キャリア支援と人材開発

書籍概要

先進企業の挑戦 キャリア支援と人材開発

■川喜多 喬/菊地 達昭/小玉 小百合・共著
■A5判・238頁
■本体価格 1,800円
■ISBN 978-4-87913-974-0 C2034
■発行日 2006年11月

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目次

第1章 これからのキャリア支援と人材開発 菊地 達昭
  1. これまでの日本における人材開発とキャリア
  2. 外部環境の変化と日本企業の変化
  3. 新しい時代に向けて
第2章 キャリア開発の現場をみる
CASE1 (株)ニチレイ
    成果主義とキャリア開発の両輪を追求~大企業をプロフェッショナル集団へ~
  1. 安定成長でおっとりした会社に訪れた転機
  2. 成果主義導入とキャリア開発は両輪となった
  3. フレッシュ・アンド・フェアプログラム
  4. プロフェッショナルを目指すチャレンジ制度
  5. 時間をかけ、 納得性を確保するプロチャレンジ制度
  6. フレキシブルな組織を可能にするキャリア移動には賃金制度の改革が必須
  7. ライフステージやライフスタイルに応じた多様なキャリア支援制度
  8. 事例から学ぶこと

CASE2 中外製薬(株)
     ~人財開発とキャリアマネジメント~
  1. 目指す人財像
  2. 人財育成での人財開発部の役割
  3. 人財マネジメントサイクルの考え方と課題
  4. 人財マネジメントサイクルと4つの研修プログラム
  5. CDP とエビデンス・ベイスド・ヒューマンリソース・マネジメント
  6. Mission Statement と事実からのアプローチ

CASE3 (株)日立システムアンドサービス
     ~HCM (Human Capital Management)システムによる従業員キャリア支援施策の展開~
  1. (株)日立システムアンドサービスの概要
  2. HCM システム開発に取り組んだ背景
  3. HCM システムの概要
  4. 日立システムの人事処遇制度
  5. 今後の課題

CASE4 ヒルトン東京
      ~専門職を育てるキャリアディベロップメントプログラム~
  1. ホテル業界の2007年問題
  2. ヒルトンの日本進出
  3. ホテル業を進化させたヒルトンの経営手法
  4. 専門職の集合体
  5. 自主性を重視したキャリアディベロップメントプログラム
  6. 自らキャリアチェンジ、キャリアアップに挑戦するプログラム
  7. 40 歳までに考える自らのキャリア

CASE5 かんら信用金庫
     ~職員自らが作った 「キャリアガイド」 を使い、徹底した職員育成を実践~
  1. 採用時からキャリア開発が始まる
  2. 採用後3年間の教育投資:熟してから渉外営業に出す
  3. 成果主義と職員コミュニティの調和
  4. 徹底した訓練と評価データの公開
  5. 事例からの教訓

CASE6 西京銀行の人材活用戦略
     ~女性の積極的活用を推進する事業戦略~
  1. ACTBANKが企業理念
  2. 積極的に女性向け商品を開発
  3. 女性行員の活用を後押しする総合職転換制度
  4. パート行員のキャリアアップ制度
  5. キャリアアップ制度の下での人事制度の考え方
  6. 人材育成の特徴
  7. 新しいことに挑戦する銀行

CASE7 東レ経営スクールと東レ専修学校、東レ総合研修センターの取り組み
    ~マネジメントと現場の両方に、徹底した長期選抜教育~
  1. 人材育成の伝統と新しい挑戦
  2. キャリアステップとしての東レ経営スクール
  3. 組織内の技能・知識の継承の徹底
  4. キャリア支援と成長の自己責任

CASE8 女性社員の人材育成日本ゼネラル・エレクトリック
    ~ボランティアベースの社内組織活動による女性社員のキャリア開発~
  1. ダイバーシティを重視するGE
  2. GEウィメンズ・ネットワーク・ジャパン
  3. GEWNJ の具体的な活動
  4. GEWNJ の活動成果
  5. 女性管理職30 %を目指す
  6. 今後の課題

