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労務事情 人事労務相談室
(給与税務)長時間の出張者に支給する割増の日当

Q 当社では、業務出張をした場合の費用の補てんとして、日当を支給しています。この日当に対する課税上の取扱いとして、次の点について疑問がありますので、ご教示ください。

(1)たとえば、東京―大阪間の日帰り出張の場合のよには、早朝の食事代や夜食代の補てんとして通常の場合の日当に加えて一定額の「加算日当」を支給することを検討しています。このような場合の加算日当についても非課税扱いが認められますか。
(2)一般に、業務出張については電車賃等のほかに一定額の日当を支払っていますが、この日当の支給額については、どの程度であれば妥当なのでしょうか。

 1. 旅費の非課税扱い
給与所得者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため次のような旅行等をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるために支給される金品で、その旅行の目的、目的地、行路、期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容および地位等からみて、その旅行について通常必要と認められるものは、非課税とされています(所得税法9条1項4号)。
1 勤務する場所を離れて職務を遂行するための旅行
2 転任に伴う転居のための旅行
3 就職または退職に伴う転居のための旅行
4 死亡による退職をした者の遺族の転居のための旅行
 2. 旅費の非課税と実費弁償
旅費が非課税扱いとされているのは、旅行者が旅費の支給を受けても職務遂行上必要とされる旅行に充てられることにより、手元には残らないという、いわゆる実費弁償によるところが大きいといえます。
しかし、実務的にみて、支給される旅費が実費弁償でなければ非課税扱いとはならないとすれば、すべての旅費の精算が必要となり、その処理はきわめて繁雑なものとなります。
たとえば、食事その他の雑費的な費用に充てるものとして支給される「日当」について、実費精算を求めることは不可能とも考えられます。
そこで、旅費の非課税がその実費弁償の性格によるところが大きいとはいいながら、実務的には、その旅行に充てられる金品で「通常必要と認められるもの」を非課税とすることになっています。
したがって、企業では、通常必要と認められる旅費を旅費規定に定めて一律的に支給することとしている例が一般的となっています。
 3. 非課税とされる旅費の範囲の判定
旅費がその旅行に通常必要と認められる範囲のものかどうかは、その旅行の目的、目的地、行路、期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容および地位等からみてその判定をすることになりますが、その判定にあたっては、次のような事項を勘案して判定することになっています(所得税基本通達9―3)。
1 その支給額が、その支給をする使用者等の役員および使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準により計算されたものであるかどうか
2 その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか
つまり、使用者に属する役員または使用人間におけるバランスと、同種同規模の他社の支給額との比較等を勘案して、非課税とされる旅費として適正なものであるかどうかを判定することになっているわけです。
 4. 非課税とされる旅費の範囲を超えるものの所得区分
支給する旅費が、その旅行に充てるために支給される金品で、通常必要と認められる範囲を超える場合には、その超える部分については課税されますが、その所得区分は次のようになります(所得税基本通達9―4)。
1 給与所得者が職務遂行のための旅行をした場合の旅費…給与所得
2 給与所得者が転任に伴う転居のための旅行をした場合の旅費…給与所得
3 就職をした者がその就職に伴う転居のための旅行をした場合の旅費…雑所得
4 退職をした者がその退職に伴う転居のための旅行をした場合の旅費…退職所得
5 死亡による退職をした者の遺族がその退職に伴う転居のための旅行をした場合の旅費…退職所得(課税上は非課税となります)
 5. 月額等により支給される旅費
職務遂行のための旅行に充てるものとして支給される旅費であっても、旅行の回数や旅行者の区分等に関係なく月額等により支給されるものは、たとえ旅費の名目で支給されるものであっても一種の手当として給与として課税されます。
ただし、その月額等により支給された旅費が、実際に職務を遂行するための旅行に充てられている場合には、その旅費として適正な範囲内のものに限り、非課税として取り扱われます(所得税基本通達28―3)。
もっとも、この場合には、非課税とした旅費の金額について実際に旅行の費用に充てたことを証する書類を備え、その実績を明らかにしておく必要があります。
 6. お尋ねの日当についての検討
以上、旅費の非課税扱いについての一般的取扱いを説明しましたが、お尋ねの日当の取扱いについて検討すると、次のように考えられます。

(1)日当は非課税とされる旅費に含まれるか
「日当」という用語は、1日あたりの手当という意味がありますので、非課税となる旅費には該当しないのではないかという意見がありますが、いわゆる日当は、旅行に伴う食事代その他の雑費的な費用に充てるためのものとされており、一般の旅費としての交通費、運賃、宿泊費、支度料等と同様に適正な金額であれば旅費の性格を持つものと考えられます。

(2)お尋ねの加算日当が非課税とされる日当に該当するか
お尋ねの場合には、日帰り出張の際に早朝に出発し深夜に帰宅するときには、当然、旅行時間が長時間となるため、早朝の食事代や夜食代を補てんするため、通常の場合の日当に加えて一定額の「加算日当」を支払うことを検討しておられるようであり、この加算日当が非課税とされる旅費に含まれる日当として認められるかどうかという疑問のようです。
すでにふれたとおり、職務遂行のために必要な旅行に伴い必要となる食事代その他の雑費等に充てるものとして支給する日当は、その支給額が相当なものであれば、旅費として非課税扱いが認められます。
したがって、お尋ねの場合の加算日当も、特に旅行時間が長時間となる者に同様の趣旨により支給されるものであれば、通常の場合の日当の額と加算日当との合計額が日当として相当な金額と認められる場合には、旅費の非課税扱いが認められるものと考えられます。
ただし、旅行が早朝または深夜に及ぶ場合にその手当の計算方法等からみて実質的に一種の時間外勤務手当と認められるような日当を支払う場合には、給与として課税されることも考えられますので、注意が必要です。

(3)旅費として認められる日当の額
旅行者に支給する日当の額が旅費として認められる範囲については、一般の旅費が非課税として認められるかどうかという判定についてすでにふれたところと同様であり、社内における支給額のバランスや同種同規模の他社との比較等を勘案して判定することになり、一律的にその範囲を金額で示すことはできません。
なお、国家公務員等の旅費に関する法律(別表第一の一)においては、「内国旅行の旅費」の中で、日当を上の表のように定めていますので参考にしてください。(税理士 三好 毅)

労務事情 2007年12月15日号掲載
内国旅行の旅費(日当)
内国旅行の旅費(日当)
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