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労務事情
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2004/12/1
Q

兼業と副業 (アルバイト) :
副業をしていることが判明, 社員への懲戒処分は可能か?

正社員が, 副業をしていることが判明しました。 業務に直接の影響はありませんが, 好ましくないと考えます。 懲戒処分は可能でしょうか?
   
A 好ましくないというだけでは, 懲戒処分はできません。
 
使用者は, 就労時間内であるがゆえに, また企業の施設管理権限下にあるがゆえに, 労働者の一定の自由を拘束できるのであって, 就業時間外の行為について当然に規制できるわけではありません。 憲法で職業選択の自由 (22 条1項), 勤労の権利 (27 条) が保障されていることを考えれば, 私法上の関係でも, その自由を最大限尊重すべきでしょう。 しかし, 兼業が労働者の本来負うべき契約上の義務に反する結果を招く場合や, 労働者が負担すべき付随的な義務に違反する場合に, 一定の規制をかけることは可能でしょう。

前者のケースとしては, 兼業により就労能力が低下した, 顧客との関係に悪影響が生じた, 当該兼業に関連する行為を勤務時間内に行った場合などが考えられますが, これらは兼業そのものの非違性ではなく, 労働者の責に帰すべき事由によって本来の業務遂行が果たされていない点の非違性を問うことになります。

後者のケースとしては, 競業会社での就労や同業事業への役員就任など, それ自体が使用者の利益を害する蓋然性を有するときがあげられます。 このような競業の場合は, 兼業行為自体に労働者の非違性を認める裁判例が多いといえます。 また判例では, 競業行為とはいえない場合であっても, 企業秩序や信用を害する危険を排除するために兼業について事前の許可を求めることは不当とはいえないとしており, 許可を得ずに深夜長時間のアルバイトをしていた従業員の普通解雇を有効とする例があります (小川建設事件・東京地裁昭 57.11.1 9決定, 労働判例 397 号 30 頁)。

当然に非違性が認められないような兼業でも, 就業規則で事前の許可を義務づけることは可能ですが, 処分を前提とするならば就業規則で明確に定めておく必要があります。 もっとも, 就業規則等で禁止された 「兼業をした」 という事実がただちに懲戒につながるわけではありません。 当該兼業行為が, 就業規則により禁止されている行為といえるか (本来の業務に悪影響を与える, 企業の信用や職場秩序を害するといえる程度のものか), 該当するとしても, 処分の手続きと処分内容が相当であるかという観点からの制約があります。

ご質問の場合も, 就業規則で禁止されている必要があることはもちろんのこと, 懲戒事由該当性, 処分の相当性も問題になります。 「好ましくない」 程度では不十分で, 企業運営に具体的悪影響を与えるものでなければ懲戒はできないと考えます。

勝亦啓文

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