アイデアを生かした患者サービス事例集

医療

病院経営・管理
アイデアを生かした 患者サービス事例集

■藤原ENTクリニック 院長 藤原久郎・監修
 藤原ENTクリニック 事務長 木村結花・著
■A5判・114頁
■税込価格 1,320円
■ISBN 978-4-87913-890-3 C3047
■発行日 2004年6月

はじめに

厚生労働省の「医療施設動態調査」によると、平成16年2月末現在、全国の稼働している医療施設は病院が9,106施設、一般診療所は9万6,339施設、歯科診療所6万6,029施設と公表されている。 高齢少子化社会の現在、我が国の医療の最前線を支えているのは、ほとんどが開業医の診療所であると言える。診療所の特徴は、一般に半径3㎞地域の中での医療であり、地域の中で信頼をいただく努力、生き抜く精進が必要となる。病院規模の形態と異なるのは、無床診療施設では医療設備、人件費に対する医療原資の投資が少ないので、収支バランスは病院と比べ比較的厳しくない。このため、ある程度、院長個人の個性を生かす医療が可能である。しかし、その半面、組織としての形態をとりにくいので、マンネリ化すると細々とした医療に埋没してしまう傾向がある。 自由主義国家であるのに社会主義的医療制度が根幹にあるという矛盾を持っており、保険で多くの縛りがあったり、画一的医療を押しつけられる半面、収入は保険制度に依存してしまっているのが我が国の医療体質であるが、診療所医療では患者さんとの個人的つながりが、病院と比べ密接な一面が特徴である。 「患者さんのために」が病院。診療所のスローガンであろうが、その追求は昨今の医療情勢から右を見ても左を見ても厳しいものである。笛吹けど踊らず、向上心のない医師、医事スタッフ、看護師がどこにでもいる。 患者さんの増患には、来院して治療してよかったなの感想が一番大事であるが、それには2つの要素がある。1つは病気が治ること、もう1つは気持ちが安らぐことである。ハード面はお金とアイデアでなんとかなろうが、ハートのソフト面の充実がないと、生き生きした診療所にはなり得ない。院長とスタッフが気持ちを一つにしたとき、大幅な増患が期待できるが、現実は厳しいものがあろう。 アイデアとは、良いものを提供したい、スタッフの仕事がしやすいようにと心がけて出てくるものであろう。日常、院内にはいろいろなところに問題が転がっている。患者さんの不満、不平、スタッフの苦労がアイデア材料である。少しでも患者さんに喜んでいただこうと考えて、平々凡々、日々実行したものである。普通のことをしていては普通に終わるものである。 医療は金をかければ良いものができるわけでもない。平々凡々の中に、きらりと光るものがあればいいのである。

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