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アメリカで実証された 成人病予防と健康づくり

医療法人三喜会鶴巻温泉病院診療技術部長 西村知樹・著
四六判・164頁・定価 1,260円(税込)
ISBN 4-87913-792-8 C2047
はじめに

「医師というもの」
 医師になりたてのころは、おそらく多くの臨床家(研究が主な仕事ではなく、患者を診ることを主な仕事とする医師)がそうだと思いますが、とにかく多くの患者さんを診ることにより自分の医師としての腕を磨こうとするものです。
 さらに、より良い指導者を探してより良い医師になろうとするものです。少なくとも私はそうしてきたつもりです。そして、私は2つの専門医資格、1つは米国内科専門医、もう1つは米国老人医療専門医を持っています。この2つの専門医資格は、これから先医師という職業を続けている限り、大切にして自分の中でもこだわっていこうと思っています。
 米国内科専門医ならびに老人医療専門医の資格を得るには、当然アメリカで定められたトレーニングを受け両方の専門医試験に合格しなければなりません。そのトレーニングを受けているうちに、医師として徐々に疑問、あるいは、疑念を持つようになってきたというのが本心です。
 アメリカにきて最初のころは、尋常でない忙しさと英語に対する不馴れから、1日1日を必死になって過ごしていました。及第点に至らなければ、クビになるのは日常茶飯事の世界ですから。
 しかし1年が経ち、2年目に入ると、本当の意味で患者さんを診るということの意味が分かるようになってきました。
 医師という職業に就いた以上最新の治療法を学び、体得し、とにかく考えられるベストの医療を患者さんに提供して少しでも病魔から救い出したいと思うものです。
 さらに、このころから治療という一面からではなく、「患者の人生とは?」という面からも自分の仕事を見るようになりました。
 おそらく、こういうものの見方を自然と学べるようになったのも、アメリカという国にいて医療の専門トレーニングを受けることができたからだと思います。
 病棟や救急センターあるいは外来で、特に重い病気にかかって苦しんでいる患者さんを診ると、本当にどうにかしてあげたいし、どうにかできないものかという気になったものでした。
 また、そのように重い病気にかかる人は単に1つの病気だけでなく、いくつかの病気が複雑に絡み合っているため治療をする際その微妙なバランスを保ちながら正しい方向に患者さんを導いていくことは、やりがいがあるのも事実です。常に神経を使いながら「ここまでくれば大丈夫」といえる状態にもっていくのは時に非常に骨の折れる仕事になります(しかし、このようにいくつもの病気の複雑な絡
み合いを考慮に入れ治療を考えられるようになったのも、アメリカにおける正規の臨床トレーニングのお陰だと、ただ感謝しています)。
 それと同時に思うことは本当にこの人たちはここまで苦しまなければいけなかったのかという疑問が起きてきました。多くの場合、なぜこの人が(これほど苦しむまで病魔にむしばまれることになったのか)、という疑念にかられました。
 そんな中、少なからず病魔に負けて命の灯の消えてしまう人たちを診てきました。そのたびに何ともいいがたい無力感、虚脱感に襲われました。
 多くの患者を診てきて分かったことは、1度病魔に侵されある一線を越えると、その後はある時は急激に、ある時は徐々に病気は進行し、2度と元の状態に戻ることはどんな最新の医学をもってしても不可能であり、万能の医療などはあり得ないということです。
 言い換えれば、ある一線を越えてしまうと、その後はどんな治療をしようとも、現在の医学では完治させるのは不可能で、その病気の進行を遅らせるように努力することしかできないということです。
 この本は将来、そのような人が1人でも減ればという気持ちを込め、1人でも多くの人がその2度と戻れない一線を越えないで、健康的で医療の面からみても、これからより良質な人生を送ってもらえればと願って書きました。
 この本に引用した医学碓誌ならびに教科書は、ほとんどが英語で書かれている有名な雑誌、教科書でできる限り最新のもの(2000年、6月現在)を用いました。
 またできるだけ煩雑な数値、統計の解釈は省き、結果を中心に説明するようにしました。