産労総合研究所
最新情報産労総研についてスペシャル情報ライブラリー各種お問合わせ
定期刊行誌・書籍コンサルティングセミナーお知らせ会社案内

経営書院
一覧へ戻る

病院人材育成のための人事考課・面接訓練ケース 100問100答

斎藤 清一・著
A5判・220頁・定価 1,890円(税込)
ISBN 4-87913-960-2 C 3047

はしがき

  人事考課は、 人が集まる組織には制度そのものの有無にかかわらず、 どこの職場でも必ず行われています。
  ある日、 突然に彼女は課長に抜擢されたり、 プロジェクトリーダーに選ばれる人もいます。 問題はその抜擢のルールです。 経験や学歴、 年齢など、 過去の既得権では困ります。 また、 好き、 嫌いの主観で行われる人事考課ではモチベーションを高めたり、 経営の発展に結びつけることは出来ません。
  人事考課は、 あくまでも人材を育成し人材を活用し、 そして組織を活性化して生産性向上に結びつけることを最大のねらいとしています。 そのためには公平、 公正に評価できるシステムをしっかりとつくり、 このシステムを正しく活用することが必要です。
  ややもすると人事考課実施の真の目的を忘れて査定のための人事考課になっていたり、 差をつけるための人事考課を行っていることも多々あることを反省しなければなりません。 このような職場では、 決して業績向上に結びついてはいないはずです。
  人事考課は組織の期待像に対しての充足度、 達成度をみるもので仕事ができるか、 否かを問うものです。 問題なのはどんなに仕事ができても職業人、 社会人としては、 まだ、 未熟な人もたくさんいます。 人間性や社会性に欠けるために患者、 家族とトラブルを起こす人もいます。 専門知識や技術は人より数段優れたものを持っているのに何かが欠けている人です。
  人事考課は人間としての総能力を見ているのではなく、 組織人として立派かどうか、 仕事ができるか、 否かをみている限定されたものであることをよく理解していただきたいのです。
  そこで、 最近では人事考課プラス、 コンピテンシー評価 (高成果実現行動特性) という概念が急速に広がり、 能力考課に換えてコンピテンシー評価を導入する企業も目立つようになりました。
  したがって本書では、 コンピテンシー評価にも焦点を当てて多くの病院、 施設で実際に使用しているモデル事例も掲載しましたので、 参考として広く活用していただければ幸甚です。
1、 公平な明るい人事考課とは
  人事は明るくないと元気が出ません。 人事を明るくするためには基準が必要であり、 基準があるから公開ができるのです。 また、 基準があるから、 なんとかこの基準のバーを飛び越えたいという意欲がわくのです。
  基準があるから結果をオープンにフィードバックすることができます。 基準がないと評価は他人との比較による相対考課になりますが、 基準があるから評価は、 あなただけを見つめることができるのです。 基準に対して未熟な点は、 今後どんな知識や技術を身につけなければならないのか、 またどんな点を行動改善しなければならないのか、 努力する方向が見えてきます。
  正しい人事考課を実施すれば、 必ず能力開発に結びつけることができるでしょう。 公平な人事は基準をオープンにするところから始ります。 企業への信頼感、 ロイヤリティー、 チームワークの促進、 モチベーションアップや仕事への達成感は公平、 公正基準の効用といえます。
  基準に従って人事考課を正しく行うためには、 基準の見方、 人事考課で取り上げる行動の見方などを勉強しておかなければなりません。 また、 正しくつけた人事考課を部下にフィードバック (公開) するには、 フィードバックの仕方があります。 部下のやる気や可能性を引き出すためには、 ただ結果だけをそのままオープンにするだけではありません。 勇気づけのメッセージ 「ホメテ、 ホメテ、 シカッテ、 シカッテ、 ホメル」 の基本を勉強することが必要です。 これが人事考課訓練、 面接訓練です。
