2013年 中高齢層(40〜65歳)の
賃金・処遇に関する調査[1]
調査結果の概要と集計表


update:2014.01.28

この記事は「賃金事情」2013年8月5・20日号に掲載されました。

2013年4月から、改正高年齢者雇用安定法の施行により、希望者全員を65歳までの雇用することが義務づけられ、いよいよ本格的な65歳雇用時代がはじまった。
産労総合研究所では、このほど、「2013年中高齢層(40~65歳)の賃金・処遇に関する調査」を行った。これは、1990年代から、”60歳”への定年延長に伴う40~50歳代の処遇実態を明らかにすることを目的として実施されてきた「中高年層の処遇と活用に関する調査」と、2000年代に、60歳以降の継続雇用の義務化への対応を調べるために実施されてきた「定年後再雇用者の処遇調査」とあわせた内容のものである。
65歳雇用時代を迎え、年齢が上がれば賃金も上がり続けるような賃金制度は、もはや持続可能な制度とはいえない時代となった。そうであれば、賃金の決定方法や賃金水準をどのようにしていくのか。会社の成長のつながり、社員の納得を得られるあらたな仕組みとは、どのようなものなのか。
本調査結果は、今号で「(1)調査結果の概要と集計表」を掲載し、10月5日号までの4号を通じて、詳細な内容を紹介していく予定である(右欄参照)。
40歳~65歳までの賃金の実態を一気貫してみることで、今後の展望を考えるうえでのヒントを探していきたい。

 

調査要領

【調査名】 2013年中高齢層(40~65歳)の賃金・処遇に関する調査
【調査機関】産労総合研究所
【集計対象】当社会員企業,全国1・2部上場企業,および過去に
      「中高年層の処遇と出向・転籍等の実態に関する調査」
      「定年後の継続雇用制度の実態に関する調査」に回答のあった企業から任意に抽出した
      3,500社(各種団体を含む)。
【調査方法】2013年5月中旬に調査票を発送し,6月中旬までに回答のあった279社について集計。
      本調査では,回答いただいた各社に,60歳以上の社員の賃金について,
      標準的と思われる人を最大5人分記入し,各人について雇用形態,勤務形態,職種,
      および公的給付の受給の有無について選択してもらった。
      今号で紹介するのは,この調査回答のうち,フルタイム勤務者653人について集計したもの。

 

調査結果の概要

1980年代から1990年代にかけて行われた「55歳定年から60歳定年制への移行」は,多くの企業では,中高年層の賃金減額措置や役職定年,早期退職優遇制度など,年齢に着目した施策によって進められた。そして,2000年代に公的年金の受給開始年齢の引き上げにあわせて始まった定年後再雇用は,「賃金が高くなると,年金の受給額が減る」「60歳到達時点と比べて賃金が75%未満に低下すれば,雇用保険からの給付を受けられる」という公的給付の枠組みのもとで,低い賃金で高齢者を再雇用する仕組み,として運用されてきた。

今回の調査結果からは,40~50歳代での賃金減額措置は,多くのバリエーションを持った形での賃金カーブの修正として行われており,60歳以降は,一律に賃金を下げる企業が最も多いものの,個人の役割や評価に応じて賃金を設定しているケースも多い,といった状況がみえてきた。以下,1.定年の定めと法改正への対応,2.40~59歳の賃金・処遇,3.60歳代前半の賃金・処遇,の順に,集計結果をみていく。

1. 定年の定めと法改正への対応

◆約9割が60歳定年

まず,定年の定めについて聞いたところ,「全員一律に設定」が93.2%で,そのうち92.7%(全体の86.4%)は「60歳定年」で,5.0%(同4.7%)は「65歳定年」であった(表1-1,1-2)。「65歳定年」とする企業には,「今回の改正を受けて,制度を改正した」ところもあった。
「資格や役職で定年年齢が異なる」(5.0%)場合で,「最も多くの社員にあてはまる定年年齢」が「60歳」(10社)の場合を加えると,「60歳定年」は,全体の9割となる。
また,「資格や役職で定年年齢が異なる」の具体的内容は,「現場社員の一部は63歳」「最上級資格は63歳」「教員は68歳,職員は60歳」など,さまざまであった。「定年の定めはない」とする回答は,今回の調査ではなかった。

