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労務事情
その他 Q&Aで学ぶ労働基礎講座
2004/12/1
Q

内部告発 :
内部告発者を, 秘密漏洩を理由に懲戒処分できるか?

社員が社内における極秘検討会の内容を外部に漏らし, これがマスコミ等で大きく取り上げられました。 秘密漏洩を理由に, 懲戒処分できるでしょうか?
   
A 円滑な企業運営に支障を与える内容であれば処分は可能でしょうが, 正当な目的でやむを得ずなされた等の事情があれば, 処分できません。
 
一般的には, 社内の秘密事項を漏洩することは, 契約上の信義則に反しますし, それによって企業運営への具体的支障が生じれば懲戒事由に該当するといえるでしょう。 もっとも形式的な 「社内秘」 事項であっても, その漏洩がなんら企業の運営や信用に影響を与えないものであれば, 懲戒処分とするまでの非違性は認められないでしょうし, 手続きおよび内容の相当性からの判断も必要です。

一方で, その公表が本人ないし第三者の正当な目的を守る目的で, かつ相当な手段によりなされた場合には, 懲戒処分はできません。 裁判例では, 医師による抗生物質過剰投与問題の保健所への通報 (医療法人思誠会〈富里病院〉事件・東京地裁平 7.11.27 判決, 労働判例 683 号 17 頁), 経営批判や社内の労働基準法違反の勤務実態に関する一般出版物への寄稿 (三和銀行事件・大阪地裁平 12.4.17 判決, 労働判例 790 号 44 頁), 生協理事の不正経理疑惑に関する文書の総代らへの送付 (大阪いずみ市民生協〈内部告発〉事件・大阪地裁堺支部平 15.6.18 判決, 労働判例 855 号 22 頁) 等につき, 懲戒事由該当性ないし相当性が否定されています。

ただしその公表が, 公益や当該企業の利益保護, 正当な権利の実現等の目的をもたない場合はもちろんのこと, その発表態様が相当性を欠いている場合に, 懲戒処分を課しうる余地はあります。 裁判例では, 内容が虚偽である場合や, 疑惑を真実であると信じるに足りる根拠がない場合に非違性を認めるケースが多いのですが, この場合も, 公表目的も考慮しつつ相当といえる懲戒内容にとどめる必要はあるでしょう。

なお本年6月に成立した公益通報者保護法 (2年以内に施行) は, 刑法, 食品衛生法, 証券取引法, 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律, 大気汚染防止法, 廃棄物の処理及び清掃に関する法律, 個人情報の保護に関する法律, その他個人の生命又は身体の保護, 消費者の利益の擁護, 環境の保全, 公正な競争の確保等の利益の保護にかかわるものとして政令で定める法律に違反する犯罪行為が企業内で発生し, あるいは生じようとしているときに, 労働者が監督機関への通報や, 報道機関等への通報 (この場合, 同法3条3号の定める要件が必要です) をしたことを理由とする, 当該通報者に対する解雇, 派遣解除の無効や不利益取扱いの禁止を定めています。

勝亦啓文

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