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2007年〜2008年版
社会保険実務がわかる本
土屋 彰・監修/鶴岡徳吉・著
A5判・338頁・定価 1,995円(税込)
ISBN978-4-86326-002-3 C2032

監修のことば

  社会保険関係の届出書類は、全国レベルで数えてみたら一体どのくらいになるのでしょうか。おそらく行政機関の方々でもあまり把握していないでしょう。
  なぜならば、狭義の社会保険と雇用保険に関しては、国が各都道府県に業務を委託している関係で、独自の届出書類も相当に存在しますし、添付書類などまで含めますと、全くのお手上げの状態です。
  特に各都道府県にまたがって支店、営業所などを有し、本社で事務処理などを一括しているところなどでは、なおさらといえるでしょう。
  本書は、このような状況を全国レベルで検討判断した上で、多くの企業の9割方を占めている書類を63様式選択し、『イラスト解説 社会保険実務がわかる本』と書名も付け、具体例も掲載しながら初心者の方々にも十分分かるようにと意図されています。
  著者の鶴岡君は、金融機関に永年勤務し、その間に社会保険労務士の資格取得を目指して、私の事務所に出向して実務習得と併せて勉学されました。
  ですから、全く未知の世界に飛び込んできて、各種書類の作成、そして役所への届出に際して自分自身で悩みに悩み抜いた経験者です。
  自分の経験に基づいて、一歩一歩学んできた集大成が本書となったわけです。
  私も監修者として企画段階から参画しておりましたが、できる限り鶴岡君のオリジナリティを発揮してもらいたく、最後までポイントのみのアドバイスにとどめてまいりました。
  私の30年間の社会保険労務士としての経験を、・書式のつくり方・の面でも十分に活かされてあります。
  複雑多岐な社会保険関係書類の中でも使用頻度の高いものを集めて掲載されているこの一冊が、日常業務を遂行していく上でも欠かせないものとなるでしょうし、十分担当者の期待にも応えてくれるものと確信しております。
  社会保険担当者も会社に来て労働力を提供し、その対償として賃金を得て生活を営んでいる立派な職業人(プロ)です。
  その賃金のアップは業務遂行の結果として、第三者の評価によって生じるものです。
  会社の上司、同僚、部下から真の好評価が今後共得られるように精励してください。
  この一冊が、皆様方の好評価につながるものになってくれれば、監修者としてこの上ない喜びと考えております。

監修者 土屋  彰

はしがき

  「社会保険のセミナー」の会場で、いつも印象に残ることがあります。それは、参加者の約9割の方が実務経験1年未満の方たちということです。また、実務担当者に比較的女性が多いということも目立ちます。
  考えてみますと、セミナーに参加する理由というのは、今まで社会保険の勉強をしたことがない、社会保険の書式の記入の仕方がわからない等だと思います。
  したがって、社会保険の定例事務である「年度更新事務」や「算定事務」の事務を経験したことがない方がほとんどです。また、「資格取得届」や「資格喪失届」等の書式も初めて見るという方も少なくありません。
  初心者の方に実務に即したマニュアルがあれば、どれだけ実際の実務に役立つものかと常日頃から考え続けていたところでした。
  今回の『イラスト解説 社会保険実務がわかる本』は、そういう実務経験1年未満の初心者の方々を対象にしたものです。
  「書式が作成できる」ということは、すなわち社会保険の基本的な仕組みを理解することです。
  したがって、本書の特色としては、次の4つを考えて執筆しました。
@ 社会保険の書式を簡単に作成できるために、社会保険の基本的な仕組みに重点をおいて、できるかぎり平易な表現でやさしく書きました。
A 社会保険の書式の順序を、採用から退職までというように、実際の実務に即し、タテ割りではなく、ヨコ割りにして理解しやすいように務めました。
B 図解や図表をできるかぎり多用し、書式の作成をより早く理解できるように工夫しました。
C 掲載した書式は、実務で使用頻度の高いものを厳選し、さらに基本的なものに重点をおいて初心者にわかりやすいようにしました。
  「書式が作成できる」ポイントは、社会保険の基本的な仕組みを理解することにあると前述しましたが、具体的にはどのようなことなのでしょうか。
  例えば、従業員が退職しますと「健康保険・厚生年金保険資格喪失届」を作成して社会保険事務所へ提出することになります。その際、資格喪失日はいつになるのかという問題があります。
  (1) 月末日に退職の場合
  (2) 月末日の前日に退職の場合
  (3) 65歳の誕生日に退職の場合
  (4) 死亡による退職の場合
  (1)のケースを取り上げてみますと、資格喪失日は退職日の翌日となります。したがって、翌月の1日が資格喪失日ということになります。
  この資格喪失日を誤って退職日である月末日として書式を作成してしまったら、どのような問題が発生するでしょうか。
  ひとつには、厚生年金保険の被保険者期間が1カ月違ってきます。つまり、月末日を資格喪失日とした場合には、被保険者期間その前月までとなり、被保険者にとって退職月の1カ月間が損をしたことになります。
  この1カ月間が将来年金を受給する時に、受給資格期間が1カ月不足ということで、年金を受給できなくなるというケースも十分に考えられます。
  また、年金が受給できる場合でも、1カ月分の年金額は生涯もらいそこねることにもなるのです。
  たった1日の数字の記入ミスが大きな誤りへと発展していくのです。
  このマニュアルが初心者の実務担当者の机上に置かれ、正しく社会保険関係の実務処理ができることを切に願っています。


鶴岡 徳吉