産労総合研究所
最新情報産労総研についてスペシャル情報ライブラリー各種お問合わせ
ホットニュース人事労務 Q&A労働経済データアンケート読者倶楽部


労務事情
時間外・休日労働 Q&Aで学ぶ労働基礎講座
2004/4/1
Q

時間外・休日労働の義務:
従業員の時間外・休日労働義務の発生要件は?

従業員代表との間で三六協定を締結し所轄の労基署長に届け出ていれば, 個々の従業員に法定労働時間を超える労働や法定休日の日に労働を命じることができますか?
   
A 三六協定を締結し届け出ていても, 就業規則や労働協約などに, 時間外労働や休日労働の義務についての定めがなければ, 従業員に時間外労働や休日労働を命じることはできません。
 
実務では一般に, 法定労働時間 (1週 40 時間, 1日8時間=労基法 32 条1項, 2項。 なお, 労働時間および法定労働時間の意味についてはQ30, Q31 を参照) を超える労働だけではなく, 所定労働時間は超えるが法定労働時間は超えない, いわゆる法内超勤 (または, 法内残業。 Q38 参照) をも含んで 「時間外労働」 と呼ばれており, このことは休日労働の場合も同じで, 法定休日 (1週1回, 4週4日以上の休日=労基法 35 条 1 項, 2項) 以外の, いわゆる法定外休日の日の労働についても, 「休日労働」 と呼んでいます。

しかし, 労基法が規制の対象とする時間外労働や休日労働は, 法定労働時間を超える労働および法定休日の日の労働 (以下 「時間外労働」, 「休日労働」 という場合はこの意味での時間外労働, 休日労働をいいます) であって, 法内超勤や法定外休日の日の労働ではありません。

ところで労働者の労働時間は, 1週 40 時間, 1日8時間が上限であり, また, 1週1回, 4週を通じて4日以上の休日を取得することができます。 したがって使用者は, 原則として労働者に, 法定労働時間を超える労働, あるいは法定休日の日に労働をさせることはできず (労基法 32 条1項, 2項, 同法 35 条), また労働者は, 原則としてこれらの時間および日に労働をする義務はありません。

しかし, 実務においては, 災害などの突発的事情に対処するために, あるいは業務上の必要のために, 臨時的に労働者に時間外労働や休日労働を求めなければならない場合があります。

そこで労基法は, 使用者が, @ 「災害その他避けることのできない事由によって, 臨時の必要がある場合」 で, 行政官庁=所轄の労基署長 (同法施行規則 13 条1項) の許可を受けた場合 (労基法 33 条1項, および同項ただし書), および, A当該事業場に 「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合」 はその労働組合と, 労働組合がない, あるいは労働組合はあるが過半数で組織されていない場合は, 当該事業場の 「労働者の過半数を代表する者」 との間で, 法定労働時間を超える労働, および法定休日の日の労働について, 書面により労使協定 (いわゆる 「三六協定」, Q42 参照) を締結し, 所轄の労基署長に届け出た場合は (労基法 36 条1項), 例外的に, 労働者に対して, 時間外労働や休日労働を求めることができるとしています (なお, 公務員については, 労基法 33 条3項参照)。

ただし, 労基法の上記@およびAの法意は, これらの要件を充足すれば, 使用者が労働者に, その必要の限度で, あるいは三六協定に定める範囲で, 時間外労働や休日労働をさせるかぎりにおいては労基法違反の責任を問われないという, 公法上の 「刑事免罰的」 な効力が付与されるということであって (昭 63.1.1 基発1号 (36 条)), 使用者が労働者に, 民事上の義務として時間外労働や休日労働を求めるためには, 上記の要件のほかに, 就業規則や労働協約などにおいて, 労働契約上の義務として時間外労働や休日労働に従事することについての定めがなければなりません (ただし@については信義則上, 定めがなくとも労働義務を課しうると解されています)。

したがって, 質問の場合, 労働者に時間外労働や休日労働を求めるためには, 三六協定の締結・届け出のほかに, 就業規則などにおいて時間外労働や休日労働の義務についての定めがなければならず, その定めによって, 労働者にこれらの時間および日の労働を求めることができることになります (日立製作所武蔵工場事件・最高裁第1小法廷平 3.11.28 判決, 労働判例 594 号7頁)。 もちろん, 労働者に法定労働時間を超える労働や法定休日の日に労働を求めるためには, 実質的に業務上の必要性がなければならないことはいうまでもありません。

なお, 18 歳未満の年少労働者については, 労基法 32 条の2から 32 条の5, および 36 条, 40 条は適用しないとされていますので (労基法 60 条1項), 三六協定に基づく時間外労働および休日労働に従事させることはできません (ただし, @の非常事由による時間外労働や休日労働には従事させることができます)。
 また, 妊産婦が請求した場合は, 上記の@およびAの場合であっても, 時間外労働や休日労働に従事させることはできず (同法 66 条2項), 育児・介護休業法の, いわゆる 「家族的責任を持つ労働者」 が請求した場合は, 1カ月について 24 時間, 1年について 150 時間を超えて労働時間を延長することができないとされています (育児・介護休業法 17 条1項, 18 条1項)。

野村勝法

最新情報 > 人事労務 Q&A > 労務事情 Q&A