わかりやすい
労働統計の見方・使い方

人事

賃金・賞与・退職金
わかりやすい労働統計の見方・使い方

■古田 裕繁・著
■B5判・245頁
■本体価格 4,600円
■ISBN 978-4-86326-082-5 C2032
■発行日 2010年10月

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目次

第1部 賃金・労働時間・勤労者家計
1 賃金比較
対話1 賃金比較って何?  ラスパイレス比較とパーシェ比較
  たくさんの数値の代表/意味のある分け方/条件や前提を揃える/目的は何?/年齢構成を同じにする/どちらを基準にするか/比率の平均
対話2 世間水準との賃金比較  賃金センサスを活用する
  世間相場との比較/いろいろな計算方法/賃金センサス/平均年齢の意味
対話3 年齢各歳別賃金の推計  直線補間で特定年齢の賃金を推定する
  グラフから年齢別賃金を読みとる/特定年齢の賃金の推定/特定年齢・特定勤続年数の賃金の推計

2 賃金分布
対話4 賃金分布[1]  賃金分布図の作り方・見方
  平均と散らばり/賃金分布図の作り方のポイント/分布図の見方のポイント/分布に関する指標/世間一般の賃金分布/分布図に特性値を加えてみる/年齢別にみた賃金分布
対話5 賃金分布[2]  賃金分布特性図の作り方・見方
  年齢階級別にみた賃金分布特性図/職種別にみた賃金分布特性図/箱ヒゲ図作成に挑戦/賃金センサスのナゾ/分布の不平等度をみる/所得格差の拡大をどう確認する?/調査のサンプル数
対話6 賃金プロット図[1]  ピボットテーブルの使い方
  賃金プロット図を描く目的/サンプル賃金データ/ピボットテーブルの使い方/賃金プロット図に賃金カーブ(直線)を描く/ピッタリ・フィットの尺度と最小二乗法
対話7 賃金プロット図[2]  賃金プロット図の傾向線を求める
賃金プロット図の傾向線を求める方法/2次式による傾向線/労働者の種類別賃金プロット図/2次式の賃金カーブの傾き/賃金の決め方の変遷/生計費としての賃金/家計消費の統計と標準生計費

3 賃金制度
対話8 賃金制度[1]  賃金形態・賃金体系・賃金構成
賃金形態/賃金(基本給)体系/主な基本給項目/賃金構成/諸手当
対話9 賃金制度[2]  賃金表・定昇とベア・賞与
賃金表/定昇とベア/毎月勤労統計調査の概要/賞与/年間賃金/生涯賃金
対話10 退職金,労働費用と労働分配率  労働費用と付加価値,労働分配率の関係
退職金/労働費用/労働費用と付加価値,労働分配率の関係

4 労働生産性・労働分配率
対話11 労働生産性と労働分配率[1]  労働生産性と賃金の関係は?
労働分配率の推移/国全体の労働分配率/労働分配率の見方/労働生産性の定義/労働生産性の算式/労働生産性と実質賃金の推移/労働生産性と賃金の関係
対話12 労働生産性と労働分配率[2]  労働生産性の使い方
労働分配率についての労使の争点/労働生産性の使い方/労働分配率の要因分解/単位労働コスト/賃金コスト指数

5 労働時間
対話13 労働時間  労働時間に関する統計と現状
労働時間に関する統計/変形労働時間制・裁量労働制/法定労働時間の変遷/労働時間短縮/年間労働時間/所定労働時間の現状/国際比較/景気指標としての所定外労働時間/サービス残業/生活時間の配分

6 勤労者家計
対話14 勤労者家計[1]  家計調査の見方・使い方
  消費に関する統計/家計調査の概要/家計調査の見方/消費の構造変化
対話15 勤労者家計[2]  消費者物価指数のしくみと見方
  家計のストック/金融資産・負債/住宅・土地・耐久消費財(実物資産)/消費者物価指数のしくみ/消費者物価指数の見方

第2部 就業・失業・雇用管理
7 人口・就業・雇用
対話16 就業・雇用に関する世帯統計  国勢調査から就業構造基本調査まで
  労働者数を調べる2つの調査方法/雇用に関する主な調査/国勢調査/労働力調査/就業構造基本調査
対話17 人口と就業・雇用の動向[1]  将来人口推計と労働力人口
  総人口の推移/人口の将来推計/年齢構造の変化とその影響/15歳以上人口と労働力人口/労働力率/従業上の地位別
対話18 人口と就業・雇用の動向[2]  産業分類・職業分類と雇用マトリックス
  職業別就業者/産業分類・職業分類/産業・職業に関する統計/労働力人口増減の要因/就業形態の多様化,非正規雇用の増加
対話19 人口と就業・雇用の動向③  労働力のフローとストック
  100人の村/労働力のフローとストック/追加的就業効果vs.就業意欲喪失効果/人口・労働力の都市集中/昼間人口vs.夜間人口/2007年問題 団塊世代のUターン・Iターン

