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労務事情
解雇・退職・懲戒(下) Q&Aで学ぶ労働基礎講座
2005/2/1
Q

希望退職:
希望退職の募集を行うときの留意点は?

不況対策として整理解雇を検討していますが, 整理解雇を実施する前に希望退職を募りたいと考えています。 留意事項などがありましたらご教示ください。
   
A 退職金の特別加算措置や再就職の斡旋などの施策を講じると同時に, 希望退職の申し込みに対する承認基準を作る必要があります。
 
「希望退職」 とは, 使用者の退職の誘引=勧誘に対する, 労働者側からの労働契約の合意解約の申し入れといえましょう。

一般に希望退職の募集は, 人員整理=整理解雇 (Q70 を参照) を行う場合の, 解雇回避の努力措置の1つとされていますが, 希望退職そのものは, 労働契約を労使双方の合意に基づいて解約することですから, 労働者の自由意思を抑圧しない内容・方法でなされるかぎり, 厳格な要件が課せられるわけではありません。

しかし, 希望退職の募集をスムーズに進めることは, 究極の目的である企業の合理化を効果的に行うことにもつながりますので, 実施にあたっては, そのあり方に留意する必要があります。

基本的な留意事項としては, 労働組合や従業員に対し, その必要性を十分に説明すること, および退職金の特別加算や再就職先の斡旋などの施策を講じる必要がありましょう。 希望退職の募集は, 転職の困難さや生活不安など労働者の以後の人生に大きな不利益を与えるものである以上, 使用者のほうから労働者の被る不利益を軽減する措置を講じるべきであり, とくに退職金の特別加算措置は欠かせない施策と考えます。

裁判例のなかには, 解雇の効力をめぐる争いにおいて, 会社が合意解約の申し入れを行った際に, 特別退職金などとして, 就業規則所定の退職金 802 万円のほかに 1,532 万円の支給を約束し, さらに解雇時に 335 万円を上乗せしたことにつき 「これは, 債権者の年収が 1052 万円であることに照らし, 相当な配慮が示された金額である」 と評価したものがあります (ナショナル・ウエストミンスター銀行 〔三次仮処分〕 事件・東京地裁平 12.1.21 決定, 労働判例 782 号 23 頁)。

希望退職の募集に際しての第2の留意点は, 会社がどうしても退職してほしくない者や, 退職されては困る者が応募してきた場合の対応策をどうするかということです。 希望退職への応募は, 労働者からの合意解約の申し込みですから, 不合理な基準でないかぎり, 希望退職の応募者の中から一定の応募者を選択し, その者に対して希望退職を承諾するという基準=希望退職承認基準を設けることも必要でしょう (したがって, 会社が承諾した者についてのみ退職金の特別加算などの優遇措置を行うとすることも可能です)。

ただし, 労働者には退職の自由がありますので, 当該労働者がどうしても退職したいという場合はこれを認めるしかなく, この場合は退職を思い止まるよう説得するしかないでしょう。

なお, 希望退職の募集につき, 女性だけとか男性だけを対象とする募集方法は, 男女雇用機会均等法の精神に照らして認められないと解します。


野村勝法

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