2016年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査

人事

春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査
掲載している雑誌:賃金事情

賃上げ実施予定企業は6割弱
賃上げ率は「2015年と同程度」が6割

人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、毎年、春季労使交渉に先がけ「春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」を実施しています。このたび2016年の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。

調査の結果、今春に賃上げを「実施予定」の企業は6割弱(58.9%)、自社の賃上げ率の予測としては「2015年と同程度」が6割となった。
また、2016年の年間賞与額は、2015年と比べて「ほぼ同額」が3割(30.1%)、「現時点(2015年12月)ではわからない」が4割(41.1%)だった。
非正社員の処遇見直し状況では、2015年に非正社員の「賃金を増額した」企業は5割(53.4%)にのぼった。

 

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主なポイント

(1)2016年の賃上げ見通し

  • 「賃上げ世間相場」の予測では、5割弱の企業が「2015年と同程度」と回答も、大企業で厳しい見通し
  • 「自社の賃上げを実施予定」は6割弱、企業規模が大きくなるほど賃上げ実施予定率は低下

(2)2016年の自社の賃上げ予測

  • 自社の賃上げ率は「2015年と同程度」が6割、「2015年を下回る」が2割

(3)定期昇給制度の有無と今後の取り扱い

  • 「定期昇給制度がある」企業は全体の8割、うち「現状の定期昇給制度を維持する」企業は8割

(4)賃金改定に向けた経営側のスタンス

  • 「定昇もベアも実施する企業」は1割、「定昇のみ実施」は5割

(5)業績が向上した場合の配分

  • 業績向上分は「賞与にまわしたい」55.5%、「賃上げ(月例給の引上げ)と賞与にバランスよく配分したい」24.7%、「賃上げにまわしたい」6.2%

(6)2016年の年間賞与の見通し

  • 2015年と比較した2016年の年間賞与の見通しは「ほぼ同額」が3割

(7)正社員以外の労働者の処遇改善

  • 2015年に「非正社員の賃金を増額した」企業は5割、2016年の見通しは「賃金を増額する予定」26.7%

 

調査要領

【調査名】  「2016年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」
【調査対象】 全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員企業から任意に抽出した3,000社
【調査時期】 2015年11月中旬~12月下旬
【調査方法】 郵送によるアンケート調査方式
【集計対象】 締切日までに回答のあった146社について集計

グラフ

 

調査結果の概要

(1)2016年の賃上げ見通し

「賃上げ世間相場の予測」では、5割弱の企業が「2015年と同程度」と回答も、大企業で厳しい見通し

グラフ企業の担当者に賃上げの世間相場の予測についてたずねたところ、「2015年と同程度」が45.9%(前回調査39.4%)、「2015年を下回る」は13.7%(同22.7%)、「2015年を上回る」は11.6%(同12.9%)だった。なお、「現時点(2015年12月)ではわからない」と判断を保留した企業は、28.8%(同25.0%)となっている。
また、企業規模別にみると、「2015年を上回る」とした企業は規模が大きくなるほど割合が少なく、「2015年を下回る」とした企業は、大企業(1,000人以上)で多くみられた。


図表1-1 2016年の賃上げ世間相場の予測

グラフ

 

「自社の賃上げ実施予定」企業は6割弱、企業規模が大きくなるほど賃上げ実施予定率は低下

グラフ自社の賃上げに対するスタンスは、「賃上げを実施する予定」が58.9%と、前回調査(57.6%)から1.3ポイント微増したものの、ここ3年は同水準で推移している。一方、「賃上げは実施せず、据え置く予定」と回答した企業は前回調査(7.6%)から減少。こちらは2年連続で減少している。
企業規模別にみると「賃上げを実施する予定」は、企業規模が大きくなるほど割合が低くなっている一方、「現時点ではわからない」と態度を保留した企業は、企業規模が大きくなるほど、その割合は高い。


図表1-2 2016年の自社の賃上げ予定

グラフ

 

(2)2016年の自社の賃上げ予測

自社の賃上げ率は「2015年と同程度」が6割、「2015年を下回る」が2割

グラフ「賃上げを実施する予定」と回答した企業に、2016年の賃上げ率を予測してもらったところ、最も多かった回答は「2015年と同程度」の64.0%で、前年とほぼ変化のない割合。予想賃上げ率は平均で1.8%と、前年から0.3ポイント下回った。「2015年を上回る」8.1%は、前年から0.2ポイントの微増、賃上げ率は0.2ポイント減の1.9%となった。「2015年を下回る」は23.3%で、前年から6.2ポイント上回り、賃上げ率は2.0%と0.5ポイント上回った。企業規模別にみると、すべての規模で「前年を下回る」と回答した割合が増えている。


