介護施設における
経費削減に関する実態調査


update:2013.10.08

民間のシンクタンク機関である医療経営情報研究所が発行する定期刊行誌「介護人材Q&A」(編集長 小林時夫)は、介護施設における諸経費の削減取り組みに関する実態調査を行いました。このほど調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
※医療経営情報研究所は産労総合研究所(東京都千代田区、代表・平盛之)の附属機関です。

 

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介護施設における経費削減に関する実態調査
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調査結果のポイント

(1)経費削減の取り組み

  • ほとんどの施設で経費削減の取り組みあり。半数が「5年以前」から実施
  • 7割が経費削減の取り組みを明文化

(2)経費削減の対象項目 [1]人事管理に関するもの

  • 削減対象項目として3割を超えているものは、「アルバイト、パート、契約社員の採用」、「賞与に評価制基準を導入」の2つで、ともに31.0%(複数回答)

(3)経費削減の対象項目 [2]日常業務活動に関するもの

  • 事務的業務では「裏面コピー」、購買は「相見積り」、消耗品は「まとめ買い」「一括保管」など (複数回答)

(4)経費削減の対象項目 [3]固定費(人件費以外)に関するもの

  • 蛍光灯の本数制限等のほか、利用者居室のエアコン、テレビ等も経費削減対象(複数回答)

(5)今後、高騰すると予想される経費

  • 上位3項目は、「人件費」(82.4%)、「光熱費」(81.9%)、「修繕費」(74.6%) (5つまでの複数回答)

 

調査要領

【調査名】  「介護施設における諸経費の削減取り組みに関する実態調査」
【調査対象】 「介護人材Q&A」の読者および介護施設から一定の方法で抽出した1,600施設
【調査時期】 2013年7月
【調査方法】 郵送によるアンケート方式
【有効回答数】回答のあった203施設等を集計。内訳は、介護老人保健施設24.1%(49施設),
       特別養護老人ホーム52.7%(107施設),病院5.9%(12施設),
       グループホーム5.9%(12施設),有料老人ホーム5.9%(12施設),
       その他5.4%(11施設)。

医療経営情報研究所では、厳しい財政状況、職場環境にあるといわれる介護施設における日常業務の実態を把握し、より良い施設環境作りの一助としていただくために各種調査を行っております。今回初めて「介護施設における経費削減に関する実態調査」を実施し、調査結果がまとまりましたのでご紹介します。

今回の調査結果からは、どの施設・病院(以下、単に「施設」)も、ムダの排除や固定費の削減努力を、年度方針・部門方針等として徹底させていることがうかがえます。介護は医療とともに成長産業と謳われ、新規参入事業所も増えていますが、その反面、適正サービスを提供するために欠かせない正規職員の採用が年々厳しさを増し、人手不足が慢性化しています。

人員体制が十分でない中で、利用者に提供するサービスの質を維持・向上していくにはどうしたらよいか、本調査の自由記入欄をみると、各施設とも「経費削減」を経営の重要な柱と位置づけていますが、その前提条件として「サービスの質を低下させないこと」をあげており、その両立に苦心している様子がうかがえます。

調査結果をみると、例えば人事管理に関する削減策として、「アルバイト・パート、契約社員の採用」が3割を超えていますが、これは正規職員から非正規職員、あるいはアウトソーシングにドラスティックに切り替える、というよりも、「非常勤職員は、特に問題がなければ正規職員への採用切り替えを実施し、定着化を図っている」(自由記入欄・老健)「必要な業務に必要な人材(非正規職員)を配置する」(同・特養)、「離職率の高い業界なので初めから正規職員での採用はリスクが高い。本人次第で早期に正規職員にしている」(同・特養)といったように、厳しい雇用情勢下ではあるけれども、非正規として採用後、業務への取り組み状況等で判断して正規職員に転換させるというスタンスの回答が多くみられました。

また、組織全体として諸経費の削減、ムダの排除、エコ活動等に取り組み、これによって「人件費」への影響を回避したいとする意見も多くみられました。

 

調査結果の概要

(1)経費削減の取り組み

ほとんどの施設で経費削減の取り組みあり。半数が「5年以前」から実施7割が経費削減の取り組みを明文化

経費削減の取り組みは、ほとんどの施設で行われており、うち5割の施設は「5年以前」から取り組んでいる。「組織的には実施していない」は10.4%にすぎない(図表1)。
また、経費削減の取り組みを明文化しているかたずねると、7割がその旨を「明文化」していると回答した(図表2)。

図表1 いつから経費削減の取り組みを実施しているか(単位:% (n=201))

図表

図表2 経費削減の取り組みを明文化しているか(単位:% (n=182))

図表

 

(2)経費削減の対象項目 [1]人事管理に関するもの

人事管理に関する削減項目は、「アルバイト、パート、契約社員の採用」、「賞与に評価制基準を導入」がともに3割

本調査では、経費削減の対象としたものにはどのようなものがあるかをたずねている。まず、人事管理に関する削減項目として3割を超えているものは、「アルバイト、パート、契約社員を採用した」、「賞与に評価制基準を導入し総額削減を図った」の2つで、ともに31.0%だった。
次いで、「ノー残業デーや定時退社日を設定した」、「賃金処遇制度を見直し改訂した」が2割強だった(図表3,複数回答)。

図表3 人事管理に関する削減項目(複数回答)

図表

 

(3)経費削減の対象項目 [2]日常業務活動に関するもの

事務的業務では「裏面コピー」、購買は「相見積り」、消耗品は「まとめ買い」「一括保管」など

日常業務活動に関する削減項目で、半数を超えて実施されているものは、「コピー用紙の裏面活用や印刷形式の統一化を図った」(69.8%)、「介護用材に相見積りを行い安価な取引先に変えた」(66.5%)、「消耗品の『まとめ買い』『一括保管』を行った」(50.3%)の3つであった(図表4,複数回答)。

図表4 日常業務活動に関する削減項目(複数回答)

図表

 

(4)経費削減の対象項目 [3]固定費(人件費以外)に関するもの

蛍光灯の本数制限等のほか、利用者居室のエアコン、テレビ等も経費削減対象

人件費以外の固定費に関する削減項目としては、約半数が「蛍光灯や電球の使用本数を制限した」(50.6%)と回答している。次いで、「職員のエレベーター利用を禁止した」(40.2%)、「LED蛍光灯に交換した」(37.4%)があげられた。
また、「利用者のエアコンの温度を制限した」(33.9%)、「利用者が居室で使用するテレビ等の使用を有料化した」(12.1%)など、利用者居室も経費削減の対象となっている(図表5,複数回答)。

図表5 固定費(人件費以外)に関する削減項目(複数回答)

図表

 

(5)今後、高騰すると予想される経費

今後、最も高騰すると予想されるのは「人件費」(82.4%)

今後、高騰すると予想される経費について、5つまでの複数回答でたずねたところ、「人件費」(82.4%)が最も多く、次いで、「光熱費」(81.9%)、「修繕費」(74.6%)の3つが上位にあげられた(図表6,複数回答)。

図表6 今後、高騰すると予想される経費(5つまでの複数回答)

図表

 

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※ 詳細データは「介護人材Q&A」2013年10月号にて掲載しています。

 

本リリースに関する取材などのお問い合わせ

株式会社産労総合研究所 附属 医療経営情報研究所「介護人材Q&A」編集部   担当:高橋、菅原、小林
TEL 03(3237)1624   MAIL edt-j@sanro.co.jp

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