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チーム力を高める魔法の力
中井 嘉樹・著
A5判・160頁・定価1,470円(税込)
ISBN4-87913-936-X C2034

はじめに

  バブル崩壊に始まった景気の低迷も, 10 年の模索を経てようやく明るい兆しが見え初めています。 この 10 年をふりかえれば, 次なる新しい時代に耐え得る社内インフラの再構築に向けられた時代であったとも言えます。 資産のリストラや人事面での人員縮小と成果主義の導入, あるいは, 即戦力としての中途採用の実施, そして, IT システムの導入による新しいビジネスモデルの構築等々, すべてはインフラ基盤に目が向けられた時代でもありました。
  現在, 景気の回復にあたり, インフラが整った現場では, 「これからの成長を可能にする人材は, いったい社内のどこにいるの?」 という事態が起きています。 極限まで人を減らし, 中途採用を多用し, 成果主義という, いわば “アメとムチ” で管理主義を行ってきた結果, “人材” が育っていないという現実がクローズアップされてきています。
  そんな中で, 長期的な企業の成長を可能にする人材として “自律的な人材” の育成が注目されています。 この “自律的な人材” という, これから迎える新しい時代の人材は, バブル崩壊後の管理主義的な育成手法で育つものではなく, また, バブル以前の放任主義的な環境で育つものでもありません。 新しい育成視点による人材育成を推進する必要があります。 本書ではそれを “委任主義” と呼び, 「チーム力を高める人材育成手法」 として紹介します。
  第1章では, リーダー, マネージャーのミッションとして人材育成がいかに重要であるかを記しています。 また, メンバーを育てるためには, 何をポイントに, どのように育成すれば良いのかという点について, 「委任主義型リーダーの3つのC」 としてまとめ, 理解を深めてもらえるように工夫しています。 また続く第2章では, 「かつてはトップ営業マンで, 現在は優秀な営業マネージャー」 である実在する5名の “名選手で名監督” を具体的に取材, 分析し, そこからチーム力を高めるための人材育成手法を抽出しています。 隣の課のプレイングマネージャーの動きを外から見ているだけでは, 実際にメンバーに対しどう接し, どうモチベーションを上げ, どう数字に結び付けているかが, 実は見えているようで, なかなか見えづらいものです。 日々の具体的な事柄に目まぐるしく追われている現場を考えれば, 根底に潜むポイントを押えにくいことは十分理解できます。 ここでは, 他のマネージャーの実際のやり方をかいま見る機会としてとらえていただき, 今後のマネジメントに活かしていただけるものと思っています。 最後に第3章では, これまでに見てきた内容を, 実際の現場でどうように活用していったらいいのか, そのポイントを 「委任主義型育成サイクル」 としてまとめています。 部下の育成に日々悩まれている優秀なマネージャーやリーダーのみなさまに, 早速明日からすぐに使えるスキルとしてお読みいただけるものと思います。
  より多くのマネージャーやリーダーのみなさまが本書に接し, 今, 目の前にいる部下の方々の成長を促し, ひいてはチームの人材力の飛躍的な向上を実現される一助になりますことを, 心より願っております。
  本書第2章は, 産労総合研究所出版の 「企業と人材」 2005 年9月5日号から 2006 年2月5日号までの半年間の連載内容を転載しています。 この半年の連載をまとめていただいた 「企業と人材」 編集部には心より感謝致します。 編集部の優れたアドバイスと暖かな支援なくしては実現ができないものでした。 また, 今回の出版を実現まで導いていただいた経営書院編集部にも心より感謝致します。 そして, なによりも, 快く取材に応じ, ノウハウを惜しみなくご提供いただいた, 荻野直志氏, 吉田伸之氏, 横井豊彦氏, 平山陽一氏, 勝田雅之氏の5名の “名選手で名監督” の皆様にこの場をかりて謝意を表します。 


2005年10月吉日 中井 嘉樹