8 労働需要・供給
対話20 労働需要  労働需要を規定する要因とは
  労働需要は生産からの派生需要/労働需要を規定する要因/企業の労働需要の図式化/生産量の変化が雇用に与える影響/生産技術の変化が雇用に与える影響/相対価格の変化が雇用に与える影響/雇用調整/労働需要に関連した指標
対話21 労働需要に関連した指標  景気動向指数から労働経済動向調査まで
  景気動向指数/雇用人員判断,雇用過剰感/適正労働者数・過剰労働者数/在庫循環・在庫調整/雇用調整実施状況/欠員/一般職業紹介状況/将来見通し
対話22 労働供給  所得と就業の関係
  発展途上の労働供給理論/労働供給分析の現代的課題/労働力率に関する統計的事実/ダグラス・有沢の法則/夫の所得と妻の就業の関係/労働供給の分析手法/労働時間と余暇時間/生活時間調査/無差別曲線/効用極大化と最適労働時間/所得・余暇選好と労働供給曲線の形状/指定労働時間の場合の就業選択

9 失業
対話23 需要不足失業と摩擦的・構造的失業  失業の原因と失業対策
  失業の分類/自発的失業vs.非自発的失業/労働力調査の求職理由/需要不足失業vs.摩擦的・構造的失業/失業の理論的な説明/古典派の労働市場モデル/ケインズの労働市場モデル/失業の原因と失業対策/UV分析
UV曲線と摩擦的・構造的失業率の推計
対話24 失業に関する経験則  オークン法則とフィリップス曲線
  ミスマッチ指標/オークンの法則:失業率と経済成長率の関係/オークン法則の日本への適用/フィリップス曲線:失業率と物価上昇率の関係/日本のフィリップス曲線/オークン法則・フィリップス曲線の日米比較/自然失業率・NAIRU
対話25 失業率の国際比較  ILO基準の失業の定義
  サプライサイド経済学/経済思想:新自由主義・市場原理主義/国際比較:ILO基準の失業の定義/失業率のU1~U6指標/潜在失業・不完全就業
対話26 労働力状態のフロー表  フロー分析の考え方
  失業の深刻さ/続き柄別失業者(世帯主失業者)/求職理由別失業者(非自発的理由離職失業者)/失業期間別失業者(長期失業者)/失業のフロー分析:失業頻度と失業継続期間/フロー分析の考え方/フロー分析による遷移確率の計測結果/フロー表の作り方のアイデア
対話27 地域別失業率と推計方法  都道府県別失業率のモデル推計値
  地域別の失業指標/季節調整法/都道府県別失業率のモデル推計値

10 労働移動・企業の異動・雇用管理
対話28 労働移動  転職と労働移動の見方
  転職・労働移動の見方/転職・労働移動に関する統計調査/転職率の長期的推移/属性別の転職率/転職希望率/産業・職業・地域間の労働移動/同一企業への定着率/
対話29 事業所・企業の異動  親会社・子会社,事業所の新設・廃止
  事業所・企業統計調査の概要/事業所の定義/事業所の形態/企業と事業所の対応/企業の形態/企業活動と雇用の増減/事業所の新設・廃止の把握/新設・廃止と標本調査への影響
対話30 雇用管理  継続雇用制度と引退年齢
  雇用管理制度/雇用管理に関連する調査/継続雇用制度/平均引退年齢/役職者/人事管理上の問題点と今後の方針

コラム目次
雇用・就業形態の多様化に対応した賃金構造基本統計調査の改正
(2005年)
[1] 雇用・就業形態の多様化に対応した賃金構造基本統計調査の改正(2005年)
[2] 賃金構造基本統計調査の調査票様式を確認しよう
[3] 分散の計算例
[4] さまざまな算式をもつジニ係数
[5] 絶対的貧困と相対的貧困
[6] 「2009年就労条件総合調査」で賃金制度の大きな変化が明らかに
[7] 何らかの業績・成果を賞与の決定要素に
[8] 企業年金制度の現状
[9] 「統計」と「調査」の違い
[10] 人間らしい生活に向けてディーセント・ワーク
[11] GDPに対抗する幸福の指標
[12] 高齢無職世帯は月5万円の赤字
[13] ラスパイレス物価指数とパーシェ物価指数の計算例
[14] 賃金水準・物価水準の国際比較
[15] 2010年国勢調査で就業形態の実態を把握
[16] 各国で違う労働力人口の対象年齢
[17] 女性の労働力率のレベルは国によってさまざま
[18] 1次,2次,3次産業別構成比を三角グラフで表す
[19] 労働力調査のサンプルローテーション
[20] 景気動向指数はDIからCI中心に
[21] 労働力調査で就業率が注目を集める
[22] 統計法の全面改正(2009年4月全面施行)
[23] 経済センサスが始まる

