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産労総合研究所では、定期的に、人事・労務・医療などに関連した調査レポート、プレスリリースを配信しています。
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プレスリリース

NEWS RELEASE 2010年9月
診療報酬を算定するための「施設基準の届出」実態調査

専従要件を満たせない病院が圧倒的多数を占める
届出できない施設基準の項目第1位は「栄養サポートチーム加算
人的戦力の構築が決め手となる
届出を予定している施設基準の項目第1位は「栄養サポートチーム加算
産労総合研究所  Sanro Research Institute, Inc  附属 医療経営情報研究所
「医事業務」編集部  担当: 田中、土井
〒102-8616 東京都千代田区平河町 2-4-7 清瀬会館
電話 03(3237)1623  FAX 03(3237)2997  URL: http://www.e-sanro.net/

平成22年度診療報酬改定では10年振りのプラス改定となったものの、依然として病院経営は逼迫した状況が続いています。
民間のシンクタンク機関である産労総合研究所(代表 高橋邦明)では、診療報酬改定における「施設基準の届出実態調査」を実施し、各医療機関の現状を明らかにしてきました。このほど、診療報酬改定後の調査結果がまとまりましたのでご報告いたします。


調査概要
1.調査の目的 「施設基準の届出」調査は、都道府県、病床別、公的・私的別などに分類し、施設基準の届出状況や問題・課題などを知るためのものです。
2.調査実施機関 当所会員施設から一定の方法で抽出した2,000医療機関
3.調査時期 2010年7月16日
4.調査方法 郵送によるアンケート方式
主な施設基準については、今改定で新たに新設された項目や変更があった項目を中心 に質問しました。
5.集計対象 締め切り日までに有効回答のあった461 施設(別表)
6.集計方法 空欄や「−」「/」は集計上カットさせていただきました。

施設基準とは・・・人員配置や設備などの基準を満たして算定できる診療報酬項目のこと
届出とは・・・・・施設基準に従い、地方厚生局長等に届け出ること
加算とは・・・・・基本となる診療報酬に加えて算定できる点数のこと

調査結果のポイント
・「届出ができなかった施設基準の項目」 第1位は栄養サポートチーム加算55件
・「今後、届出を予定している施設基準の項目」 第1位も栄養サポートチーム加算33件
・「届出を辞退した施設基準の項目」 理由の大半は「人員不足」
・「届出が不受理になった施設基準の項目」 要因の多くは「実績不足」
・病院(20床以上の医療機関)における施設基準の届出で障害となる原因は圧倒的に「マンパワーの問題」
・地方厚生局との事務手続きで「質問しても即答してくれない」が131件と、全体の53%を占める
・施設基準の内容が分かりづらい28件、届出期限が短いうえに、行政からの通知や疑義解釈が遅い27件

1.届出ができなかった施設基準の項目


「届出ができなかった施設基準の項目」第1位は栄養サポートチーム加算55件(図1)

今改定で届出ができなかった施設基準の項目はメ栄養サポートチーム加算モという回答が圧倒的に多かった。
"栄養サポートチーム加算" とは今改定から新設された点数で、栄養障害の状態にある患者などに対し、栄養管理に係る専門的知識を有した多職種からなるチームが診療することを評価した点数である。その栄養サポートチーム加算を届出できなかった理由に「専従要件を満たせない」「専従者研修が終了していない」「専従医師の確保ができなかった」「人的体制が整備でできなかった」という意見が多く寄せられた。
"医師事務作業補助体制加算" についても、人の確保と32時間の研修をクリアすることができないという意見が多かった。
その他にも "急性期看護補助体制加算"、"医療安全対策加算"、"がん患者リハビリテーション料" と続き、今後もますます資格や研修要件を満たすことが重要になってくるだろう。

グラフ

図1 届出ができなかった施設基準の項目

2.今後、届出を予定している施設基準の項目


「今後、届出を予定している施設基準の項目」第1 位も栄養サポートチーム加算33件(図2)

今後、届出を予定している施設基準の項目をみてみると、第1位から第3位までは「届出ができなかった項目」 と同じ結果となった。つまり、多くの医療機関においては、4 月から7 月までの期間に届出をすることが間に合 わなかったことになる。本調査の回答後、院内で準備が整えばすぐに施設基準を取得したいということが分かる。
また、“一般病棟看護必要度評価加算”については、届出ができなかった理由に「院内研修や看護必要度の測 定に対する整備ができていない」という回答が多く、体制が整った時点ですぐに届出をしたい医療機関が目立っ た。
さらに休日リハビリテーション提供加算についても、リハビリスタッフの人員不足で届出ができないことが最 も多かった理由であったが、患者ニーズやリハビリ提供体制の充実を図る観点から、届出をしたい項目として上 位にランキングされた。

グラフ

図2 今後、届出を予定している施設基準の項目

3.届出を辞退した施設基準の項目


「届出を辞退した施設基準の項目」理由の大半は「人員不足」

医師や看護師など人員不足などの影響から、施設基準の届出を辞退した項目で多かった回答は“総合評価加算” の8件、“運動器リハビリテーション料U”“輸血管理料T”の7件、“検体検査管理加算V”の6件であった。
輸血管理料などの項目を除き、ほとんどが「人員不足」のために施設基準の届出を辞退している。この結果か ら、施設基準を取得できるポイントは「人事管理」といえるだろう。つまり、医療機関にとってはいかに人員を 確保しつつ、退職者を減らすかが今後の対策として重要となってくる。