CASE9 松下電工(株)
    ~ライフデザインとキャリア自律支援~
  1. ハッピー・ライフ運動からの長い歴史
  2. トップも応援した社員の力をつけるためのキャリア支援
  3. 「したい」、「できる」 だけでなく、「すべき」を教える
  4. すべての事業所に相談所を設置
  5. キャリア相談員に求められる資質の明確化
  6. 事例からの教訓

CASE 10 労働組合による組合員の自立支援
    メイテック労働組合
    ~エンジニアを対象としたキャリアデザイン制度への取り組み~
  1. 市場価値の高いエンジニアを目指す
  2. 労働組合の新たな挑戦
  3. 組合員の困惑と会社の反応
  4. 労使協議の結果「キャリアデザイン制度」構築へ
  5. キャリアデザイン制度の基盤となるキャリアデザインシステム
  6. キャリア目標を目指すキャリアデザインシステム
  7. 年齢階層別に開催するキャリアプランセミナー
  8. キャリアデザインとライフバランスの関係

CASE 11 Jリーガーのセカンドキャリア支援Jリーグ
     キャリアサポートセンター
     ~アスリートのプロフェッショナル集団における選手のセカンドキャリア支援~
  1. Jリーガーの選手期間は平均6.5年
  2. CSCの機能
  3. 引退選手を理解し、個別カウンセリングを実施
  4. 現役選手へのキャリアデザイン支援の難しさ
  5. サッカーで培った能力をビジネスに活かす

連載のまとめ
第3章 ホワイトカラーのキャリア管理変化と課題
     29社アンケート調査結果および15年間の変化の考察
 小玉 小百合
  1. はじめに
  2. 企業の経営状況と経営戦略・人事諸制度の変化
  3. キャリアステージ別能力開発~その現状と変化の方向~
  4. 昇進と職務異動
  5. ホワイトカラーのキャリアに影響する人事制度とキャリア支援の基本姿勢
  6. 2006年におけるホワイトカラーのキャリア管理への課題
  7. まとめ
  8. おわりに
第4章 キャリア開発支援型の人的資源管理 川喜多 喬
  1. 「キャリア」 という言葉の普及と、意味の曖昧化
  2. キャリア形成・開発は組織と個人の協働作業
  3. 「成果主義」 と 「キャリア支援」
    ―大きな流行と小さな趨勢
  4. キャリア支援は教育と経済の目的
  5. キャリア開発支援論の観点からみた戦後の諸段階
  6. 人事管理は雇用調整型から人的資源投資型へ
  7. キャリア支援は、組織の「生涯学習集団」化