はじめに

本書は,賃金から雇用・失業までの幅広い範囲の労働統計を,基礎から応用まで,楽しく学べるように記したものです。
本書の主な特徴は,次のとおりです。
[1] 対話形式なので,気軽に通読できる
[2] 調査の内容,統計表の見方・使い方を,統計の仕組みから解説してある
[3] 調査結果を利用した推計・分析について,その手法が詳しく説明してある
[4] 官庁統計の企画・実施・分析に豊富な経験と知識をもつ著者が執筆している
話は,入社6年目で人事部に配属された,元気で好奇心旺盛な「さおりさん」と,大学で労働統計を教えている「おじさん」との対話形式で進んでいきます。
本書の基になったのは,産労総合研究所「賃金事情」の2005年9月20日号から2008年5月20日号まで,31回にわたって連載した『知れば楽しい労働統計使い方教室』で,それに加筆し,再構成したものです。

統計は,初めての人には,決して使いやすいとはいえません。統計を活用するには,ある程度の予備知識が必要です。本書はそのための手引書です。本書の各対話の内容は,さおりさんが統計関係の仕事で困ると,おじさんのところへ相談に行くという設定になっています。最初から最後まで,軽妙なやりとりを楽しみながら通読していただくと,知らず知らずのうちに,労働統計の全般について,使い方の極意が習得できるようになっています。対話形式で毎日1つのトピックを学んでいただくと,30日であなたも労働経済白書が読めるようになるでしょう。また,気になった箇所を調べるための事典代わりに,拾い読みすることもできます。

本書の構成は,第1部の「賃金・労働時間・勤労者家計」と第2部の「就業・失業・雇用管理」からなります。一般的な労働経済の本の構成は,労働市場・雇用・失業から入って,賃金,労働時間,勤労者生活と進みますが,本書では,初めて賃金実務を担当することになったさおりさんを想定し,やさしい賃金比較からはいって,徐々にレベルアップしていきます。
この本をとくに読んでもらいたい方々は,企業の人事担当者,労働組合の担当者,官公庁の統計担当者,調査研究機関の研究員,また,労働経済を学ぶ大学生などです。各方面で労働統計を利用されている皆様のお役に立つことができれば幸いです。初心者向きにやさしく書いていますが,内容は応用面まで含め本格的ですから,すでにこれらの労働統計を使っている方にとっても,新たに得るところがあると思います。
昨今,労働経済を取り巻く環境は大きく変化しています。本書に掲載している統計データは連載時のものが多いのですが,本書の内容は,統計データの見方が中心ですので,できるだけ長期の動きを見るように心がけました。データが古い新しいにはあまり影響されないと思います。変化のときこそ,変わらない基本を理解しなければなりません。経済情勢の変化を超えて役立つ,統計の見方という“知恵”を身につけていただきたいと願っています。なお,いくつかの重要なその後の動きについては,コラムで補っています。

労働統計使い方の極意を3つあげましょう。
1つは,統計を利用するためには,統計を選ばなければなりません。そのためには,まず,自分が何を知りたいのかをはっきりさせることが,実は重要です。同時に,それぞれの調査には,それぞれ目的がありますので,その仕組み・内容を理解することが大切です。
2つは,労働の分野は,多くは労使のコンセンサスの上で動いています。行政レベルでの政策立案から個別企業での課題解決まで,労働統計は,労使のコンセンサスを得るためのインフラとしての役割が大きいことに注意を払いながら利用しましょう。
3つは,統計データの分析にあたっては,自分で,いろいろなグラフをいっぱい描いてください。統計表は数字の羅列ですから,それだけで,変化や動きを読み取るのは難しいと思います。実際にレポートに載せるのはほんの数枚でも,その準備段階として,グラフを描いて,統計を眼で見てわかったと納得することがきわめて大事なことなのです。今ではインターネットでほとんどのデータが入手できますから,それほど苦になる作業ではないでしょう。そのうえで,本当に伝えたいことを明確にして,相手にそれを伝えるためのグラフを仕上げましょう。

2010年9月
古田 裕繁

なお,本書の内容は,著者の個人的見解であり,過去および現在の所属する組織,また,調査を実施している組織とは関係ないことを申し添えておきます。

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