| |
休日労働とは, 1週1回, 4週4日以上の法定休日 (労基法
35 条) の日の労働をいいます (休日労働の意味および適法要件についてはQ37 を参照してください)。
ところで, 通説および判例によれば, (労基法上の) 労働時間とは 「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」
と定義されています (三菱重工業長崎造船所 (一次訴訟・会社側上告) 事件・最高裁第1小法廷平 12.3.9 判決,
労働判例 778 号 11 頁, 大星ビル管理事件・最高裁第1小法廷平 14.2.28 判決, 労働判例 822 号5頁)。
したがってこの定義によれば, 必ずしも現実に作業を行っている時間のみをいうのではなく, 作業はしていないが, 使用者の指示があればいつでも作業に従事することができるように態勢を整えて待機している,
いわゆる 「手待時間」 や (昭 33.10.11 基収 6286 号 (32 条), すし処 「杉」 事件・大阪地裁昭
56.3.24 判決, 労働経済判例速報 1091 号3頁), 警報や電話などがあった場合は, ただちに相応の対応をすることが義務づけられている
「仮眠時間」 (前掲・大星ビル管理事件), 就業規則により装着が義務づけられている作業服や安全保護具の, 着脱に要する時間
(前掲・三菱重工業長崎造船所事件) などは, 労働からの解放がなく, 労働者に行動の自由がありませんので, 使用者の指揮命令下に置かれている時間ということになり,
労基法上の労働時間ということになります (なお, 労基法上の労働時間の意味についてはQ30, Q31 を参照してください)。
ところで質問は, 市の観光課より, 休日に行われる祭りのパレード参加や模擬店の出店を依頼されるので, 毎年, 数十名の従業員を参加させている。
祭りへの参加は自由参加としているが, 総務課員と営業部員は事実上強制参加に近い形となり, 祭りの日に出店する模擬店の準備などは終業時刻後に行っている。
この総務課員や営業部員の模擬店準備時間および祭り参加の時間は, 時間外労働や休日労働として取り扱わなければならないかというものですが,
労働時間に関する上記の通説・判例の見解に従えば, 祭り参加に要するこれらの時間は, 時間外労働および休日労働の取り扱いが必要と考えます。
なぜなら, 一般従業員の祭り参加は原則として自由参加とされていても, 総務課員および営業部員は, 会社の地域貢献の一環としての祭り参加の意を受けて,
祭りの日に出店する模擬店の準備を行い, また祭りに参加していると考えられますので, 祭り参加が事実上強制に近く自由意思が働かないということであれば,
終業時刻後の模擬店の準備に要する時間および祭り参加の時間は, 使用者の指揮命令下に置かれている時間ということになり,
時間外労働および休日労働の取り扱いが必要と考えられるからです。
質問の祭り参加の例ではありませんが, 就業時間外に行われる教育訓練への参加時間が時間外労働となるかについて行政通達は,
「労働者が使用者の実施する教育に参加することについて, 就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のものであれば,
時間外労働にはならない」 (平 11.3.31 基発 168 号) としており, 本問を検討するうえで参考となりましょう。
野村勝法
|