人事の地図

インタビュー

「雑誌 × web」クロスインタビュー

Episode3

デスクに置いておいて使いたい時にパッと手に取れる、「日常の一部」になってほしい本

編集部

以前から弊社とはお付き合いいただいてましたけれど、僕が初めてお願いしたのが「労務事情」誌の連載企画ですよね。もう「なんだこれ?」みたいな企画をいきなり持っていったので、あの時は本当に申し訳なかったと思ってるんですけど。

多田氏

そんなことないです。頂いた企画は、物語調のストーリー展開がありますので、毎回考えることが楽しいです。
テーマによって、モデル会社を設定し、その社内で何かしらの問題や課題が生じ、人事がその問題や課題を就業規則改訂によって解決していく物語調のコーナーですよね。たまにハチャメチャな展開にしてみたりと楽しんでます。あるテーマは人事が社会保険労務士さんに相談したり、ある時は弁護士さんに相談したり・・・勝手に想像を膨らましてはスタッフともワイワイ企画を立てています。

※弊社「労務事情」で連載中の「添削で見る就業規則の作り方」。
架空の企業で起きる悩み事に対し、その解決案となる制度や規定を解説し、実際に変更前と変更後の就業規則例を載せているので、両者を見比べることができる。

編集部

そう言っていただけると、僕としても嬉しい限りです。
編集部にとって、もちろん読者が興味のある質の高い記事をいただくのは大事なんですけど、書いてくださる方に楽しんでやっていただけるのが一番嬉しいんですよね。
それに、ご本人の楽しさって誌面でも伝わるものですから、それが記事としてのクオリティにつながってるんじゃないかと思っています。

さて、そこからセミナーの登壇をお願いしたり、書籍に寄稿いただいたりとご協力いただいてきまして、今年は育児・介護休業の書籍もご執筆いただきました。これ、僕は当初ノータッチだったんですが、弊社の方からご相談したんですか?

多田氏

そうです。打診をいただいて、「こんな感じはどうでしょう?」と案を出させていただきました。

編集部

社会的にみると、もちろんここ数年育児・介護休業に絡む法改正というのが続いてきたわけですが、多田さんにはどういった狙いがあったんでしょう?

多田氏

実はこの本のターゲットって、人事だけというわけではないんです。
育児介護休業法って、社会的な問題にすごく直結している法律なんですよね。
中でも今回の法改正は男性の育児休業というところにスポットが当たっていて、男性も育児に参画をしていかないと、女性が途中で会社を辞めてしまうことが多いので、国としても力を入れたいと考えています。そういう世の中の課題に非常にマッチした法律なんです。

今後、役員・従業員から質問が増えるであろうと考えると人事も今一度改めて知識の確認をしたい。管理職も「育休をこの制度で取りたいんですけど」と部下から言われたときに「え、何のこと?」ってなっちゃうと、さすがに「管理職として勉強してほしい!」となりますよね。それでは皆、それぞれの期待や責任を果たせないので、勉強しましょう、と。

そして何より、休業をされるご本人たちですよね。
ご夫婦での育休取得は急増します。その時に当然、自分のキャリアも考え、それぞれの職場に負担をかけずに取るにはどんな方法があるだろうって考えると思うんです。まずはどのような法律があるかから調べますよね。
そういった人事から管理職、そして育児休業されるご本人たちまでが、本を開いて、パッと見てわかるような、そういった本づくりを目指しました。

編集部

これからの時代、意識も変わってきていますし、制度もどんどん取得拡大に向けて整備されていきますから社会人としてのマストになるものを理解しましょう。という事ですよね。
そのうえで「パッと見てわかる」というキーワードが出ましたが、どんなところを工夫したんでしょう?

多田氏

図解をすごく多くしました。育児・介護休業法は、実はメインは手続きに関する法なんですよ。起算日がいつで、いつまで申請するのか~といった条文がすごく多いので、やはり図にしないと何の話をされてるのかわからないんですよね。
ですので、文章ではイメージが湧かなくとも図を見ればわかるようにと、ほぼすべての見開きに図を入れています。

編集部

確かに、毎ページに図が出てくるぐらいですね。マトリックスの表なんかもあります。

多田氏

はい。一番苦労したところですが、でもそこがやはりポイントになっていると思います。法律って、文章だけだともう途中で寝ちゃうぐらいわからないものですから(笑)。
図だと感覚的に頭に入っていきますので、そこはとても丁寧に構成しました。

編集部

本当にしっかり練っていただきました。原稿をいただいた時点で、もう見開き単位で内容や入る図のレイアウトができていましたね。

多田氏

見開きで簡潔にまとめるというのも最初にルールとして決めたんです。一つのテーマを、基本見開きでその中で完結すること、そしてその後ろに従業員から聞かれるような疑問をQ&Aでお答えする、とまとめていきましょうと。

編集部

確かにその通りになってますね。見ごたえある内容だと思います。
ちょっと意地悪な質問なんですけど、「育児・介護休業のすべて」と言っちゃってますけど、本当に全てがわかりますか?

多田氏

もちろんわかります(キッパリ)。すべてを網羅できたと思ってます。
というのも、実際に社会保険の手続きまでまとめたからです。育児・介護休業って、制度や法律だけ覚えても不十分で、手続きまで密接に繋がってるんですね。ですので、「いざ申請しようと思ったら書き方がわからない!」とならないように、手続きの最後までガイドするように書きました。

育児・介護休業のすべて
~制度から手続きまでがぱっとわかる~
■多田 智子・著
■A5判/250頁
■税込価格 2,750円
■ISBN 978-4-86326-332-1 C2032
■発刊日:2022年10月10日
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Episode 4 へつづく