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労務事情 人事労務相談室
(社会保険)社会保険と労働保険の取扱いの違いと留意点

Q 弊社は創業したばかりの会社で、 創業と同時に社会保険と労働保険に加入しました。各種手続きや, 従業員の毎月の給与からの保険料控除については、社会保険、 労働保険とも同じように処理してよいでしょうか。実務を担当するうえで、 社会保険と労働保険の取扱いで注意しなければならない点があるようでしたら、それについても教えてください。

 A 社会保険・労働保険とも同じ厚生労働省の管轄ではあるが、
 それぞれに取扱い方が異なるので、注意が必要である。
 1.「社会保険」と「労働保険」
ほとんどの事業所では、健康保険や厚生年金保険などの「社会保険」ならびに労災保険や雇用保険の「労働保険」に加入しているかと思います。これらの保険は、管轄が同じ厚生労働省なので、手続きなどもほとんど同じであると思われがちですが、実は異なっており、混乱されている方がけっこういます。
そもそも、厚生労働省に統合される前は、社会保険は厚生省、労働保険は労働省と管轄が異なっていたことに由来します。
そこで、お尋ねに応えて、実務上で注意を要する社会保険と労働保険の取扱いの違いについて触れていきます。
 2.被保険者資格について
1. 被保険者期間について
社会保険では、従業員のみならず、法人の代表取締役など経営者であっても、法人から労働の対償として報酬を受けている人は、法人に「使用される者」として、健康保険や厚生年金保険の被保険者となります(昭和24.7.28保発74号)。
そして、被保険者期間は、社会保険の適用事業所に使用された日(あるいは使用される事業所が適用事業所となった日)から、その事業所に使用されなくなった日の翌日までとなります(健康保険法35条・36条、厚生年金保険法13条・14条)。
一方、雇用保険では、個人事業主や法人の代表取締役など会社を代表する人は被保険者になれず、従業員だけしか被保険者になれません(雇用保険法4条1項、6条)。
なお、雇用保険の被保険者期間は、雇用された日から雇用が終了した日の翌日までとなります。
ここでの留意点としては、資格喪失手続きにあたり、社会保険の喪失届では資格喪失日を記入し、雇用保険の喪失届では離職日(雇用が終了した日)を記入することになります。たとえば、12月31日に辞めた場合には、ともに資格喪失日は翌日の1月1日となりますが、社会保険の場合は、喪失日の1月1日を、雇用保険の場合は離職日の12月31日を記入することになります。記入を間違えやすいので、注意が必要です。
資格喪失届けの日にちの記入
2. 届出期限について
被保険者資格の取得や喪失手続きの届出期限は、社会保険の場合、資格取得は取得した日から5日以内、資格喪失も喪失日から5日以内となっています(健康保険法施行規則24条・29条、厚生年金保険法施行規則15条・22条)。
一方、雇用保険の場合、資格取得は資格を取得した月の翌月10日までであり、資格喪失は資格喪失日から10日以内となっています(雇用保険法施行規則6条・7条)。
「取得手続き」「喪失手続き」
 3.保険料について
1. 保険料の負担割合について
社会保険や労働保険の保険料についても扱いが異なってきます。
健康保険や厚生年金保険料などは、労使が折半します(健康保険法161条、厚生年金保険法82条)。
一方、雇用保険料は、従業員と会社が決められた料率ずつ納め(会社負担のほうが多い)、労災保険にあっては、全額会社が負担することになります(労働保険徴収法30条)。

2. 保険料額について
社会保険料の額については、原則1年に1度の算定基礎届により決定された標準報酬月額に健康保険、厚生年金保険などの保険料率を乗じた額を毎年9月〜翌年8月まで納めることになります(年度の途中で賃金に著しい変動があった場合には月額変更があります)(健康保険法156条・160条、厚生年金保険法81条3項)。
一方、雇用保険料は、毎月の給与支払いの都度、その時に支払う賃金総額に雇用保険料率を乗じた額となります(労働保険徴収法12条4項・5項・9項)。
そこで、たとえば、残業代が発生した場合、社会保険料は特に変動はありませんが、雇用保険料は残業代分変動してきます。
保険料の額
3. 保険料の支払いについて
社会保険料は、被保険者になった月から、被保険者資格を喪失した月の前月分までを支払います。
一方、雇用保険料は、被保険者になった月から、資格を喪失した月までとなります。
ここでの留意点は、社会保険料は喪失月の前月分まで支払えばよいということです。
ちなみに、社会保険料の場合、12月31日に退職した場合の喪失日は1月1日となり、保険料はその前月である12月分までの保険料を払います。一方、12月30日に退職した場合には、喪失日は12月31日となるので、保険料はその前月である11月分までとなります。
保険料の支払期間
4. 保険料の納付について
保険料の国への納付については、社会保険の場合には翌月末日までに納めることになります(健康保険法164条・厚生年金保険法83条)。
つまり、12月分の社会保険料は1月末日までに納めることになります。これに伴い、従業員からの給与支払時の保険料控除も翌月支払いの給与から控除することになり、たとえば、給与が15日締め・当月25日払いの会社の場合、12月1日採用の者は1月25日支払いの給与から12月分の社会保険料を控除します。一方、給与の締め日が末日で、支払いが翌月10日の場合には、最初の支払いである1月10日支払いの給与から12月分の保険料を控除することになります。
一方、雇用保険料については、被保険者になってから給与を支払う都度、保険料を控除します。そして、国への納付ですが、社会保険料と違い毎月納めるのではなく、1年に1度労働保険の年度更新に合わせ4月1日〜5月20日までの間に一括して納めることになります。なお、概算保険料が年額40万円(両保険の場合)を超える場合や、労働保険事務組合を利用している場合等では、年3回に分けて納付することができます(労働保険徴収法15条・18条・19条、労働保険徴収法施行規則27条)。
会計上の留意点ですが、社会保険料については毎月の給与から控除し、毎月国に納めるので特に問題はありませんが、雇用保険料の場合、毎月の給与から控除しても、1年に1度ないし3度に分けて納めるので、それまでの間、会社が預っておくことになります。((有)人事・労務 チーフコンサルタント 根本大作)

労務事情 2007年12月15日号掲載
国への納付
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