はじめに
平成18(2006)年4月実施の診療報酬改定は、まさに激震とも言うべき衝撃を各医療機関に及ぼしました。そして、その余波は1年を経過しつつある現在に至るまで続いているといっても過言ではありません。
7:1入院基本料と看護職夜勤時間数72時間以下といった施設基準要件の新設だけで、多くの医療機関がその対策と看護師確保に追われ、各地で看護師の奪い合いといった事態をも引き起こしました。さらに連鎖反応と言うべきか、地域の二次輪番制による救急当番病院から撤退せざるを得なくなった中小病院が続出しました。加えて、地域中核病院から激務に耐え兼ね医師が退職し、医師不在に陥り、病床返上・病棟閉鎖、ひいては救急医療を行うことができなくなった地域の医療機関が表面化し、社会問題とさえなっています。
予定されている多くの医療関連制度改革のうち、史上最大の引き下げ幅3.16%の診療報酬改定が実施されただけで、すでに医療現場においては大パニックが起きています。こうした施策の根本には、今後の医療制度がどうあるべきかということよりも、公的医療保険制度を安定して持続させるために、まずはじめに医療費の削減ありきといった政府の方針があったことはご承知のとおりです。
今回の診療報酬改定では、まさに医事業務に従事する職員の実力が問われる試金石ともなりました。新設された入院基本料の届出作業や再編成された療養病棟入院基本料の扱いなどをめぐって施設基準要件の理解や確認が求められ、これまでにない多くの届出作業を余儀なくされたことは今だに忘れ得ません。
この本では、今回の診療報酬改定に当たって必須となった施設基準の届出の実際について考えてみようとしたものです。そのため、経験則に基づいた届出事例にならざるを得ませんでした。多くの病院に共通する届出事例を中心に選ばざるを得なかった理由です。
掲載した届出事例のいくつかは20年前から続けている本協会所属の医事研究会のメンバーの提供によるものです。記して御礼申し上げます。病院の規模・診療科等の事情も異なる中で無理を承知で提供していただきました。筆者が住む千葉県独自の運用もあると思われ、全国共通の適用となりにくい箇所もあろうかと思われます。読者の皆様から、ご指摘・ご教示をいただければ幸いです。
最後に、週末・休日にしか作業ができない筆者のまとまらない原稿を短期間のうちに1冊にまとめていただいた『医事業務』編集部に厚く御礼申し上げます。
平成19年2月20日
有限責任中間法人 千葉県民間病院協会
医事研究部部長 三浦昇 |