(福利厚生)メタボリックシンドロームの予防対策と取り組みに対するインセンティブ
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| Q 2008年4月から40歳から74歳の健康保険の加入者や国民健康保険の加入者に対して、メタボリックシンドロームの予防対策として、新たに特定健康診査(特定健診)ならびに特定保健指導が実施されることを聞いていますが、どのような目的で行われるのかを教えてください。 |
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1.「特定健康診査等」のねらい |
2008年4月から、「老人保健法」を大幅に改正し、「高齢者の医療の確保に関する法律」(以下、高齢者医療確保法)と改称して新たな高齢者医療制度が創設されます。 これに伴い、高齢期の疾病予防とメタボリックシンドローム(以下、内臓脂肪症候群)の予備軍の生活習慣を改善するために、40歳から74歳の「健康保険」および「国民健康保険」などの加入者(妊産婦や海外在住者などは除く)を対象に、「特定健診」と「特定保健指導」(以下、特定健康診査等)が実施されます。 この特定健康診査等が新たに設けられた背景には、国民医療費が年々増加する中で、今やその約3分の1を生活習慣病(悪性新生物や高血圧疾患など)が占め、加齢に伴う外来率の増加や、75歳頃を境に入院受療率の上昇がみられることあげられます。 そこで、内臓脂肪症候群が急速に増える40歳以降を対象に、特定健康診査等を通じて生活習慣病対策を推進し、人々の生涯にわたる生活の質の維持を図り、結果的に国民医療費の適正化を図ることがねらいとなっています。
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2.「特定健康診査等」を実施するうえでの現状の課題 |
民間企業の従業員(以下、従業員)などが加入する「健康保険」に絞って、特定健康診査等に取り組む際の課題を考えますと、いくつかの実務上の課題が生じています。 その中で代表的な課題については次のような点があります。 第1に、事業主(会社)が行う健康診断ならびに保健指導と、特定健康診査等との調整があげられます。 従業員の健康診断(雇入時の健康診断および定期健康診断など)や保健指導は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)によって事業主の義務として実施されています。しかし、高齢者医療確保法の特定健康診査等は、健康保険組合や政府管掌健康保険などの医療保険者が実施の義務を負っています。したがって、それぞれの健診等の実施主体が異なることから、同一の従業員が別々に健診等を受ける可能性も推測されますので、合理的に受診できるように、事業主と医療保険者との間で実施主体などの調整が生じています。 なお、高齢者医療確保法では、労働安全衛生法に基づき事業主が行う健康診断(雇入時の健康診断および定期健康診断)において、高齢者医療確保法で義務づけられた特定健診項目を行う場合には、事業主の健康診断を優先させていますので、従業員の中には、年1回の定期健康診断の際に、特定健診項目を受診する例も生じるものと思われます。 第2に、40歳から74歳の健康保険の被扶養者は、本年4月以降は、居住地の市区町村で特定健康診査等の受診ができなくなる点です(詳細については、各居住地の市区町村の情報をご確認ください)。 従来、健康保険の被扶養者であっても、居住地の市区町村が実施する住民健診(老人保健法に基づく基本健康診査)を受診する例が多くみられましたが、これが特定健康診査等に換わることにより、その被扶養者が加入している医療保険者(健康保険組合や政府管掌健康保険など)が特定健康診査等の実施義務を負うこととなり、各市区町村では国民健康保険の加入者でなければ受診ができなくなります。 したがって、今後、健康保険の被扶養者は、その者が加入している医療保険者から、受診券や利用券を発行してもらい、医療保険者が委託契約している居住地に近い自治体病院や外部の健診機関などで、特定健康診査等を受診することとなる予定です。
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3.「特定健康診査等」の実施努力を評価する仕組みとインセンティブ |
高齢者医療確保法によって新たに創設される高齢者医療制度には、65歳以上74歳を対象とした「前期高齢者医療制度」と、75歳以上を対象とした「後期高齢者医療制度」との2つの制度があります(資料参照)。 これらの制度の財政負担は各医療保険者などが負うこととなりますが、その一方で、「後期高齢者医療制度」については、各医療保険者の特定健康診査等の実施意欲を高めるためのインセンティブの仕組みが導入されています。 この仕組みを紹介する前に、まず、「後期高齢者医療制度」の財源の構成をみますと、後期高齢者の患者負担を除き、「公費」が約5割、「後期高齢者支援金」が約4割、「高齢者の保険料」が1割となっており、このうち、「後期高齢者支援金」は若年者の保険料で賄われ、「各医療保険者の共通負担部分」と「生活習慣病対策の評価部分(加算・減算部分)」との2つで構成されています。 そこで今回、インセンティブの仕組みが導入されたのは「生活習慣病対策の評価部分(加算・減算部分)」で、これは各医療保険者が作成した計画目標に基づいて、特定健康診査等の実施と生活習慣病対策の達成状況により、最大10%の範囲で負担額の加算や減算が行われます。 すなわち、各医療保険者が加入者に対して内臓脂肪症候群が急速に増える年齢層から早期に生活習慣病対策を推進することは、後期高齢者で多発する脳卒中や心筋梗塞などの発症を抑えることに寄与します。これは結果的に、後期高齢者の医療費負担の適正化につながるといわれています。そこで、各医療保険者ごとに生活習慣病対策の達成状況を評価し、その結果によって、「後期高齢者支援金」の負担の一部を増減させることで、各医療保険者の特定健康診査等の実施意欲を高めるというものです。 なお、このインセンティブは、2013年度(平成25年度)の納付分から適用となります。 以上のように「特定健康診査等」は40歳から74歳の各医療保険者の加入者を対象に生活習慣病対策を中心に推進されますが、これに限らず、20歳から30歳の若年層についても、不規則になりがちな生活習慣を改善するために、食生活や運動、喫煙などに関するアドバイスを行う医療保険者もみられます。(企業福祉・共済総合研究所 秋谷貴洋)
労務事情 2007年11月15日号掲載
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資料 新たな高齢者医療制度の創設( 2008年4月) 資料出所・厚生労働省
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