| |
違法なストライキの実行行為者は刑事・民事上の免責は受けられませんから, その法的責任を追及することはできます (ただし 「違法」 とされる行為の範囲は, 刑事・民事責任ではやや異なります)。
争議中でも使用者には操業の自由があります。 判例は, 就労しようとする非組合員に対する呼びかけないし平和的説得にとどまるピケット (就労妨害) は許されるものの, 実力で就労を阻止する行為は正当な争議行為とはいえないとしていますから (御国ハイヤー (ピケ) 事件・最高裁第2小法廷平 4.10.2 判決, 労働判例 619 号8頁), ご質問の場合は, 少なくとも民事免責を受けられない違法な争議行為ということができるでしょう。
しかし, 組合がそのような違法争議行為を行ったからといって, ただちに組合幹部に責任が生じるわけではありません。 その者が争議の企画, 指令, 実行に実際に関与していなければ懲戒対象とはできません (たとえば病気療養中のため争議に一切かかわっていなかった委員長の責任を否定する例として, 三井造船玉野事件・東京高裁昭 30.10.28 判決, 労働関係民事裁判例集6巻6号 843 頁)。
他方, その幹部が違法な争議行為自体を企画・立案, 指令したのであればその責任を問うことはできます。 また, 個別組合員の判断によって違法行為が行われた場合も, 判例の一般的傾向としては, 組合幹部に違法争議行為の防止義務があることを理由として, 幹部の個人責任を認めています。 ただし, この防止義務は, 当該争議の規模や遂行方法, 違法行為発生に至る経緯や具体的様態によって, その程度は異なります。 少なくとも, 当該幹部が, 違法行為の発生を実際に知りうる, ないし当然に予想できるような状況にあったことが必要であると考えられます。
なお, 懲戒処分一般にいえることですが, 適正な手続きと処分の相当性が必要です。 就業規則等の手続きに従うのはもちろんのこと, 処分対象行為と処分内容の均衡に注意する必要があります。 企業秩序違反の程度が軽微であるにもかかわらず懲戒解雇としたり, 過去の処分例に比して極端に重い処分をしたりすれば相当性を欠き無効とされますし, 不当労働行為とされる場合もあるでしょう。
勝亦啓文
|