まえがき
パートが採れなくなっています。しかも、せっかく採用したパートがすぐに辞めてしまい、なかなか期待する戦力に育たない。
その結果、思うように活用もできないという問題が、今あちこちで発生しています。多くの企業が、パートが
「採れない」「続かない」「活かせない」状態に、悩み、困っているのです。
パートが「採れない」「続かない」「活かせない」のには、原因があります。パートを雇用したい企業が増え、
いわば求人市場が「パート争奪戦」の様相を呈しているにもかかわらず、企業が従来どおりの募集やマネジメントを続けているからです。
パート採用難時代には、パート採用難時代に合わせた募集やマネジメントの工夫が必要です。
それは、働く側のニーズ(どんな処遇で、どんな仕事をしたいのか)と、雇う側のニーズ(どんな処遇で、
どんな仕事をしてもらいたいのか)を、合致させる工夫です。
パートに「自社に」応募してもらい、その結果採用に成功し、さらに長期にわたって「戦力となり」
頑張ってもらうには、パートと企業がお互いに歩み寄ることが大事です。つまり、企業側には、パートが
「ここで働きたい」「働き続けたい」と思うような企業になる努力が必要です。一方、働く側のパートにも、
企業が「雇い続けたい」と思うような人材となる努力を、してもらわなければなりません。
こうした、お互いを思い合う「相思相愛」の関係づくりが、これからのパート活用には不可欠です。
そして「相思相愛」の関係は、企業側がマネジメントを工夫することで、作り出すことが可能です。
パートに対して抱いている、「あなたと一緒に仕事がしたい」「あなたに長く頑張ってほしい」「あなたの能力を活かしてほしい」
という気持ちを、パート一人ひとりに、にちゃんと伝わるように、きちんと表現すればいいのです。
本書では、第一章で、そんな「相思相愛」の関係づくりの、考え方を解説します。
パートが「採れる」「続く」「活きる」マネジメントとは? を、ここでおつかみいただけます。
第二章から第四章では、「相思相愛」の関係を作り、実際にパートが「採れる」「続く」「活きる」
状態になるための、具体的なノウハウをご紹介します。ノウハウは、募集・面接の仕方、導入教育・シフト管理の方法、
コミュニケーションの図り方、さらに評価や賃金制度についてなど、場面ごとに分けて詳述します。とにかく実践方法を知りたい場合は、
こちらから読まれることをお勧めします。
第五章では、パート雇用に関し、労働法などで定められていることを、分かりやすく解説します。法にのっとった雇用管理は、
「相思相愛」の関係づくりの前提条件です。
パートが採れない状況は、日々深刻さを増しています。本書で記した考え方に寄り、
実際に行動に移してみて、パートと企業がともに満足できる「相思相愛」の関係を、ぜひ実現していただければと思います。
これにより、少しでも早くパートが「採れる」「続く」「活かせる」状態をつくり出し、今後の着実な業績アップにつなげていただければ幸いです。
本書に記した考え方やノウハウは、求人広告企業アイデムに勤める私が、人事マネジメント情報誌編集の仕事を通じ、
大変多くのパート活用企業を取材するなかで得た「パート活用成功法」です。
取材では、さまざまな業種・業態・規模のパート活用企業を見て、その裏側を聞いています。失敗事例に学ぶとともに、
成功事例に共通するエッセンスを抽出したものとなっています。
なお、本書におけるパートとは、配偶者や子どものいる短時間労働者(いわゆる主婦パート)
を想定しています。ただし、内容的には、学生アルバイトやフリーターに対しても、十分ご活用いただけるものかと思います。
また、本書に記した内容は、二〇〇六年九月現在のものです。労働関係の分野は、今後法改正の動きもあります。
ご利用にあたっては、必ず最新の情報で確認するようにしてください。
最後になりましたが、本書の執筆にあたっては、大変多くの方々にお力添えをいただきました。
特に本書の軸となるCS(顧客満足)とES(従業員満足)の重要性及びその考え方については、株式会社武田マネジメントシステムス代表取締役の武田哲男先生に、
その本質をさまざまな面から、しっかり教えていただきました。また、職場のコミュニケーションやチーム力については有限会社ヒューネット代表取締役の小西勝巳先生に、
人のマネジメントに関する考え方は株式会社ライフマネジメント研究所所長の楢木望先生と、同『採用と人材の手帖』
編集長の山崎真理さんに、深く学ばせていただきました。
さらに、パートの評価や賃金については有限会社マツダ・ビジネス・コンサルティーション代表取締役の松田憲二先生から、
パートと正社員の均衡処遇等については東京大学社会科学研究所教授佐藤博樹先生から、パートの基幹労働力化等については国学院大学経済学部助教授本田一成先生から、
多くの学びをいただきました。
なお、アクセス・ビジネス・コンサルティング株式会社代表取締役でありNPO法人国際プレゼンテーション協会理事長の八幡紕芦史先生と、
同取締役・同副理事長の脇谷聖美先生には、人材教育について学ばせていただいていると同時に、本書の構成
(内容の伝え方=プレゼンテーション)について、大変有益なアドバイスをいただきました。この場を借りて、
心よりお礼申し上げます。
そして、これまで取材をお受けくださった三〇〇社を超える企業の方々、私にこうした仕事の場を与えてくれた株式会社アイデムと、
私を支えてくれた仲間であるアイデム社員全員に、心から感謝申し上げます。
本書をまとめるきっかけをくださった株式会社産労総合研究所『労務事情』編集部、
そして私をご担当くださった同社出版部「経営書院」には、とりわけお世話になりました。
そして、半年以上もの間、ほぼすべての休日を返上しパソコンや原稿に向かいきりだった私をじっと見守ってくれたすべての家族に、
改めて感謝の意を伝えたいと思います。
本書が、貴社のパートマネジメントの、お役に立てば幸いです。
株式会社アイデム 人と仕事研究所
人とマネジメントWeb情報誌『現場イズム』編集長 平田未緒
二〇〇六年 九月 |