  理論はしっかりと頭の中にあるのに、 いざ考課をつけたり、 部下との面接でフィードバックする実際場面を迎えると、 なかなか上手くできないという人が多いのです。 人事考課や面接は訓練を積み重ねることにより皆、 上達します。 訓練を何回も、 何回も繰り返すことにより、 仕方が分かり、 実行できるようになるのが人事考課のつけ方と面接の展開です。
  本書は人事考課、 面接能力をつけるための教材として書き下ろした待望の実務書です。 考課者のみならず部下 (被考課者) のテキストとして使えるように編集をしました。 日常職場で発生している、 ケースをたくさん用意しました。 また、 同時に、 解説が必要なケースにはコメントをつけてあります。 人事考課、 面接訓練の実務書として直ぐにお役に立てるものと自負しております。
  公平、 納得性のある人事考課、 面接制度の推進は管理監督者の重要な職責であり、 マネジメント能力の一つです。 多いに活用されることを期待しております。
2、 人事考課システムにおける公平性
  人事考課は、 公平感や不公平感を感じるもっとも身近にある人事制度です。 それゆえに、 フェアな人事考課のシステムをきちんと構築しておくことが必要です。
  人事考課制度の仕組みは当然のことながら、 考課用紙、 チャレンジカード、 行動観察表、 育成面接フィードバックメモ、 課業チェックリストなどの人事考課、 面接時に必要なフィードバックメモなど、 事前準備があって初めて公平、 公正、 納得性のある人事考課ができるのです。 しかし、 どんなに、 フェアな人事考課システムを構築しても人事考課のつけ方を知らなかったり、 またフィードバックの仕方を知らなければ人事考課制度はまったく機能しません。
  人事考課は優秀な人とダメな人を区分することではありませんし、 気分の悪くなるような人事考課はしない方がよいと思います。
  あなただけをみている人事考課を実施するためには、 なんとしても職務調査により、 評価基準 (課業一覧表、 職能要件書) を作成し整備する努力をすることが大切です。 そして、 人事企画担当者は考課実施前に基準を公開、 説明し考課者訓練、 面接訓練を年に2回程度は恒常的に実施し、 考課者間のコンセンサスを得ておくことが必要です。
  その他、 自分の業績をアーピルする機会を設けることや、 また、 ネガティブな人事考課に対して反対を表明したり、 不満を申し立てることができる苦情処理委員会、 事実に基づく多面考課者 (他部門の管理者や患者、 家族、 同僚、 部下などで構成した人事考課委員会) による、 人事考課の実施により考課結果の客観性、 公平、 公正性の判定制度など、 を制度化しておくことによって、 不公平感を払拭することができます。
  最後に、 面接制度で留意すべきことはネガティブなフィードバックを行う場合です。 明日への希望とチャレンジを引き出す面接を実施しているのに怒りや落胆をもたらすような面接は、 失敗であることを理解していただきたいのです。 人事考課、 面接制度はあくまでも手段、 方法であり目的でないことをしっかりとご理解していただきたいと思います。
  以上、 「病院人材育成のための人事考課、 面接訓練ケース 100 問 100 答」 の発刊に当たっては筆者の 20 数年にわたるコンサル経験から体験した、 また、 コンサル指導の中から得た情報をもとに、 ケース問題、 解答を集約し書き下ろしたノウハウ書です。 管理監督者必須のよき教材になると信じています。 有効に活用されますことを心より願っております。
  最後に、 本書の出版に当たり、 挿絵にご協力いただいた、 埼玉よりい病院鳥塚一博氏、 また、 編集に多大なご協力をいただきました経営書院の方々に、 心から厚く御礼を申し上げます。
  最後に申しつけ加えておきますが、 本書 「人事考課・目標面接ケース 100 問 100 答」 の理論構成は、 大恩師である日本賃金研究センター代表幹事楠田丘先生の理論哲学をベースに、 筆者が永年のコンサル経験で培った実務知識をもとに、 執筆いたしましたことを申し添えておきます。

2006 年5月吉日

齋藤 清一