キャリア自律時代の
自己啓発援助施策に関する調査


update:2014.02.07

民間のシンクタンク機関である産労総合研究所(代表・平盛之)では、2002年以来11年ぶりに「自己啓発援助施策に関する調査」を実施しました。これまで以上にキャリア自律が求められる今、従業員の自己啓発について、企業がどのような援助施策を講じているのか、その実態を明らかにすることが目的です。このほど調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。

 

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キャリア自律時代の自己啓発援助施策に関する調査
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調査結果のポイント

(1)自己啓発援助施策の実施状況と内容

  • 9割近い企業が、何らかの自己啓発援助施策を実施
  • 大多数の企業がセミナー受講料などに金銭的援助、時間的配慮や社内勉強会支援も5割

(2)企業として重視している自己啓発の「目的」

  • 「知識・スキル習得」「資格取得」が上位に、「学習する組織風土」や「モチベーションアップ」をあげる企業も

(3)企業として重視している自己啓発の「方法」

  • 重視する自己啓発の方法は「通信教育」「社外セミナー・講座」「社内勉強会」など

(4)自己啓発施策に対する金銭的援助の実施状況

  • 金銭的援助の上位は、「通信教育の受講費用」「社外セミナー・講座の受講費用」「公的資格の受検費用」

(5)社内勉強会に対する援助や便宜供与

  • 約6割が講師謝礼などの金銭的援助を実施、大企業よりも中堅・中小で高い実施率

(6)自己啓発援助施策の効果に対する評価

  • 自社の援助施策について、7割強が「効果をあげている」と肯定的に評価

(7)自己啓発援助施策の問題点

  • 問題点は、「特定の人にかたよりがち」「社員の関心が低い」が過半数、「制度上のフォローがない」が4社に1社

(8)自己啓発への社員の関心を高めるための工夫

  • 「積極的な広報活動」と「表彰や奨励金」で、社員の関心を高める

 

調査要領

【調査名】  キャリア自律時代の自己啓発援助施策に関する調査
【調査対象】 本誌読者および当社会員企業から任意抽出した約3,000社
【調査時期】 2013年10~11月
【調査方法】 郵送によるアンケート調査方式
【集計対象】 締切日までに回答のあった200社

図表

 

調査結果の概要

(1)自己啓発援助施策の実施状況と内容

9割近い企業が、何らかの自己啓発援助施策を実施

「何らかの自己啓発援助施策を実施している」企業は87.0%と9割近くに達し、ほかに「近々実施予定」が4.0%、「実施していない」が9.0%という結果であった(図表1-1)。

規模別には、それぞれ「近々実施予定」を加えると、大企業(1,000人以上)と中堅企業(300~999人)は優に9割を超え、中小企業(299人以下)も8割の実施率となる。

図表1-1 自己啓発援助施策の実施状況

図表

大多数の企業が受講料などを金銭的に援助、時間的配慮や社内勉強会支援も5割

援助施策の内容は、やはり「参加費や受講料などの金銭的援助」(97.1%)が中心である。経済的負担をできるだけ少なくすることで、自己啓発への動機づけを図っていることがわかる。これに続くものとしては、「情報の提供」(56.9%)は当然として、「就業時間の配慮」、「社内の自主的な勉強会等に対する援助や便宜供与」が5割弱と、比較的高くなっている(図表1-2)。

図表1-2 自己啓発援助施策の内容(複数回答)

図表

 

(2)企業として重視している自己啓発の「目的」

「知識・スキル習得」「資格取得」が上位に、「学習する組織風土」や「モチベーションアップ」をあげる企業も

企業は、どのような目的を重視して社員の自己啓発を援助しているのだろうか。

目的に関する10個の選択肢を設けて5つまで選択してもらったところ、最も多かったのが「知識・スキルの習得」(78.0%)で、これに「公的資格などの取得」(66.0%)、「学習する組織風土の醸成」(42.7%)などが続いている(図表2-1,2-2)。

「公的資格などの取得」といった仕事に直結する実用的な目的と、「学習する組織風土の醸成」といった理念的な目的がともに上位にあがるなど、自己啓発援助の目的は多様な広がりをみせている。

図表2-1 自己啓発の目的として重視していること(5つまでの複数回答)

図表

図表2-2 自己啓発の目的として重視していること(5つまでの複数回答)

図表

 

(3)企業として重視している自己啓発の「方法」

重視する自己啓発の方法は「通信教育」「社外セミナー・講座」「社内勉強会」など

前項の自己啓発の「目的」を実現する手段として、企業が重視している「方法」をみてみよう。これも、自己啓発の方法として一般的に考えられる11個の選択肢から5つまで選択してもらったものである。

