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労務事情
契約期間 Q&Aで学ぶ労働基礎講座
2005/2/1
Q

契約更新拒否:
1年契約を8回更新した後に雇止めされたが?

1年間の期間の定めのある契約を8回更新した後に雇止めされました。 有期労働契約も更新を重ねると期間の定めのない契約と異ならない状態になると認定されると聞きましたが, それはどのような場合ですか?
   
A ケース・バイ・ケースで判断するしかありませんが, 従来の判例によれば, 当該雇用の臨時性・常用性, 契約更新の回数, 雇用の通算期間, 契約期間・更新手続きなどの管理状況, 当該雇用における雇用継続の期待をもたせる言動や制度などを判断要素としています。
 
 期間を定めた労働契約であれば, その期間満了とともに契約は当然に終了します。 しかしながら, 有期労働契約の雇止めについて争われた過去の裁判例をみると, 原則どおり期間満了により契約関係が終了すると判断している事案ばかりではありません。 判例の中には, 実質的には期間の定めのない契約と同視されると認めたものや, 契約更新への労働者の期待が合理的なものと認めたものなど, 使用者側の期間満了による契約の終了に対してなんらかの制約を加え, 有期契約労働者の保護を図っている事案も少なくありません。
  たとえば, 有期労働契約の雇止めに関するリーディングケースである東芝柳町工場事件 (最高裁第1小法廷昭 49.7.22 判決, 労働判例 206 号 27 頁) では, 本件雇止めの意思表示は実質上の解雇の意思表示にあたるので解雇に関する法理を類推適用すべきである,と判断しています。
  しかしながら, たとえば, 日立メディコ事件 (最高裁第1小法廷昭 61.12.4 判決, 労働判例 486 号6頁) では, 解雇に関する法理が類推適用されるとしながら, 「臨時員の雇用関係は比較的簡易な採用手続きで締結された短期的有期契約を前提とするものである以上, 雇止めの効力を判断すべき基準は, いわゆる終身雇用の期待の下に期間の定めのない労働契約を締結している本工を解雇する場合とはおのずから合理的な差異があるべきである」 と判断しています (同様の判断としては, 日本電子事件・東京地裁八王子支部平 5.10.25 決定, 労働判例 640 号 55 頁, 芙蓉ビジネスサービス事件・長野地裁松本支部平 8.3.29 決定, 労働判例 719 号 77 頁などがあります)。
  また, 正社員に近い立場や労働条件で雇用されている場合等で, ある程度長期間の雇用継続を期待させる業務内容や使用者の特約やその旨の言動が認められる場合には, 解雇に関する法理の類推適用論により雇止めに即した合理的理由が必要であるとする裁判例もあります (新潟労災病院事件・新潟地裁高田支部平 6.8.9 決定, 労働判例 659 号 51 頁, 中部交通事件・名古屋地裁平 8.2.1 決定, 労働経済判例速報 1618 号 16 頁など)。
  ご質問のケースですが, 有期労働契約が更新を重ねて期間の定めのない契約と異ならない状態になるのはどのような場合かについて, 残念ながら明確な基準はありませんので, ケース・バイ・ケースで判断することになります。 その際, 従来の裁判例によれば, 労働契約締結時の事情・有期性の明示の有無, 当該雇用の臨時性・常用性, 更新の回数, 雇用の通算期間, 契約期間管理の状況, 雇用継続の期待をもたせる言動・制度の有無, 他の労働者の更新状況などを考慮して判断していますので, 労使ともにこれらの判断基準に十分留意しておく必要があるでしょう。

川田知子


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