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計画年休制度 (労基法 39 条5項) は, 労働者が自己の業務との調整を図りながら, 他の労働者に気兼ねなく年休を取得することを可能とすることによって年休の取得率を向上させ, 併せて, 実質的な労働時間の短縮を図ることを目的として設けられた制度です (昭 63.1.1 基発1号 (39 条))。
計画年休を実施するためには, その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と, 労働組合がない, あるいは労働組合はあるが過半数で組織されていない場合は, 当該事業場の労働者の過半数を代表する者との間で, 計画年休に関する労使協定を締結しなければなりませんが, その協定事項は次の事項です。
第1の協定事項は, 計画 「年休を与える時季」 に関する事項ですが, 年休を与える時季, すなわち計画年休の付与方式については, 次の方式が考えられるとされています (前掲・基発1号)。
(イ) 事業場全体での一斉付与方式
(ロ) 班別の交替制による付与方式
(ハ) 計画年休表による個人別付与方式
すなわち, 上記の(イ)(ロ)(ハ)などの方式による, 年休を与える時季に関する事項を協定するわけですが, (イ)または(ロ)の方式を採用する場合には, その方式と年休の具体的な付与日を協定しなければなりません。 また(ハ)の方式を採用する場合は, 計画表を作成する時期, 手続きなどを協定する必要があります (前掲・基発1号)。 もちろん, 上記の方式は例示ですから, これ以外の合理的方法があればそれでもよいわけですが, いずれにせよ, 年休を与える時季に関する事項を協定しなければなりません。
第2の協定事項は, 計画年休の対象となる労働者の範囲を明確にすることです。
つまり, どういう労働者を当該計画年休の対象者とするかということですが, この場合留意しなければならないことは, 特別の事情にある労働者, たとえば, 計画年休の実施期間中に退職する予定の労働者とか, 産前・産後休業中の者 (あるいはその予定者), 育児・介護休業中の者などは, その対象者から除外するなどの配慮が必要ということです (前掲・基発1号)。 また, 協定締結時点では育児休業や介護休業を取得する予定ではなかったが, 協定締結後に取得しなければならなくなった者の取り扱いについても配慮が必要でしょう。
そして, このような事項について協定した計画年休協定は労使双方を拘束します。 したがって, これに反対する労働者にとっても協定された当該日は年休となり, 労働者が別の日を年休日として請求しても使用者はこれを拒むことができます。 一方使用者も, 計画年休日として指定された日については時季変更権を行使することができません (昭 63.3.14 基発 150 号 (39 条))。
したがって, 計画年休の協定締結時には予測し得なかった事態に対処するためには, 計画年休の第3の協定事項として, 計画年休の変更に関する要件・手続きになどについても協定しておく必要があるでしょう (なお, この計画年休の変更に関する事項は, 労使協定によっていったん特定した年休日の変更の問題であって, 労働者の時季指定による年休日の特定過程での時季変更権の問題とは異なります)。
ところで, 計画年休の対象となる年休は, 当該労働者に付与された年休のうち 「5日を超える部分」 (たとえば 11 日−5日=6日) がその対象となり, この対象となる年休には前年からの繰越分も含まれます (前掲・基発 150 号)。
では質問のように, 計画年休の対象となる日数が足りない者とか, 出勤率8割以上を満たせなかった者あるいは入社後間もないために年休がまったくない者の取り扱いをどうするかということですが, この問題について行政解釈は, @計画的付与の対象日数が 「足りない, あるいはない労働者を含めて年次有給休暇を計画的に付与する場合には, 付与日数を増やすなどの措置が必要」 であるとし (前掲・基発1号), A事業場全体の休業による一斉付与の場合で 「年次有給休暇の権利のない者を休業させれば, その者に, 休業手当を支払わねば労基法第 26 条違反となる」 としています (前掲・基発 150 号)。
したがって, 計画年休の対象となる年休が足りない者, あるいは年休がまったくない者をも含めて計画年休を実施する場合は, 当該労働者について計画年休に必要な年休を別途付与するなどの措置が必要となります。
考え方のなかには, このような場合の取り扱いについては 「振替休日」 「特別休日」 「時短休日」 などの取り扱いができるのではないかとの見解もありますが, 日給あるいは時間給のパート労働者などの場合は, 正社員の計画年休によって就労の機会を失い賃金を請求できないということになりますので, このような場合の実務的な解決策としても行政解釈の見解が妥当でしょう。
野村勝法
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