調査結果は、「通信教育(従来型)」(68.7%)が最も多く、次いで「社外セミナー・講座」、「社内勉強会」、「eラーニング」、「社内講座」といった順になっている(図表3-1,3-2)。

図表3-1 自己啓発の方法として重視していること(5つまでの複数回答)

図表

図表3-2 自己啓発の方法として重視していること(5つまでの複数回答)

図表

 

(4)自己啓発施策に対する金銭的援助の実施状況

金銭的援助の上位は、「通信教育の受講費用」「社外セミナー・講座の受講費用」「公的資格の受検費用」

すでにみたとおり、企業の自己啓発援助施策は多岐にわたっているが、そのなかで、ほとんどの企業が実施しているのが「参加費や受講料などの金銭的援助」である。

そこで、どのような施策に金銭的援助を行っているかをみると、割合の高い順に、「従来型の通信教育の受講費用」(72.2%)、「公的資格取得のための受検費用」(69.8%)、「社外セミナー・講座の受講費用(語学以外)」(65.1%)、「eラーニングの受講費用」(43.2%)、「TOEIC等の受験費用」(38.5%)などとなっている(図表4)。

図表4 自己啓発施策に対する金銭的援助の実施状況

図表

 

(5)社内勉強会に対する援助や便宜供与

約6割が講師謝礼などの金銭的援助を実施、大企業よりも中堅・中小で高い実施率

自己啓発援助施策の内容として、半数近い47.7%の企業が「社内の自主的な勉強会に対する援助や便宜提供」を行っている(図表1-2)。援助を行っている企業に対し、さらに詳しく援助内容をたずねたのが、図表5-1および図表5-2である。

規模別にみると、いずれの援助・便宜提供も、大企業より中堅・中小企業のほうが実施率が高い結果となっている。

図表5-1 社内勉強会に対する援助や便宜供与の有無(社内勉強会に援助等を行っている企業=100)

図表

図表5-2 社内勉強会に対する援助や便宜供与の有無(社内勉強会に援助等を行っている企業=100)

図表

 

(6)自己啓発援助施策の効果に対する評価

自社の援助施策について、7割強が「効果をあげている」と肯定的に評価

現在の自己啓発援助施策の効果についての評価は、「ある程度効果を上げている」が最多の71.1%で、「非常に効果を上げている」(1.8%)と合わせて、7割強の企業が肯定的な評価を行っている。

他方、「あまり効果を上げていない」(13.3%)や「まったく効果を上げていない」(1.2%)という否定的評価は合わせて14.5%と少ない(図表6-1,6-2)。

教育施策には常に効果測定の問題がつきまとう。自己啓発援助施策についても、場合によっては、例えば通信教育の修了率や利用人数の増減などのように、何らかの目標を設定して援助施策を展開することも必要になるだろう。

図表6-1 自己啓発援助施策の効果に対する評価

図表

図表6-2 自己啓発援助施策の効果に対する評価

図表

 

(7)自己啓発援助施策の問題点

問題点は、「特定の人にかたよりがち」「社員の関心が低い」が過半数、「制度上のフォローがない」が4社に1社

問題点として半数以上の企業があげたのは、「利用が特定の人にかたよりがち」(59.8%)、「自己啓発に対する社員の関心が低い」(52.7%)の2つであった(図表7-1,7-2)。 全体としては社員の関心が低いなか、一部には資格取得などに意欲的に取り組む社員もいる、といった実情がうかがえる。

その一方で、およそ4社に1社が「人事制度・能力開発制度上のフォローがない」(24.3%)としており、今後は自己啓発によって達成した成果についても、人事管理上どのように活用されるのかについて、より明確な形で示していくことが、企業に求められていると言えよう。

図表7-1 自己啓発援助施策の問題点(複数回答)

図表

図表7-2 自己啓発援助施策の問題点(複数回答)

図表

 

(8)自己啓発への社員の関心を高めるための工夫

「積極的な広報活動」と「表彰や奨励金」で、社員の関心を高める

半数強の企業が、社員の関心の低さを問題点としてあげるなか、企業は社員の関心を高めるためにどんな工夫をしているだろうか。最も多いのが「積極的な広報活動」(59.4%)、次いで「上司と人事・人材開発部門の連携によるフォロー」(39.4%)、「優秀者に対する表彰や奨励金の支給」(37.5%)などが続く(図表8-1,8-2)。

図表8ー1 自己啓発への関心を高めるための工夫(複数回答)

図表

図表8ー2 自己啓発への関心を高めるための工夫(複数回答)

図表

 

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※ 詳細データは「企業と人材」2014年2月号にて掲載しています。

 

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株式会社産労総合研究所「企業と人材」編集部   担当:伊関, 堀之内
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