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労務事情
派遣労働 Q&Aで学ぶ労働基礎講座
2004/11/1
Q

派遣社員の交替:
派遣元に派遣労働者の交代を求めることはできるか?

現在派遣されている派遣社員の能力が期待していたほどではないのですが, 派遣元に派遣労働者の交代を求めることはできますか?
   
A 「期待していたほどではない」 というだけでは, 差し替えは求められないと考えられます。
 
派遣労働関係がすでに成立している状況下では, 通常は派遣先と派遣元との派遣契約において一定の期間, 一定の労働者を派遣することが予定されていますし, 派遣元と派遣労働者の間の労働契約も期間, 勤務地が特定されています。 三者の契約関係はすでに確定しているのですから, 派遣先の一方的な意思でこれを変更できるわけではありません。 この契約関係を変更するには, 三者の合意によって既存の契約内容を変更するか, 派遣契約を解除して, 新たな派遣契約を締結するしかありません。 ただし, 派遣法 27 条で, 派遣労働者の国籍, 信条, 性別, 社会的身分, 労働組合活動等を理由とする派遣契約の解除が禁止されています。 また, 「派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針」 (平 11.11.17 労働省告示 138 号) 第2の6も, 派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置として, 派遣先の責に帰すべき事由による解除の場合には事前申し入れ, 派遣元・派遣労働者に対する損害賠償の協議等を求めています。 一定の差別的理由による解除は公序良俗違反として違法となりますし, 派遣先の責に帰すべき事由による解除は, 契約一般の原則により派遣元に対する債務不履行責任が発生します。 場合によっては派遣労働者本人に対する不法行為責任が発生する余地もあるでしょう。

当該派遣労働者の能力不足による解除は, 派遣先の責に帰すべき事由とはいえませんから, 一応は派遣契約の解除事由になりえます。 この場合, 派遣労働者に要求される業務遂行能力の水準は, 派遣契約の合意内容により定まります。 具体的裁判例はないものの, 一般的な契約意思の解釈からすれば, 常に 「平均以上」 の業務遂行能力が要求されるわけではないでしょうし, 派遣先の主観的評価で契約上要求される水準が定まるものでもありません。 この意味で, 「期待していたほどではない」 というだけでは, 解除事由にはあたらないと考えられます。 労働者の責に帰すべき事由といえるだけの業務遂行能力の不足があれば, 現在の派遣契約を解除し, あるいは本来解除すべきところ三者の合意により契約内容を変更することに, 法的問題はないと考えられます。 実際には, 派遣先が優位な立場にいることから, 些細な理由でも, 派遣元が結果的に差し替えを受け入れているケースを散見しますが, 問題のある対応です。

勝亦啓文

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