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経営書院
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看護部門 職場活性化実践集

医療経営情報研究所・編
B5判・702頁・定価 9,345円(税込)
ISBN 4-87913-897-5 C3047

看護界変化の3つの時代と看護管理
                            NTT 東日本関東病院 看護部長 坂本 すが

看護界変化の3つの時代

これまでの看護界の変化を考えたとき、下記のような3つの時期を思い浮かべる。

第1に看護師不足が起こり、日本中の医療機関が看護師募集に奔走した時期である。第2に看護が医療機関の中でより重要性が認められ、副院長に就任する看護部長が続出した時期がある。看護部長が現実的にトップマネジメントになった時期である。そして第3の時期として医療情報が患者に対して開かれる等、医療が社会に対して開かれる時期であり、看護師が医療機関から飛び出し、在宅や介護施設で活躍する時期である。つまり現在である。

まあ、この考えには異論のある方もいるだろうが、これは私の私見であり、厳密な検討は行わないが、私にとって現在を理解するうえで重要な認識となっている。

看護界の3つの時代

時期1 <時代認識> 看護師不足の時代
  <状況> 看護師数が経営課題となる⇒看護師の囲い込み
  <概観> 個別的で閉じた医療機関
時期2 <時代認識> 看護部長の副院長就任時代
  <状況> 看護管理者が経営サイドに進出⇒医療機関が経営体としての活動の必要性の増大
  <概観> 医療機関が経営体として成長、社会性の増大
時期3 <時代認識> 看護師の社会進出時代
  <状況> 看護職者の社会的立場のいっそうの向上⇒医療機関と在宅・施設との連携の重要性の増大、医療情報の開示
  <概観> 社会的存在としての医療機関、社会に開かれた医療機関

これら3つの時期は看護の位置付けをより高めてきたと同時に、医療機関が経営体として成長してきたステップを意味するとも考える。つまり変化する社会情勢の中で、医療機関を経営するうえで、医療機関が組織の中で最も多数を占める看護職の重要性を認識し、この最大勢カをいかに効果的にマネジメントしていかなければならないか、その重要性の認識を深めていくステップである。それはとりもなおさず、医療機関の経営層が、医療機関が存続するうえで、従来にはなかった経営努カが求められ、強められていくステップであり、組織体として成長していくステップであったと思う。

それはまた医療機関が社会に開かれていく過程でもあったと思う。経営体として努力するなかで、医療情報開示などの社会的要請もしくは社会的ニーズに応えることは経営体として存続するために欠かすことはできない。また、在宅ケアの普及などから、医療機関は医療機関同士もしくは介護福祉事業所との連携が必要になっており、いっそう医療機関外部との交流が必要になってきているのである。

看護管理者に求められる要素

そして医療界の変化がより激しくなっていると感じる現在、看護マネジメントの課題は医療機関のマネジメントとよりいっそう重なり、看護の管理者の責任はよりいっそう高まっている。そのようななかで、管理者として重要な事を次のように考えている。

(1)コミュニケーション

コミュニケーションが今ほど重要性を高めている時代はなかったのではなかろうか。職場でのコミュニケーション、階層間のコミュニケーション、多職種間のコミュニケーション、医療機関外部とのコミュニケーションである。

例えば、職場でのコミュニケーション不足はさまざまな弊害をもたらす。患者情報共有化の不足はケアの質を低下させ、患者満足を低下させ、医療ミスの要因となる。特に経験として思うことは、電子カルテの導入が行われた場合はいっそうコミュニケーションが重要となる。電子カルテという形で目の前にデータとして十分な情報がある場合は、特に人対人の面と向かったコミュニケーションが重要となる。

また階層間でのコミュニケーション不足は、患者満足および職員満足度を低下させ、医療機関の評価を低下させる。多職種間のコミュニケーション不足は、医療コストを高め、医療ミスの要因となり、ケアの質を低下させ、医療経営を困難にさせる。医療機関外部とのコミュニケーション不足は、社会的二一ズの把握を困難にし、医療機関の評価を低下させ、医療連携・介護福祉連携を困難にし、医療経営を困難にする。看護しか知らない看護管理者、医療機関内部しか知らない看護管理者は今後十分な仕事ができなくなるといっても過言ではないと思う。

(2)現象把握力、言語能力

今、自分の職場で何が起こっているか、医療機関の内部で何が起こっているか、目の前の部下にいったい何が起こっているか、目の前の変化がなぜ起こっているか。このようなことに対して洞察力、分析力、情報収集カがいっそう重要となっている。そしてそれを言語化し、他者に説明できる能カが重要となっている。

(3)創造力、想像力、決定カ

新しいものを創りだす力が欲しい。ニーズは多様化している。社会的存在としての医療機関、社会に開かれた医療機関に開いた医療機関はさまざまなニーズに直面し、それに応える力が求められる。そのためには、ニーズを満たす状況を予想する想像力も必要だ。他者の状況を具体的に想像できる力は、ケアの向上にもつながり、医療職者としても必須の能力であるが、それは今後ますます重要となる。そして同時に、その想像したものを実現する決定力、決断力も重要となる。その際には言語能力もよりいっそう求められる。

看護管理とISO取得

以上、看護界の変化の経過について述べ、看護管理者に求められる要素について述べた。医療看護界の変化の中で、現在は社会的に開かれた医療機関が求められている状況である。

ISOの認定は社会的な評価を受けるうえで一定の力をもち、社会の中に開かれた医療機関となるためめ一つの要素であるとも言えるだろう。またIS0の取得過程では、さまざまな課題が提示されるが、それは医療機関内部のコミュニケーションを高め、さまざまな改善の元となるだろう。管理者はISO取得を契機に、社会の中で存続するためのさまざまな活動を開始すればよい。また看護管理者も、IS0取得を契機に、よりよい医療サービスが提供できる体制づくりを開始すればよい。ISO取得をどれだけ活用できるかは、管理者の能カと努カによっている。