就業規則とは, 従業員が勤務するにあたって守らなければならない職場規律や, 各種の労働条件の内容を定めた規則類の総称です。
ところで, この就業規則の機能を実務の面からみた場合は, まず第1に, 従業員の労働条件を統一的・画一的に決定する機能があり, 第2に, 従業員と使用者間の労働契約上の権利・義務の典拠となる機能, および, 第3に, 使用者の労務管理における判断基準としての機能をもつといえましょう。
すなわち, 使用者と従業員の間で労働条件について紛争が生じた場合は, まず, 就業規則の定めに基づいて解決が図られることになり, 人事や労務の実務担当者には, 労務管理を行ううえでの判断指針となるものです。
また就業規則は, 個別の労働契約について最低基準たる効力 (「最低基準効」) をもち, 「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は, その部分については無効」 となり, 「無効となった部分は, 就業規則で定める基準」 により規律されることになります (労基法 93 条)。
すなわち, 個別の労働契約において, 就業規則の基準に達しない労働条件を定めることはできず, 就業規則の基準に達しない労働条件を定めた場合は, 就業規則の定める基準に引き上げられるということであり, 前者の効力を 「就業規則の強行的効力」, 後者の効力を 「就業規則の補充的効力」 といいます。
なお, 就業規則の内容は, 法令および労働協約の内容や基準に反することはできません (労基法 92 条1項)。
では, これらの機能や効力をもつ就業規則にはどのような事項が記載されなければならないかですが, 労基法 89 条では, 「常時 10 人以上の労働者を使用する使用者は, 次に掲げる事項ついて就業規則を作成」 しなければならないとして, 下記の事項を明示しています。
【絶対的必要記載事項】 (労基法 89 条1号〜3号)
@始業および終業の時刻, 休憩時間, 休日, 休暇に関する事項, および従業員を2組以上に分けて交替で勤務させる場合の就業時転換に関する事項 (1号)
A賃金 (ただし臨時の賃金を除く) の決定, 計算, 支払いの方法, および締め切り, 支払いの時期ならびに昇給に関する事項 (2号)
B退職に関する事項 (任意退職や, 解雇, 定年制など労働契約の終了に関する事項) (3号)
【相対的必要記載事項】 (89 条3の2号〜10 号)
C退職手当を支払う場合は, その適用対象従業員の範囲, 退職手当の決定, 計算, および支払いの方法ならびに支払いの時期に関する事項 (3の2号)
D臨時の賃金 (賞与・一時金など。 ただし退職手当を除く) などを支払う場合, および最低賃金額を定める場合は, これに関する事項 (4号)
E従業員に食費や作業用品などの費用を負担させる場合は, これに関する事項 (5号)
F安全・衛生に関する定めをする場合は, これに関する事項 (6号)
G職業訓練に関する定めをする場合は, これに関する事項 (7号)
H災害補償および業務外の傷病扶助に関する定めをする場合は, これに関する事項 (8号)
I表彰および制裁(懲戒)の定めをする場合は, その種類, および程度, 手続きなどに関する事項 (9号)
J上記のほか, 当該事業場の従業員のすべてに適用される定めをする場合は, これに関する事項 (10 号)
なお, 上記のうちの@からBまでの 「絶対的必要記載事項」 は, 使用者はいかなる場合があっても必ず記載しなければならない事項であり, CからJまでの 「相対的必要記載事項」 は, 制度として実施する場合は, 必ず記載しなければならない事項です。
また, 上記の記載事項のほかに 「任意的記載事項」 といわれるものがあります。 就業規則の制定趣旨や基本精神, 解釈の基準などに関する事項ですが, 規定するか否かは使用者が任意に決めることができます。