校卒は172,025円であった。
職種やコース(総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務など)で初任給額に格差を設けている場合の「最高額」と「最低額」は、大学卒で「最高額」218,843円、「最低額」198,703円、高校卒で「最高額」183,142円、「最低額」171,466円だった(図表3)。

 

図表3 2021年度決定初任給

グラフ

 

新入社員の夏季賞与(2021年度 決定初任給調査 付帯調査)

新入社員にも「何らかの夏季賞与を支給」8割
平均支給額は大学卒91,117円、高校卒73,276円

2021年4月入社者への夏季賞与の支給状況と支給額

付帯調査として、新入社員の夏季賞与の支給状況および支給額についても聞いている。新卒で入社した場合、入社年度の夏季賞与については、支給日に在籍はしているものの、算定期間としてはわずかか、あるいは算定期間経過後の入社という場合が多い。
そのなかで、2021年4月入社の新入社員に対する夏季賞与の支給状況について尋ねたところ、「何らかの夏季賞与を支給する」企業は83.3%、「支給しない」企業は9.1%であった。夏季賞与を支給する企業の支給方法をみると、「一定額(寸志等)を支給」63.1%が6割以上となっている(図表4-1)。
平均支給額は、全体では、大学卒91,117円、高校卒73,276円。「一定額(寸志等)を支給」の場合では、大学卒78,143円、高校卒63,145円であった(図表4-2)。

 

図表4−1 新入社員に対する夏季賞与・一時金の支給状況

グラフ

 

図表4−2 夏季賞与・一時金の支給金額(何らかの夏季賞与を支給する企業)

グラフ

 

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※詳細データは「賃金事情」2021年7月5日号に掲載しています。

 

本リリースに関する取材などのお問い合わせ

株式会社産労総合研究所 「賃金事情」編集部   担当:石田、境野
TEL 03(5860)9791   MAIL edt-a@sanro.co.jp

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