2013年 中高齢層(40〜65歳)の
賃金・処遇に関する調査[3]
高齢者の賃金


update:2014.01.28

この記事は「賃金事情」2013年9月20日号に掲載されました。

産労総合研究所では、これほど「2013年中高齢層(40~65歳)の賃金・処遇に関する調査」を行った。この調査結果について、2013年8月5・20日号で「262社の処遇実態一覧」を掲載した。今号では、60歳以上雇用者の賃金について掲載する。
2013年4月以降に60歳に到達する人は、60歳以降も公的年金を受給できない期間が生じる。これまで、多くの企業では、継続雇用者の賃金は公的給付の受給を前提として決められてきたが、今後は方針を転換せざる得ないであろう。そのようななか、今回の調査では、賃金の」決定方法についてたずねるとともに、60歳以上の雇用社に実際に支払われている賃金額についても回答をお願いした。本号で掲載するのは、この個人別の賃金額である。
前号までみてきたようで、60歳代前半層の賃金の決め方はさまざまである。このため、全員ほぼ同じ額が記入された企業がある一方、個人によりかなり幅のある賃金額を記入している企業もあった。それらの回答を平均してみると、所得内賃金は20万台が多く、年間賃金は300万円台が多い、という状況である。

 

調査要領

【調査名】 2013年中高齢層(40~65歳)の賃金・処遇に関する調査
【調査機関】産労総合研究所
【集計対象】当社会員企業,全国1・2部上場企業,および過去に
      「中高年層の処遇と出向・転籍等の実態に関する調査」
      「定年後の継続雇用制度の実態に関する調査」に回答のあった企業から任意に抽出した
      3,500社(各種団体を含む)。
【調査方法】2013年5月中旬に調査票を発送し,6月中旬までに回答のあった279社について集計。
      本調査では,回答いただいた各社に,60歳以上の社員の賃金について,
      標準的と思われる人を最大5人分記入し,各人について雇用形態,勤務形態,職種,
      および公的給付の受給の有無について選択してもらった。
      今号で紹介するのは,この調査回答のうち,フルタイム勤務者653人について集計したもの。

 

調査結果の概要

本号では,60歳以上の社員に実際に支給している賃金について,紹介する。表1―1~11―2はフルタイム勤務者について集計したもので,パートタイム勤務者の賃金については,各表の最下段に参考値として表示している。

◆所定内賃金は平均26.3万円

表1―1で,全体の平均値をみると,所定内賃金は26.3万円,年間賞与42.0万円,年間賃金357.5万円である。規模別にみると,小企業,大企業,中企業の順に高く,産業別にみると,製造業よりも非製造業のほうが高い。とくに,「鉱業・建築業等」は高めである。「建築職の確保に課題がある」と記入していた例もあり,60歳以降も専門職として活躍する場が多いことが影響していると思われる。
また,所定内賃金を雇用形態別にみると,正社員は30.6万円で嘱託は25.8万円である。

◆中位数でみると,23.0万円

全体について,賃金のばらつきをみたものが表1―2である。所定内賃金について,中位数(全データの真ん中の位置にある賃金データ)をみると,23.0万円である。平均値よりも低くなるのは,平均値は一部の高賃金のデータの影響を受けるためである。
第1四分位(下から数えて25% の位置にある賃金データ)と第3四分位(下から数えて75% の位置にある賃金データ)の間に,半数の賃金データがあることを示しており,20.0万円から27.4万円までの間に半数のデータがあることになる。図1は,産業別にばらつきをみたもの。第1四分位はどの産業も20万円程度であり,平均額の違いは,中位より高い賃金をもらう層の影響といえそうである。


◆「賞与あり」の年間賞与は67.3万円

表2―1~3―2は,賞与がある者とない者とにわけて集計した結果である。「賞与あり」の所定内賃金は,25.0万円,年間賞与は67.3万円で,年間賃金は367.0万円である。「賞与なし」の所定内賃金は28.5万円,年間賃金は341.6万円である。
今回の集計では「賞与なし」の場合のばらつきで,第1四分位に,「所定内賃金20万円,年間賃金240万円」のデータが並んだ。これは,「60歳以降は一律月額20万円の賃金」とする企業が複数あったことの影響である。
なお,表4―1以降について,「年間賞与」の欄は,「賞与ありの者」のみの集計値を掲載している。

◆正社員は,中位より上の者の賃金が高い

表4―1,4―2は,正社員について,表5―1,5―2は嘱託についてみたものである。正社員の所定内賃金は30.6万円,年間賃金は413.6万円で,それぞれ嘱託よりも4.8万円,62.6万円高い。ばらつきをみると,第1四分位,中位数については正社員と嘱託であまり差はないが,第3四分位が大きく異なる。正社員は,中位よりも上に位置する者の賃金が,嘱託よりも高いといえよう(図3)。

◆製造業は非製造業よりも職種による差が大きい

表6―1~7―2は,職種別の集計である。定年後の処遇については,とくにホワイトカラーの扱いが難しいと
言われることもあるが,ホワイトカラーとブルーカラーの所定内賃金の差は5.9万円,年間賃金の差は76.0万円である。製造業についてみると,ホワイトカラーとブルーカラーの差は非製造業よりも大きく,年間賃金で90.4万円の差である(図4)。

◆公的年金を受給していないと年間賃金464.7万円

表8―1~9―2は,公的年金の受給の有無別に賃金をみたものである。在職老齢年金の計算方法が異なる65歳以上を除いて集計した。
これによると,年間賃金は,公的年金を「受給していない」場合は464.7万円で,「受給している」場合は295.2万円であり,公的年金を受給している場合としてない場合で169.5万円の差があった。
なお,今回の調査結果によると,「在職老齢年金の受給を前提として賃金を設定している」企業は40.5%であった(参考図)。

◆雇用継続給付金を受給していないと年間賃金504.0万円

表10―1~11―2は,雇用保険の雇用継続給付の受給の有無別に賃金をみたものである。雇用継続給付金を受給していない場合は,年間賃金は500万円を超える。

なお,厚生労働省の「2012年賃金構造基本統計調査」の60~64歳の賃金について,本号の21~25頁に掲載している。あわせて,参考にしていただきたい。


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