図表2 2016年の自社の予想賃上げ率

グラフ

 

(3)定期昇給制度の有無と今後の取り扱い

「定期昇給制度がある」企業は全体の8割、うち「現状の定期昇給制度を維持する」企業は8割

グラフ定期昇給制度(以下、「定昇制度」)が「ある」と回答した企業は81.5%で、前回調査(81.8%)とほとんど変化はみられない。規模別に「定昇制度がある」企業をみると、1,000人以上の大企業、300~999人の中堅企業がともに83.7%と8割を超え、299人以下の中小企業も78.3%と、8割に迫る採用率となった(図表3‐1)。
また、「定昇制度がある」と回答した企業に、今後の定昇制度の扱いについてたずねたところ、「現状の定昇制度を維持する」が、前回調査から2.6ポイント減の79.8%だった。「制度は維持するが定昇額を縮小する」8.4%、「制度は維持するが適用対象を限定する」6.7%はともに少数で、「定昇制度を廃止する」と回答した企業は1社もなかった(図表3‐2)


図表3-1 定期昇給制度の有無

グラフ

図表3-2 今後の定期昇給制度の扱い

グラフ

 

(4)賃金改定に向けた経営側のスタンス

「定昇もベアも実施する企業」は1割、「定昇のみ実施」は5割

グラフ定昇制度がある企業が、2016年の賃金改定にどのようなスタンスでのぞむかみると、「定昇のみを実施する予定」が50.4%と、半数を占めた。また、「定昇もベアも実施する予定」は10.1%と前回(9.3%)から微増している。
なお、「現時点(2015年12月現在)ではわからない」と、態度を保留した企業も4割(37.8%)あった。


図表4 賃金改定に向けた経営側のスタンス

グラフ

 

(5)業績が向上した場合の配分

業績向上分は「賞与にまわしたい」55.5%、「賃上げ(月例給の引上げ)と賞与にバランスよく配分したい」24.7%、「賃上げにまわしたい」6.2%

グラフ2016年の賃金改定にあたり、企業業績が向上した場合の成果配分についてたずねたところ、最も多かったのが「賞与にまわしたい」55.5%(前回調査65.9%)、次いで「賃上げと賞与にバランスよく配分したい」24.7%(同21.2%)、「賃上げにまわしたい」6.2%(同3.8%)だった。「賞与にまわしたい」が前年を10.4ポイント下回った一方、「賃上げにまわしたい」は2.4ポイント、「賃上げと賞与にバランスよく配分したい」は3.5ポイント上回った。


図表5 企業業績が向上した場合の配分

グラフ

 

(6)2016年の年間賞与の見通し

2015年と比較した2016年の年間賞与の見通しは「ほぼ同額」が3割

グラフ2015年と比較した2016年の年間賞与の見通しは、「増加する」が13.0%(前回調査14.4%)、「ほぼ同額」30.1%(同18.9%)、「減少する」15.1%(同12.9%)となった。前回調査と比べると、「ほぼ同額」が大幅に伸び、「増加」が微減、「減少」が微増した。なお、「現時点(2015年12月)ではわからない」と回答した企業は4割あった。


図表6 2016年の年間賞与の見通し

グラフ

 

(7)正社員以外の労働者の処遇改善

2015年に「非正社員の賃金を増額した」企業は5割、2016年の見通しは「賃金を増額する予定」26.7%

グラフ2015年の非正社員の処遇改善状況をみると、2014年は41.7%だった「賃金を増額した」は、2015年では53.4%と、11.7ポイント増加した。2013年(25.2%)からは、28.2ポイントの大幅増である。
2016年の見通しをみると、「現時点(2015年12月)ではわからない」が37.7%で最も多く、「見直す予定はない」の30.1%を上回っている。なお、「賃金を増額する予定」は26.7%で、前年(23.5%)を上回った。


図表5 非正社員賃金の見直し状況と2016年の見通し

グラフ

 

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※ 詳細データは「賃金事情」2015年2月5日号にて掲載しています。

 

本リリースに関する取材などのお問い合わせ

株式会社産労総合研究所「賃金事情」編集部   担当:伊関、黒田、境野
TEL 03(5319)3601   MAIL edt-a2@sanro.co.jp


※上記電話番号はリリース発表当時のものです。お問い合わせは 03-5860-9791 にお願いします。

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