◆9割は嘱託・契約社員として雇用

60~65歳の社員について,最も多くの社員にあてはまる雇用形態をたずねたところ,約9割は「嘱託・契約社員として再雇用」で,約1割は「正社員」であった(表2-1)。契約期間については,「1年」とする企業が最も多く7割を超えたが,なかには「3~60カ月」と幅のある回答もあった。契約期間の分布状況は,表2-2のとおりで,多くの企業は,1年ごとの契約更新を65歳まで繰り返すパターンのようである。
また,再雇用者の呼び名について聞いたところ,「シニアスタッフ」「シニアパートナー」などがあり,「○○(個人名)さん,と呼ぶ」との回答もあった。

◆約半数は段階的に希望者全員を65歳まで雇用

今回の法改正を機に,制度変更を行ったかどうかを聞いたところ,「従来から希望者全員を65歳まで雇用しているため,制度改正の必要はない」が24.0%であり,法改正への対応を行ったところでは,「希望者全員を65歳まで雇用することにした」24.4%,「段階的に61~65歳に希望者全員雇用を適用していく」48.7%などであった(表3)。
また,今回の法改正では,再雇用先の範囲がグループ企業にまで拡大されているが,これに対応して「雇用先を拡大した」とする企業は6.1%であった(表4)。

2. 40~59歳の賃金・処遇

◆賃金カーブは「逓減型」が約3割

40~59歳の賃金カーブの修正について,図5で図示した賃金カーブのうち,最も多くの社員にあてはまるのはどれか,を答えてもらった結果が,表5-1である。
毎年の賃金上昇幅が少なくなる「逓減型」が31.5%で最も多く,次いで「延長型」「横ばい型」「減額型」であった。「年齢を基準にした賃金にはなっていない」といった理由から無回答とした企業は2.2%であった。
“60歳定年”が義務化されたときには,それ以前に定年年齢であった55歳で賃金水準を引き下げる企業が多くみられたが,今回の調査では「一括カット型」「一括カット後上昇型」をあわせて7.9%で,「減額型」まで含めると19.4%であった。
賃金カーブが屈折する年齢についてみると,全体の平均年齢は51.6歳であるが,賃金カーブの種類別にみると「一括カット型」「一括カット後上昇型」の場合は55歳とする企業が半数を占めた(表5-2)。
表5-1の賃金カーブの対象者についてきいたところ,「全社員が対象」は72.0%,「一部の社員が対象」18.3%などであった(表6)。「その他」の内容をみると「等級(役職)に応じて横ばいとなる。年齢は無関係」「評価結果による」「年齢ではなく,成果・報酬」などがあった。また,管理職とそれ以外の社員で賃金カーブは異なる,というケースも多くみられた。

◆賃金カーブの修正は,8割が基本的賃金で実施
賃金カーブを修正する際に,どの賃金項目で実施しているかを,複数回答で聞いたものが表7-1である。

「基本的賃金で実施」が81.1%であり,「賃上げで調整」18.4%,「諸手当で実施」9.0%,等となった。賃金カーブの種類別にみると,「逓減型」「横ばい型」の場合は,「賃上げで調整」がそれぞれ19.3%,25.4%とやや多めであり,「減額型」「一括カット(後上昇)型」では,「基本的賃金で実施」がほぼ100%である。「減額型」「一括カット(後上昇)型」では,「諸手当で調整」も2割超となっている。
賃金カーブが屈折する年齢で,資格等級を変更しているか否かを聞いたところ,78.1%は「変更しない」と回答した(表8)。「変更する」は14.4%で,具体的には「役職定年を適用」「専任職へ変更」「等級を下げる」「新たな資格を付与」などであった。その他としては,「等級は昇給停止により意味のないものになる」といった記入もみられた。

◆6割強は現行の賃金カーブを継続

賃金カーブの今後の予定を聞いたところ「現行の賃金カーブを継続」64.5%,「何らかの見直しを行う」16.8%であった(表9-1)。「その他」とした企業には,「年俸制のため関係ない」「本人評価および全体の人件費による」など,すでに年齢に基づかない制度となっているから,とするケースも多くみられた。
「延長型」以外の賃金カーブを選んだ企業で,「何らかの見直しを行う」と回答した企業に,どのような見直しを考えているか聞いたところ,「賃金カーブの低下幅を見直す」「賃金カーブの屈折する年齢を見直す」「年齢に基づかない新しい賃金制度を導入」がいずれも28.9%となった(表9-3)。見直しの方向としては,「低下幅を大きくする」「(賃金カーブが屈折する)年齢を早くする」が多い結果となった。

