はじめに
病院における経営指針の作成
わが国の医療は国民皆保険制度のもとで、いつでも、どこでも、誰でも比較的廉価な医療を受けることが可能で、病院経営は良くも悪くも護送船団方式によって運営されてまいりました。
しかし、国民の医療に対する期待が大きくなり、安全で良質な医療サービスを求める声が高くなってまいりました。病院は公立または公的病院はもちろんですが、私的病院であっても公的性格があり、企業経営という考えはなじまないとされてきました。
近年、医療の質保証の観点からも病院の経営の重要さがクローズアップされてきました。診療報酬改定、介護保険の導入、DPC等の包括医療の導入、医療法の改正、総医療費の抑制、混合診療の導入論議など、病院経営を取り巻く目まぐるしい環境の変化は病院経営に厳しい経営努力が必要です。したがって、これからの病院経営は護送船団的病院経営から自立型病院経営に転換していかなければなりません。
私は、病院経営は一般企業経営からも多くを学ぶべきであると思います。従来病院経営は医療そのものがサービスであり、医療だけをやっていれば経営は成り立つと安易に考えられていたように思います。
私は、平成2年より経営指針の成文化のもとに病院経営を行ってまいりました。経営理念を基に経営方針を立て、それを目標として単年度ごとに経営計画を職員と共に作成し、これを実践してまいりました。病院経営は、利潤を追求するのでなく、理念追求型であるべきではないかと考えています。病院の経営理念を追求する姿が社会から認められれば利潤は結果としてついてくると思います。
私は、中小企業家同友会に昭和62年に入会し、中小企業家同友会のメンバーの実践から多くを学ばせていただきました。経営指針書は病院経営のクリニカルパス、演劇にたとえると経営というドラマの脚本です。中小病院のささやかな試みが読者の病院の経営計画立案にいささかでも、お役に立てば幸いです。
土井章弘
念ずれば花ひらく
「真民」
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