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休憩時間とは, 「……労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間……」 と定義されています (昭 22.9.13 基発 17 号 (34 条))。
権利として労働から離れることを保障されている時間が休憩時間ですから, 作業はしていないが, 使用者の指示があればいつでも作業に従事することができるように態勢を整えて待機している 「手待時間」 や (昭 33.10.11 基収 6286 号 (32 条), すし処 「杉」 事件・大阪地裁昭 56. 3. 24 判決, 労働経済判例速報 1091 号3頁), 警報や電話あるいは異常事態が生じたときは, ただちに相応の対応をすることが義務づけられているという場合の 「仮眠時間」 は (大星ビル管理事件・最高裁第1小法廷平 14.2.28 判決, 労働判例 822 号5頁), 傍目には休んでいるようにみえても, 労働からの解放がありませんので, ここにいう休憩時間ではありません。
ところで, この休憩時間について労基法は, 使用者は労働者に対し, 労働時間が 「6時間を超える場合」 は少なくとも 「45 分」 の, 「8時間を超える場合」 は少なくとも 「1時間」 の休憩時間を, 「労働時間の途中」 に与えなければならないと定めています (34 条1項)。 この趣旨および目的は, 労働がある程度継続した場合は,心身に疲労が蓄積して作業能率が低下し, ひいては不慮の災害を招くことにもなりかねないために, 一定時間労働から解放することによって心身の疲労を回復し, 作業能率の増進や災害の防止を図ることにあるとされています。
したがって使用者は, 労働者に上記の時間を超えて労働させた場合は, 少なくとも上記の時間以上の休憩時間を労働時間の途中で与えなければなりません。 なお, ここにいう 「労働時間」 とは, いわゆる 「実労働時間」 のことをいい (昭 22.11.27 基発 401 号 (34 条)), 6時間あるいは8時間を 「超える」 とは, 1勤務の実労働時間の総計が6時間または8時間を超えるという意味であって, 始業時から6時間または8時間を経過したという意味ではないことに留意しなければなりません。
では休憩時間はいつ付与するかですが, 労基法では 「労働時間の途中」 で付与するとのみ定めていますので (34 条1項), 休憩時間の前後に労働する時間があれば, その途中のどの時刻に付与するかは使用者の任意ということになります。 その意味で, 業務を開始する前あるいは業務を終了した後, たとえば, まず始業時刻の9時から 15 分間の休憩を与えて9時 15 分から業務を開始させ, 午後4時 30 分に業務を終了させて, その後に 30 分の休憩を与えるなどは, 労働時間の途中という要件を満たさないので不可ということになります。
なお休憩時間を分割して付与することは自由ですが, 極端に細かく分割しての付与は, 労基法が定める休憩の趣旨・目的に反するものとして効力を否定される可能性がありますので留意する必要がありましょう。 一般には, 昼食時の休憩時間としては最低でも 30 分は確保されているようです。
休憩時間は, 当該事業場 (作業場ではない) の全労働者に一斉に付与することが原則ですが (34 条2項), 運輸業, 商業, 金融・広告業, 映画・演劇業, 通信業, 保健・衛生業, 接客・娯楽業, 官公署には, この原則は適用されません (40 条1項)。 なお, 一斉付与が原則とされる業種でも, 労使協定の締結によって交替休憩を実施することができます (34 条2項但し書き)。
休憩時間は自由に利用することができますが (34 条3項。 休憩時間の自由利用の原則), 職場規律や施設管理上の規制に服することは当然ですし, 他の労働者の休憩を妨げるような休憩のとり方も認められません (目黒電報電話局事件・最高裁第3小法廷昭 52.12.13 判決, 労働判例 287 号 26 頁)。 行政通達では, 使用者は 「休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは, 休憩の目的を害わない限り差支えない」 とされ (昭 22.9.13 基発 17 号 (34 条)), 休憩時間中の外出につき許可制を設けることは 「事業場内において自由に休息しうる場合には必ずしも違法にはならない」 とされています (昭 23.10.30 基発 1575 号 (34 条))。
なお警察, 消防, 乳児院など業務の性質上, 休憩時間中であっても一定の場所にいなければならない労働者については, この原則は除外されています (労基法施行規則 33 条1項)。
さて, 質問の場合ですが, 上記で述べたように, 使用者は労働者に, 労働時間が6時間を超え8時間までの場合には, 少なくとも 45 分の, 8時間を超える場合には, 少なくとも1時間以上の休憩時間を与えなければなりませんので, 行われた時間外労働が実労働8時間以内であれば (すなわち5時 45 分までの労働), すでに付与している 45 分の休憩時間のままでよいことになります。 しかし, この時間外労働が8時間を超えて (すなわち5時 45 分以降も) 行われるのであれば, さらに 15 分以上の休憩時間を与えなければなりません。
ただし法的には, 当該労働日の労働時間がどんなに長くなろうとも, 使用者は1時間以上の休憩時間を付与すればよいと解されていますので, 時間外労働をさせた結果, 当該労働日の労働時間の合計が 10 時間を超えたとしても, 最低1時間の休憩時間を付与していれば, 労基法違反を問われることはありません。 しかし, 労働能率および従業員の健康管理など, 労務管理上の観点からは, それ以上の休憩時間を付与する必要がありましょう。
ではいつ付与するかですが, 労働時間が8時間を超える場合は, 少なくとも1時間以上の休憩時間を付与するという要請を満たすためには, 不足の休憩時間 15 分は, 時間外労働の終了前には付与しなければなりません。 一般には, 時間外労働が始まる前, すなわち質問の場合は, 所定労働時間の終業時刻とされている午後5時から, (少なくとも) 15 分以上の休憩をして, 再び (時間外) 労働が開始されています。
なお, 休憩時間に関する事項は, 就業規則の絶対的必要記載事項ですので, その位置や長さ, および取得の仕方などに条件があればその事項について, 就業規則に必ず記載しなければなりません (労基法 89 条1号)。
野村勝法
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