産労総合研究所
最新情報産労総研についてスペシャル情報ライブラリー各種お問合わせ
ホットニュース人事労務 Q&A労働経済データアンケート読者倶楽部


労務事情
解雇・退職・懲戒 Q&Aで学ぶ労働基礎講座
2005/1/1・15
Q

退職の申し出:
口頭による退職の申し出でも有効か?

当社の就業規則では, 社員が退職を申し出る場合は, 会社に対し直属上司を通して, 退職願の提出により申し出なければならないと定めていますが, ある社員が, 退職願を提出しないで, 口頭で退職する旨を申し出てきました。 このような場合でも, その退職の申し出は有効でしょうか?
   
A 口頭による退職の申し出であっても, その申し出が真意に基づくものであれば有効ですが, 就業規則の定めに従って退職願を提出させ, 退職の意思を客観的に明確にさせる必要があります。
 
「退職」 とは, 労働契約の終了について, 使用者からの一方的な契約終了の意思表示である 「解雇」 以外の, 労働契約の終了事由を総称したものということができるでしょう。

この退職には, 労働者の死亡や定年退職 (定年退職についてはQ67 の 「定年制」 参照), あるいは契約期間の満了, 休職期間の満了などによる, いわゆる 「自動退職」 と, 労働者側からの労働契約の解約=退職の意思表示による 「任意退職」 があります。 任意退職はさらに, 使用者と労働者が合意によって労働契約を解約する 「合意解約」 と, 労働者が一方的に労働契約を解約する 「辞職」 (民法 627 条1項, 628 条) とがありますが (この辞職および合意解約の意味および法的効果については, Q63 の 「退職の撤回」 を参照してください), 労働者が使用者に労働契約の解約=辞職を申し出る場合で, 契約の期間に定めがない場合は, 2週間の予告期間をおけばいつでも契約を解約することができます。 ただし, 報酬が, 週休や月給などのように期間をもって定められているときは, 「次期以後ニ対シテ」 行うことができ, その申し入れは 「当期ノ前半ニ」 行わなければならないとされています (民法 627 条2項)。

ところで質問は, 労働者の口頭による退職の申し出の場合でも有効かということですが, 当該労働者の退職の意思が, 真意に基づく明確なものであれば, 口頭による退職の申し出であっても有効です。 退職の意思表示は要式行為ではありませんので, 必ずしも書面による必要はなく, 労働者の退職の申し出と, これに対する使用者の承諾があれば合意による退職が成立し, 労働者の一方的な退職の申し出の場合も, その申し出が真意に基づくものであれば, 書面による申し出でなくても退職は成立します。

ただし, 口頭による退職の申し出の場合は, その退職の意思が, 真意に基づいた明確なものであるか否かが判然としない場合があり, 退職の意思の当否・内容が裁判所で争われた場合, 退職願の提出など, 客観的で明確な手続きに従っていない場合は, 否定的に解される可能性が高いといえましょう。

したがって質問の場合, 口頭による退職の申し出が当該社員の真意に基づく退職の意思表示であるとしても, 就業規則の定めに従い, 退職願を提出させて, 退職の意思が真意に基づくものであることを客観的に明確にするように求める必要があります (これらの件につき, 古い裁判例として全日本検数協会事件・横浜地裁昭 38.9.30 判決, 労働法律旬報別冊 508 号参照)。


野村勝法

最新情報 > 人事労務 Q&A > 労務事情 Q&A