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法定労働時間とは, 使用者が労働者を使用するに際して, 法律によって例外的に許容される場合
(たとえば, 三六協定の締結・届出による法定労働時間を超える労働) を除いては, これ以上の時間は労働者を使用してはならないという,
法律によって定められた最長労働時間の限度と定義することができるでしょう。
法定労働時間は, 労働者の健康と福祉の維持・向上, 家庭生活や社会生活時間との調和, および雇用機会の拡大といった社会政策的観点から設けられたものであり,
労基法はこの法定労働時間を, 1週間=40 時間, 1日=8時間と定め (労基法 32 条1項, 2項), 使用者がこの時間を超えて労働者を使用することがないよう,
罰則つきでその遵守を求めています (労基法 119 条1号)。
ところで, 労基法が規制の対象とする労働時間は, 始業から終業時刻までのうち休憩時間を除いた, 労働者が実際に労働した,
いわゆる 「実労働時間」 をその対象とするものですが (労基法 32 条1項, 2項), では具体的に, 労働者がどのような状態にあればここにいう労働時間に該当するかについては,
通説および判例は, (労基法上の) 労働時間とは 「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」 と定義しています
(三菱重工業長崎造船所 (一次訴訟会社側上告) 事件・最高裁第1小法廷平 12.3.9 判決, 労働判例 778
号 11 頁)。
したがって, 業務が発生したときには直ちに作業を行うことができるように待機している, いわゆる 「手待時間」 (昭
33.10.11 基収 6286 号 (32 条)。 すし処・杉事件・大阪地裁昭 56.3.24 判決, 労働経済判例速報
1091 号3頁), 仮眠時間中ではあっても, 警報や電話などがあった場合は, 労働契約上の義務として直ちに相当の対応をすることが義務づけられている
「仮眠時間」 (大星ビル管理事件・最高裁第1小法廷平 14.2.28 判決, 労働判例 822 号5頁) などの場合は,
労働からの解放がなく, 行動の自由性はありませんので, 使用者の指揮命令下におかれている時間ということになり, 労基法上の労働時間に該当することになります。
また同じく, 装着することを義務づけられている作業服や安全保護具の着脱は, 始業前, 終業後に行うこととされている場合の,
着脱に要する時間も, 使用者の指揮命令下におかれている時間ということになります (前掲・三菱重工業長崎造船所事件)。
ではご質問の, 勤務終了後に開催されるマナー研修の受講時間は, ここにいう労働時間に該当するかですが, 受講につきなんらの強制もなく労働者本人の自由意思に任されているのであれば,
「使用者の指揮命令下におかれている時間」 とはいえませんので, 労働時間の取り扱いは不要です。 行政通達も 「労働者が使用者の実施する教育に参加することについて,
就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のものであれば, 時間外労働にはならない」 としています
(昭 26.1.20 基収 2875 号, 平 11.3.31 基発 168 号 (32 条))。
したがってご質問の場合, 受講することが義務的ではなく, 自由参加のものであれば, 受講時間を労働時間として取り扱う必要はありません。
野村勝法
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