看護への想いやりがい、人づくり

医療

看護管理
看護への想い やりがい、人づくり

■多羅尾 美智代・著
■A5判・271頁
■税込価格 2,200円
■ISBN 978-4-87913-858-3 C3047
■発行日 2003年12月

はじめに

私は、平成15年3月31日をもって、44年という長きにわたる医療現場での看護活動を終えました。最後の10年は、兵庫県三木市立三木市民病院で看護部長をしていました。この大役をいただいてからの10年間は、私の看護師人生の集大成のときでもありました。多くの皆さまに支えられて、この長丁場を完走できたことを感謝申し上げます。 振り返れば、私が医療の現場に足を踏み入れたのは昭和34年です。17歳で准看護婦からの出発でした。13年の臨床経験の後に、2人の子育てをしながら進学コースに進み、あの深刻な看護婦不足の時代を乗り越え、医療現場を支える一員として、その一端を担ってきたことになります。 その間に日本経済はめざましい成長を遂げ、人々の価値観は大きく変わりました。医療の進歩、少子高齢化の進展、医療費の増大、国民の知識の高揚、情報化への突入、そして、医療者主体の医療から患者さま主体の医療へと、看護を取り巻く社会環境は大きく変化しました。 その過渡期とも言える平成5年に私は看護部長を引き受けたことになります。当時はまだ深刻な看護婦不足でしたから、看護の量の確保を最優先しつつ、職員の「やりがい」を支援し、「看護の質の向上」に結び付けることを課題にしてきました。難しい理論や理想論を掲げるのではなく、患者さまに直接かかわる場面で心のこもったケアが提供できる看護部を目指してきました。臨床現場に身を置く者として、患者さまとの接点を何よりも重要視してきました。 医療や看護は「人」がつくり出すものであり、医療の質や看護の質は、それらを提供する「人」次第なのです。私に任された「人」たちの、看護への想いを引き出し、その想いが実践できる環境づくりにエネルギーを注いできました。職員一人ひとりの仕事に対する姿勢を養い、やりがいを醸成し、やりがいを支援し、生き生きと活動できる環境を作ることが、私にできる「看護管理の手法」であると信じてやってきました。 ときには遅々として進まないことに焦りを感じ、ときには勇み足になるのを制御しながら、多くの反省があり、多くの学びがありました。私自身がたくさんのパワーをいただき、三木市民病院看護部職員と共に、自己成長を実感することができました。その過程を、『看護への想い、やりがい、人づくり』と題して、世に送り出すことができました。この過程を共に歩んでいただきました三木市民病院看護部の皆さまと、ご支援いただきました多くの皆さまに心から感謝申し上げます。 本書は、10年間の三木市民病院看護部の変遷と、私の看護管理のありようのすべてを、ありのままに紹介しています。看護管理者のバイブルとして、また、臨床現場の看護師や看護学生の教書として、皆さまのお役に立てていただければ幸いです。 なお、本書は、産労稔合研究所附属医療経営情報研究所の「婦長主任新事情」(現「看護部マネジメント」)No.87、12/1、1999(付録)「看護に生きる~凍として、しなやかに~」に加筆・修正したものです。末尾には、ここ数年につづったエッセー風の文章を紹介しています。

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