産労総合研究所
最新情報産労総研についてスペシャル情報ライブラリー各種お問合わせ
ホットニュース人事労務 Q&A労働経済データアンケート読者倶楽部


労務事情
解雇・退職・懲戒 Q&Aで学ぶ労働基礎講座
2005/1/1・15
Q

解雇予告:
解雇予告制度の目的と 「労働者の責に帰すべき事由」 の意味は?

度重なる無断欠勤や, 勤務時間中であるにもかかわらず私用外出や喫茶店に入り浸るなどの行為を繰り返し, 上司が再三注意をしても効果なしという問題社員がいます。 この社員を, 解雇予告や解雇予告手当の支払いをせずに解雇したいのですが, 可能でしょうか?
   
A 所轄の労基署長に解雇予告除外認定を申請し, その認定を受けて実施しなければならない。
 
その解雇が通常の解雇 (普通解雇) か, あるいは懲戒処分による解雇 (懲戒解雇) かを問わず, 使用者は労働者を解雇しようとする場合は, 少なくとも 30 日前にその予告をしなければならず, 30 日前に予告をしない場合は, 30 日分以上の平均賃金を支払わなければなりません (労基法 20 条1項−以下, 解雇予告制度といいます)。

一般に, 前者を 「解雇予告」, 後者を 「解雇予告手当の支給」 といい, 解雇に関する使用者のこの義務を 「解雇予告義務」 といいます。 この解雇予告制度は, 使用者の解雇自由の原則を前提に, 労働者が突然の解雇から被る生活上の混乱・困窮を緩和するために, 使用者の義務として設けられた制度とされています。

もっともその解雇が, @天災事変その他やむを得ない事由により事業の継続が不可能となったために行われる場合, または, A労働者の責に帰すべき事由に基づいて行われる場合で, 所轄の労働基準監督署長 (労基署長) により認定=解雇予告除外認定を受けた場合は, 使用者は上記の解雇予告または解雇予告手当の支払いをせずに解雇することができます (同条1項ただし書き, 3項, 同法施行規則7条)。

また本条の解雇予告制度は, 原則として(@)日々雇い入れられる者, (A)2カ月以内の期間を定めて使用される者, (B)季節的業務に4カ月以内の期間を定めて使用される者, および(C)試の使用期間中の者には適用されません (労基法 21 条本文)。 ただし, (@)に該当する者が1カ月を超えて引き続き使用されるに至った場合, (A)および(B)に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合, および(C)に該当する者が 14 日を超えて引き続き使用されるに至った場合は適用されます (同条ただし書き参照)。

なお, 使用者が解雇予告手当を支払う場合は, 支払った解雇予告手当の日数分につき, 解雇予告の日数を短縮することができるとされています (同条2項)。 ただし, 解雇予告期間中といえども労働契約は継続していますので, 解雇予告を受けた労働者は 「予告期間満了までは従来の使用者のもとで勤務する義務があり」 (昭 33.2.13 基発 90 号 (20 条)), 使用者が解雇予告と同時に休業を命じた場合は, 労基法 26 条に基づき休業手当の支払いが必要です。 後者の件につき行政解釈は, 有効な 「解雇の意思表示があったために予告期間中労働者が休業した場合は, 使用者は解雇が有効に成立するまでの期間, 休業手当を支払えばよい」 としています (昭 24.7.27 基収 1701 号)

さて質問は, 度重なる無断欠勤や, 勤務時間中に私用外出をしたり喫茶店に入り浸るなどの行為を繰り返し, 上司が再三注意をしても効果なしという社員がいるので, 解雇予告や解雇予告手当の支払いをせずに解雇 (いわゆる即時解雇) したいが可能かということですが, 質問の場合は, まず解雇に先立って, 所轄の労基署長に上記Aに基づく解雇予告除外認定を申請し, この認定を受けて実施しなければなりません。

ところで, この解雇予告の除外事由である 「労働者の責に帰すべき事由」 については, 一般に次のような認定基準により判定されると解されています。

すなわち, 労働者の責に帰すべき事由とは 「労働者の故意, 過失又はこれと同視すべき事由」 で, 「当該労働者が予告期間を置かずに即時解雇されてもやむを得ないと認められるほどに重大な服務規律違反又は背信行為を意味するもの」 であり (シティズ事件・東京地裁平 11.12.16 判決, 労働判例 780 号 61 頁), 具体的には, 刑法犯に該当する行為, 賭博や破廉恥行為など職場秩序を乱す行為, 経歴詐称, 2週間以上の無断欠勤や, 他の事業場への転職, あるいは出勤不良または出欠常ならず, 数回にわたって注意を受けても改めない場合, などとされています (昭 31.3.1 基発 111 号 (20 条))。

また判定にあたっては, 労働者の地位, 職責, 継続勤務年限, 勤務状況などを考慮のうえ, 労働者の責に帰すべき事由が労基法 20 条の保護を与える必要のない程度に重大または悪質で, 使用者に解雇予告を行わせることが当該事由と比較して均衡を失しないかどうかの観点から総合的に判断し, 就業規則などに規定されている懲戒解雇事由に拘束される必要はないとされています (前掲・基発 111 号通達)。


野村勝法

最新情報 > 人事労務 Q&A > 労務事情 Q&A