人事院の提言では、昇給については、原則として過去1年間の評価結果を活用し、評価項目別の評価結果や所見なども含めて勤務成績の判断を行い、昇給区分を決定するとしている。ボーナスについては、役割達成度評価を基本に勤務成績を判断し、成績率を決定するとしている。
昇格については、上位の職責を果たせるかどうかを過去の勤務実績をもとに判断する必要があることから、現在属している職務の級の在職期間における評価結果を活用することを提言している。つまり、過去数期の評価結果をもとに決めるというものだ。ただし、これ以外にも解決すべき問題は少なくない。
たとえば、試行では、課長が課長補佐以下の全職員の評価を実施しているが、中には30〜40人を抱える部署も少なくない。課長1人が全員の評価を行うことが可能かという問題もある。
フィードバックについても、一次評価者の評価結果は部下に開示する方向で進められているが、最終評価結果までは求めていない。こうしたやり方で職員の納得が得られるのかどうかという問題もある。
さらに、苦情処理窓口をどういうものにしていくかも今後の検討課題である。また、現行制度についても各省間で異論が出ており、各省や労働組合と調整しながら構築していく作業も大きな課題となっている。
改正国家公務員法については、労働組合は当初から批判してきた。その最大の理由は「公務員制度を今後どうしていくのかという抜本改革の方向性がまったく示されていない」(公務労協)点にある。したがって、法律自体が参議院選挙目当ての政治的パフォーマンスにすぎないという厳しい見方をしている。能力・実績主義の人事評価制度についても、実態を踏まえずに法律に明記した点を批判する。
「肝心の人事評価制度は現在施行途中であり、どういう評価制度がつくられるのかわからない段階で任用や給与、分限に反映させると書いてしまった。しかし、評価制度を人事管理に使うにしても、試行の段階で、各省当局は現場が混乱するのは避けたいという理由で、評価結果を開示しないところも多い。それに苦情処理システムも全然整理されてはいない。われわれは労働組合がちゃんと参加できる形の苦情処理システムをつくるべきだと主張している。正直言って、今の試行の現状をみれば、どういう評価制度ができるのかわからないのが実態。もし、評価結果を開示しない人事評価制度になれば、われわれとしては任用や給与に使うことに反対せざるをえない」(公務労協)
労働組合にとっては、労働基本権のあり方も重要な関心事である。労働基本権については、この秋に前述の専門調査会が最終報告書を出す予定になっている。
民主党も労働基本権の付与については賛成している。
労働基本権の付与により、労使で賃金や労働条件を協議していくことになれば、評価制度を含む人事管理のあり方にも大きく影響してくることは間違いない。(ジャーナリスト 溝上憲文)
賃金事情 2007年9月20日号掲載