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労務事情 人事労務相談室
(福利厚生)職場レクやイベントなどによる社内コミュニケーション促進の留意点

Q 当社では、ここ数年、精神疾患などで休業する社員が少しずつみられることから、これを予防する観点からも、社員の労働疲労やストレスの軽減、さらには職場の良好な人間関係の維持のために、職場のレクリエーション(以下、職場レク)やイベントを検討したいと思っております。しかし、過去に比べ従業員個々人の作業負荷などが増加するなかで、各社の従業員規模にもよりますが、従来のように全社員一丸となって、あるいは家族を伴った職場レクやイベントの実施が難しい状況にあると考えています。そこで、社内コミュニケーションを促すうえで参考になる事例があれば教えてください。

 1.職場単位でレクリエーションへの参加を促す例
職場レクは、従来から、労働による疲労やストレスの回復、さらには職場の人間関係を良好にするうえで、広く行われています。
ご質問のように、近年では従業員同士の社内コミュニケーション不足や過重労働などをはじめ、中途採用者が職場にとけ込めず、心の健康を維持することができずに休業に至るケースもみられます。そこで、その改善対策として、職場レクに関心を示す企業もみられます。
すでに、各職場で取り組まれているレクリエーション(以下、レク)としては、「納涼祭」や「ビアパーティー」「ボーリング大会」などの、従業員が終業後に参加しやすいイベントが比較的よくみられます。また、最近では、「フットサル」や「ウォーキング」など、従業員が身近に短時間で取り組めるスポーツも実施されています。
しかし、その一方で過去に比べ従業員個々人の作業負荷も増加している現状を考慮し、以前であれば全社的に行えた「スポーツ大会」や「文化祭」「職場旅行」などの開催は難しいという声も、聞かれるようになりました。
そこで、最近では、職場単位でレクへの参加を促す仕組みを構築する例もみられます。
たとえば、従業員同士の良好な人間関係を維持するために、カフェテリアプランを活用して職場単位で社内イベント(「社員旅行」や「交流会」)の参加を促す例や、所属部署ごとに仕事の目標を達成した際の報奨として、職場旅行の補助金を支給する例などがみられます。
このうち、カフェテリアプランを活用した事例について紹介しますと、従業員が取得できる総ポイントの約半分をイベントメニューとし、各事業所でイベントが行われる際に、当該事業所の従業員がポイント消化できる仕組みとなっています。ただし、ポイント消化の申請は各事業所の担当者が参加者分のポイントを一括で申請するため、個々の従業員が任意でポイント申請を行ったり、補助金精算の手続きを要しない工夫がなされています。
また、ポイント消化においては所得税法上の「課税しない経済的利益」(資料1、2参照)の取扱いに留意しています。
さらに、社内イベントの参加者数が振るわない部門もあることを考慮し、労働組合などを通じて参加の促進や、宿泊を伴わない日帰りツアーの企画を行っています。このように、カフェテリアプランを活用して集団取得ポイントを設けている点はユニークといえます。
資料1 所得税基本通達
資料1 所得税基本通達
 2.社内コミュニケーションを図る例
一方、レクを通じて社内コミュニケーションの促進を図ることが難しい職場では、従業員同士の対面あるいは非対面(通信媒体)によってコミュニケーションを図る例もみられるようになりました。
従業員同士の対面形式による例としては、社内コンテスト(技術コンテスト、職場の安全環境提案コンテスト、業務企画提案コンテストなど)や職場単位での地域社会貢献活動、終業後の職場交流会などがあります。これに対し、非対面形式による例としては、社内LANを活用した従業員同士あるいは従業員と経営トップとの意見や情報交換のための社内専用掲示板の開設、社内提案制度など、さまざまな社内コミュニケーションの例があります。
職場での一体感を実現するうえでは、どちらかというと従業員同士の対面形式のほうが、参加者同士が実際に出会って、同じ時間や行動を共にすることで、その後の話題も深まり、一体感の醸成につながると思われます。
また、今日では、社会貢献や自然環境など社会的な課題をテーマに社内公募によるイベントを企画することも、職場単位を超えて従業員の一体感を高めるきっかけになるといえます。
さらにイベントを実行するうえでは、各職場の取りまとめ役を決めておくことも必要となる場合もありますので、職場ごとの担当従業員もしくは職場の所属長がその役割を担うのか、あるいは、取りまとめ役の選出が難しい場合は、人事部門が中心になって取りまとめるのかを検討しておく必要があります。
以上のように、職場レクやイベントを通じた社内コミュニケーションの促進方法を紹介しましたが、これ以外の手法もみられます。
たとえば、職場の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)運動も兼ねて、毎月の給与支払日に、各職場のライン管理者が主導となって従業員と共に清掃を行ったり、5S運動コンテストとして職場単位で評価することで表彰や報奨を授与するなど、それらの活動を通じて社内コミュニケーションや作業能率の改善を図る例があります。また、事務部門における職場のレイアウトの変更(たとえば、従業員のデスクを仕切るパーティションの廃止など)を行って、従業員同士の顔が見えるように改善した例もあります。
このように、職場環境を見直すことで、働きやすい作業環境が実現できれば、社内コミュニケーションだけでなく、従業員の作業遂行上のストレス軽減が実現できるものと思われます。また、その結果、仕事に充てる時間の有効活用にも寄与する可能性もありますので、従業員の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現にも貢献するものといえます。(企業福祉・共済総合研究所 秋谷貴洋)

労務事情 2008年2月15日号掲載 
資料2 所得税個別通達110 所得税基本通達36−30(課税しない経済的利益…使用者が負担するレクリエーションの費用)の運用について
資料2 所得税個別通達110 所得税基本通達36−30(課税しない経済的利益…使用者が負担するレクリエーションの費用)の運用について
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