改正高齢法に基づく
定年到達者の再雇用制度の規定例


update:2014.05.20

この記事は「人事実務」2013年4月号に掲載されました。

 改正法の施行で,2013年4月から希望者全員の再雇用が義務化されます。これまで労使協定で継続雇用基準を設けていた企業では,特例措置が利用できます。

見直しておきたい! 規程・協定・書式

改正高齢法に基づく定年到達者の再雇用制度の規定例

 改正高齢法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)の施行により,2013年4月1日から,希望者全員の65歳までの継続雇用が義務化されました。まだこの制度を実施していない企業は,職安の指導が入る前に,制度を整備し,改正就業規則の労基署への届出を済ませましょう。
 編集部では,改正法に関して厚労省が策定した指針(平24.11.9 厚労省告示560号)および通達(平24.11.9 職発1109第2号),厚労省がHP 上で公表している高年齢者雇用安定法Q&Aを参考に,就業規則の規定例および労使協定例を作成してみました。なお,併せて,厚労省が指針のなかであげている規定例も掲載しました。
以下に,作成上の留意事項等を説明します。〔規定例、労使協定例は,このコーナーでは省略させていただきます〕

(1)就業規則への規定

 定年制や継続雇用に関する定めは,「退職に関する事項」ですから,労基法89条3号の就業規則の絶対的必要記載事項に該当します。そこで,改正法に対応するために改定した就業規則は,事業所ごとに従業員の過半数を組織する労働組合(なければ労働者代表)の意見を聴取したうえ,所轄労基署に変更届を行わなければなりません。
 ただし,経過措置を利用するための労使協定に関しては,就業規則の当該条項に「労使協定に基準を策定した」旨が定めてあれば,労使協定そのものを労基署に届け出る必要はありません。

(2)指針と継続雇用の対象者

 指針(厚労省告示560号)では、「心身の故障のため業務に堪えられないと認められること,勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由に該当する場合には,継続雇用しないことができる。」(指針第2の2,通達第3―2― (3))としていますので,解雇事由該当者については,継続雇用を拒否できることになります。
 また,指針および通達(職発1109第2号)は,解雇事由と同一の事由を継続雇用ができない事由として就業規則に定めたり,労使が協定することもできるとしています。
 さらに,就業規則の解雇・退職事由と同一基準であれば,これを継続雇用基準として規定することもできますが,これとは異なる基準を設けることは「法律の趣旨を没却するおそれがある」とされています。

(3)経過措置と基準の内容

 改正前の高齢法9条2項に基づき2013年3月31日までに,労使協定により継続雇用者の範囲を決めていた企業(事業主)については,年金受給開始年齢に到達した継続雇用者(今年度は61歳到達者)に対して引き続き継続基準を利用することができます。
 しかし,3月31日までに希望者全員を65歳まで雇用する制度をすでに導入していた企業は,この経過措置が利用できません。もちろん,新たに継続雇用者の範囲を限定する制度を導入することもできません。
 今年度以降の経過措置の適用対象者を表にすると,別表のようになります。左欄に掲げる適用期間の右欄が男性の老齢厚生年金の受給開始年齢となり,この年齢以上の者が基準の適用対象者となります(一部改正法附則3項)。

別表 経過措置の適用期間と対象年

適用期間 年齢
平成25年4月1日~平成28年3月31日まで 61歳
平成28年4月1日~平成31年3月31日まで 62歳
平成31年4月1日~平成34年3月31日まで 63歳
平成34年4月1日~平成37年3月31日まで 64歳

(4)労使協定の締結と継続雇用の基準

 労使協定は基本的に2013年の3月31日までの協定をそのまま利用できることとされています。しかし,前記のように,今後,厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引上げに応じて適用対象者が限定されていくことになるわけですが,厚労省は,これを明らかにするような内容に労使協定を改めることが望ましいとしています(高年齢者雇用安定法Q&A3―2)。
 また,協定に定めていたこれまでの継続雇用基準を変更し,新たな基準を定めることもできるとしていますが,その場合も「具体性・客観性」を備えた基準とすることが求められます(同Q&A3―5)。
 したがって,たとえ労使で十分に話し合った基準であっても,企業(事業主)の恣意性が反映される基準であったり,法改正の趣旨や他の労働関連法規または公序良俗に反する基準は認められません。

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