運動器リハビリテーション料・・・運動器疾患に対してリハビリを行った場合に算定できる点数のこと
輸血管理料・・・・・・・・・・・医療機関における輸血管理体制の構築と適正な実施について評価された点数のこと
検体検査管理加算・・・・・・・検体検査全般の管理や運営など十分な体制が整備され手算定できる点数のこと


4.届出が不受理となった施設基準の項目


「届出が不受理となった施設基準」要因の多くは「実績不足」

施設基準の届出でまず必要とされることは、基準をクリアさせる「実績づくり」である。一度、届出はしたも のの、実際に必要な研修要件を満たしていなかったり、1カ月分の実績がなかったりして、受理されなかったこ とが目立っている。中には作業療法士の免許証の交付が遅れたため、合格通知を持参したが受理してもらえなか ったという回答もあった。


5.施設基準の届出で障害となっている原因


「施設基準の届出で障害となっている原因」20 床以上の医療機関で「マンパワーの問題」が障害

図3-1 にあるように、届出の障害となっている原因はソフト面(マンパワーの問題)が最も多い264 件の回答 結果であった。その内訳として20 床以上の医療機関はすべてマンパワーの問題がいちばん多い回答となってい る(図3-2)。特に100〜199 床の病院の回答件数が最も高い理由には、医師や看護師の確保が難しい現場の声が 反映されているのだろう。

グラフ

図3-1 施設基準の届出で障害となっている原因(全体)
グラフ

図3-2 施設基準の届出で障害となっている原因(病床規模別)

6.地方厚生局との事務手続き


地方厚生局との事務手続きで「質問しても即答してくれない」が131件、全体の53%を占める(図4)

医療機関からの質問に対して厚生局からの回答が遅いという意見が半数以上となっている。受理する側にとっ ても改定通知や疑義解釈が厚労省から届くのが遅いため、施設基準を届出する際に混乱が生じるのは明らかであ る。この結果から、1日も早く診療報酬改定を決定することが必要であろう。

グラフ

図4 地方厚生局との事務手続きなどで感じたこと

7.施設基準に関する問題と課題


施設基準の内容が分かりづらい28件、届出期限が短いうえに、行政からの通知や疑義解釈が遅い27 件(図5)

各医療機関の現場で施設基準に関して、どのようなことが問題・課題になっているのかを聞いたところ、「施 設基準の内容が分かりづらい」「届出期限が短いうえに、行政からの通知や疑義解釈が遅い」といった施設基準 を決定する根本的な部分が問題となっていることが分かる。最後に自由記載の中から、現場の主な意見(図6) を取りまとめ報告したい。

グラフ

図5 施設基準の問題と課題 主な意見トップ5

現場の主な意見(一部抜粋)
・既存の施設に設備投資を行わなければ新たな施設基準を取得できない。費用対効果から、やはりあき らめてしまう場合が多く、適切な患者サービスを提供できない。療養型から在宅へと推進しているが、 受け皿があまりに少ないため、在宅への移行が難しい。民間の介護事業所数が少ないのであれば、病 院の療養型で引き続き対応できるような入院形態の仕組みを改めてつくり、施設基準化できないだろ うか。
〔北海道:私的病院 300床台〕

・届出後の受理通知に時間がかかる。仮に不受理だった場合、病院の収入にかなりの影響がある。患者 側にも影響がある(返金等)。
〔福岡県:私的病院 100床台〕

・改正点が公表されてから届出までの時間が短い。
〔埼玉県:私的病院 20〜99床台〕

・疑義解釈がありすぎる(患者にも分かりやすい制度を望む)。
〔千葉県:私的病院 20〜99床台〕

・都会の大病院用の保険点数改定では、全国の8 割を担うとされる中小病院・診療所への経営に希望の 持てない内容が多いと感じます。
〔宮崎県:私的病院 20〜99床台〕

・基準はたくさんあるが、中小病院では基準のハードルが高く、届出ができないし、仮に条件を満たし ても結果として赤字になってしまう。大病院・先進医療病院中心の医療政策になっている。また、施 設基準の条件が厳しすぎて小病院では届出できない。特に職員の「専従」。
〔長野県:私的病院 20〜99床台〕

・施設基準の文章をもっと平易にしてほしい。文章の中に( )書きが多すぎ、意味が途中で不明にな ることもしばしば。改定が決定してから施行までの時間が短すぎる。また、必要な提出書類かどうか を確認するだけで一苦労。無駄な書類も多すぎの感がある。
〔宮崎県:私的病院 100床台〕

・研修要件等は具体的な研修が明示されていないことが多く、実務上、非常に困る。
〔岡山県:私的病院 100床台〕

・研修要件を改定の直前に出されても研修後修了証をもらうまでに時間がかかるため、届出がすぐにで きない。
〔広島県:私的病院 100床台〕

・医師事務作業補助、栄養サポートチームなど精神科は対象外となる項目がある。
〔埼玉県:公的病院 100床台〕

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