はじめに

この著は、 現代の日本企業における、 キャリア支援を通じた人材開発 (Human Resource Development) の実情と含意を明らかにしようとしたものである。
20 世紀末の、 いわゆるバブル経済の崩壊、 平成長期不況のもとで、 疲弊した企業によるリストラという名の減量と雇用調整ブームの中で、 「終身雇用」 をあてにせず 「雇用される可能性」 (employability) を自ら努力して勝ち取る、 従業員自身によるキャリア自主管理の姿勢の涵養が言われるようになった。 しかしながら、 いきなり自立を言われた従業員のとまどいは大きかったし、 それを放置すれば士気の喪失を招きかねない。 そこで企業の中にも、 雇用調整のみを目的としたかのような 「自立」 論議にたったキャリア支援だけではなく、 新たな時代に対応した、 知的創造的組織のリーダーとしての資質としての自律性を求めるという発想からのキャリア支援を考えるものも出始めた。
後者のような企業は、 まだまだ少数であるとはいえ、 将来の経済成長と雇用機会開発を担うことができる企業類型の一つではないかとわれわれは考え、 事例調査を行い、 追加してアンケート調査も行い、 関連文献の検討も行ってまとめたものがこの著である。 この著は、 キャリアマネジメント研究会のメンバーの共著である。
研究会といっても、 著者三人だけの小さな集まりである。
研究を始めた 2004 年当時、 菊地達昭は㈱NEC ユニバーシティ取締役・経営研修所所長であり、 民間最大手企業の一角でエグゼクティブの教育を通じてマネジメント層のキャリア支援に取り組んでいた。 また同時に、 多忙なサラリーマン生活の閑暇を利用してフリーターの再就職支援にも取り組んでいた。 小玉小百合は法政大学キャリアデザイン学部のキャリアアドバイザーとして、 学生のキャリア教育プログラムの実施やキャリア相談にあずかり、 学生の指導のためにも将来かれらを受け入れる企業のキャリア管理を研究していた。 川喜多喬は同大学経営学部から移籍してキャリアデザイン学部で人材育成論を教える傍ら、 中堅企業の人材育成やサラリーマン・OL のキャリア形成を研究していた。
三人が出会ったのは、 2004 年9月に設立された日本キャリアデザイン学会の準備作業の場であった。 この学会では、 キャリアデザインという言葉を刺激剤に、 個人の側からの積極的な職業生涯設計・職業能力の継続学習と、 組織側のキャリア支援・キャリアマネジメントを通じた個人と組織の協働作業というテーマは、 世代を超えた共通の課題になっているという問題意識で、 学校や企業、 行政、 NPO など様々な世界から人々が集まってきて論議をかわしていた。
当時、 メディアで注目されるキャリア支援といえば、 フリーター・ニートについての議論であった。 雇用調整期に着目された高齢者の再就職支援論議はやや陰に隠れ、 他方で女性を中心とした雇用継続のためにワークライフバランス論議も出始めていた。 これらがそれぞれ重要なテーマであることは言うまでもないが、 経営組織における多数の従業員を対象とした企業内キャリアマネジメントや、 それを重視し始めている人的資源管理の動向については、 充分な研究がないのではないかと、 われわれは考えた。
そこで三人は、 企業の事例研究を始めることにし、 その成果の発表の場を産労総合研究所、 「企業と人材」に求められないかと編集部に打診したところ、 快く連載を引き受けていただいたものである。 著者たちは人材関係の雑誌等から事例調査企業候補名を収集・整理し、 30 数社のリストを作成し、 そのうちから取材訪問の快諾を得たところから順に1年かけて連載を果たすことができた。 その連載のうちから選んだ事例を間に挟み、 前後にわれれれ三人の論文を収録した。
まず、 長年、 いろいろな企業の経営者・管理職と交流してきた経験に基づき、 序論を菊地が書いた。 事例の後には、 かつて川喜多などが行った大量アンケート調査の結果と比較して趨勢を確かめるため、 アンケート調査を実施することにした。 この調査は法政大学大学院経営学研究科キャリアデザイン学専攻の総合調査プロジェクトの一環として行うことにし、 調査票の設計から集計までを川喜多・小玉が行い、 その成果に基づいて小玉が研究報告を行った。 それをさらに精査して、 この著に向けて再編した。
事例調査及びアンケート調査の対象企業は日本の企業から見れば極めて数少ない。 事例調査とはそもそうしたものである。 またアンケート調査も性格上、 質問による制約がある。 結果をさらに日本企業のキャリアマネジメントの趨勢の中で解釈するために、 戦後の趨勢や現代における課題を整理しようとしたものが、 末尾につけた川喜多論文である。
われわれは、 それぞれの論文・調査報告に整合性をつけることよりも、 むしろ多様な現実に照らして多様な動向があり多様な解釈がありうるという指摘を優先させることにした。 新時代に向けて企業の現場も創意工夫によって時に未整理状況にあり、 また企業の環境からその環境の中での戦略選択までも多様である。 キャリア支援や人材マネジメントがどこに収斂していくのか、 いやむしろ逆にいっそう拡散していくのか、 読みがたい。 とはいえ、 その多少の混乱こそ、 多くの企業の人材マネジメント企画担当者はキャリア支援の適切な形を探して苦闘している証拠だとわれわれは考えている。 とすれば、 議論の矛盾は承知の上で、 いわば 「いいとこどり」 をこの著からしてもらうためにも、 あえて未整理のまま提示したのである。
これだけ企業のキャリア支援が変わってきていると言われながら実態に即した研究書が少ない中で、 学問上にもささやかな一石を投じたのではないかと自負しているが、 読者諸氏のご高評を待ちたい。 末尾ながら、 ご協力を頂いた企業の方々に感謝申し上げる。 私どものまとめや意見は、 企業の方々のものではなく、 誤解があればその責はわれわれが負う。

2005年10月15
共著者
川喜多 喬
菊地達昭
小玉小百合
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