地方の会社であればマイカー通勤を認めているところも多いと思いますが、東京、大阪などの大都市圏にある会社では、敷地が広く駐車場に余裕のある場合は別として、マイカー通勤を禁止しているところが多いと思われます。その禁止の理由は、駐車するスペースがないとか、駐車場を借りる場合は多額の費用を要するとか、マイカー通勤は交通ラッシュに巻き込まれると通勤に長時間を要するとか、マイカー通勤は交通事故に遭う可能性が高く、その場合は貴重な従業員を失うことになりかねず、会社にとっても大きな損失を受けるとか、また、従業員が加害者であれば、事故の責任が従業員はもちろんのこと、会社にも及ぶことになりかねないとかがあげられます。
従業員から見れば、どのような方法で通勤しようとも、通勤方法も通勤ルートも自由であり、それを会社が規制するのはおかしいという意見も考えられます。確かに、通勤時間は使用者である会社の支配管理外であり、それを会社が規制するのはおかしいという議論が出るのも当然なことですが、まったく無関係とは言い切れません。一般に、企業では通勤手当や通勤費を支給していますので、どのような手段でどのようなルートで通勤するのかは大きく関係します。特に、マイカー通勤の場合に通勤手当等をいくら支給するかが問題となり、ガソリン代、駐車場代などの実費弁償でいくのか、それとも他の計算方法を考えるのか等を決めなくてはなりません。
その他、会社が無関係ではいられない理由としては、従業員が被害者として交通事故に巻き込まれたり、逆に加害者として交通事故を引き起こした場合に、保険や賠償の問題が関係してきます。たとえば、従業員がマイカー通勤で他の自動車と衝突し大ケガをしたとしましょう。その場合、会社がその従業員を代行して通勤途上災害として労災保険の請求をすることが多いのですが、加害自動車は自賠責保険に加入しているはずですので、原則としてその自賠責保険を優先して適用するということになっており、いきなりの労災保険の請求は躊躇されます(どうしても先に労災保険の請求をする必要性があれば受理はされます)。また、マイカーとはいっても、その従業員がそのマイカーを普段から業務用に使用している場合には、従業員が加害者となった場合に、事故の被害者から、会社は使用者であるとして使用者責任(民法715条)を追及されるかもしれず、その請求が認められる可能性もあるのです。
このように、マイカー通勤などの通勤方法についても、これらとの兼ね合いで会社は関与せざるを得ず、種々の観点から合理的なルールを作ることが必要とされ、企業も多くはそのようなルールづくりを行っています。 |