◆賞与・一時金の調整は6.5%

40~59歳の社員について,賞与・一時金の減額調整をしているかたずねたところ,「調整している」は6.5%であった(表10)。対象者は「55歳以降の管理職」「57歳以上」などの記入がみられた。なかには,年金受給に際して,60歳直前1年間の賞与額が在職老齢年金の計算に影響してくる点を考慮したケースもあったのではないか,と思われる。

◆役職定年は約3割,早期退職優遇は約2割が導入

40歳以上の社員を対象とした制度の導入率については,「役職定年制」29.4%,「早期退職優遇制度」19.0%,「転進・独立支援制度」4.3%,「出向・転籍制度」2.9%などであった(表11)。
当社が2009年に実施した「中高年層の処遇と出向・転籍等の実態」調査では,役職定年制の導入率は36.3%,早期退職優遇制度は18.7%(他に退職金制度で運用が2.5%)であり,役職定年制は減少,早期退職優遇制度は横ばい,という傾向となった。

◆キャリア研修・キャリア面談はまだ少数

また,今回の調査では,「40歳以上の社員を対象とした将来のキャリアを考えるための取組み」についても聞いた。65歳までの職業人生を考えた場合,40歳代などの早い時期に,自らの能力や経験等の棚卸を行い,その後の職業人生について改めて考える必要性も指摘されており,その対応をみたものである。
キャリア研修やカウンセリング・面談などを行っているかを聞いたところ,キャリア研修は16.1%,面談・カウンセリングは2.9%が「ある」と回答した(表12)。具体的には,これまでも多くの企業で行われてきた定年後のライフプランや退職準備についての研修のほか,「キャリアデザイン」「キャリアアップ」などをテーマとした研修が行われている企業も多くみられた。また,役職定年時に面談を行う,とするケースもあった。

◆進路選択のポイントとなる年齢は「40歳」が最多

また,キャリア意識に基づいた適切な進路選択のポイントとなる年齢をたずねたところ,「40歳」が最も多く27.6%,次いで「35歳」と「50歳」が17.9%であった(表13)。同じ質問を2009年の「中高年層の処遇と出向・転籍等の実態」調査でも行っており,それと比べたものが図6である。40歳が最も多いところは変わっていないが,今回の調査では30歳代をあげる割合が増えており,より若い時期にキャリア選択を行うべき,との考え方になってきているのではないかと思われる。

3. 60歳代前半の賃金・処遇

◆働き方は,「60歳前とおおむね同じ」が8割

まず,60歳代前半の社員のうち,多くの者にあてはまる働き方等についてたずねた。
仕事内容については「おおむね60歳前と同じ」が81.4%,「おおむね60歳前と異なる」が16.1%であった(表14)。業種別にみると,製造業よりも非製造業のほうが,「おおむね60歳前と異なる」とする傾向が高めであった。
また,労働時間等について聞いたところ,フルタイム勤務が92.7%で,パートタイム勤務は4.4%にとどまった(表15)。

◆「仕事内容」や「役割」で賃金を決定

60歳代前半の賃金の決定基準については,「仕事内容」52.6%,「役割」40.9%,「能力」38.7%,「責任の重さ」27.0%,「仕事の成果」18.6%,などであった(表16)。「基準はない」とする回答も22.3%あった。以下でみるように,定年前の賃金の一定率,あるいは全員一律の定額など,仕事や成果とは無関係に賃金が決められるケースも多いようである。

◆約3割はコース別の処遇

次に,60歳以降の肩書やコースについてたずねたところ,「全員一律」が65.7%,「いくつかのコースを設けている」27.7%であった(表17)。コース別とした企業の具体的な内容をみると,「事務・乗務・倉庫」「現職と変わらず・補助的業務・専門職」「シニアキャリア・シニアスタッフ・シニアサポート」などのコースを設けている例がみられた。また,定年前に管理職であったか一般職であったかにより,定年後の処遇が異なるケースも多くみられた。
なお,コース別の処遇を行っている場合のコースの数は,平均で2.8コースであった。

◆賃金は,一定率減額が約3割,一律定額が約2割

具体的な賃金の決め方については,「定年時賃金の一定率を減額する」28.8%,「一律に決めた定額制」18.6%,「コース別に定額または定年時賃金の一定率で定めている」16.8%,「個人ごとに異なる」34.7%となった(表18-1)。
「一定率を減額」する場合の平均減額率は,36.1%であった。ただし,その分布状況をみると,かなり幅広い分布であった(表18-2)。
「一律に決めた定額制」の平均額は,210,291円(月給の場合)で,20万円あるいは25万円とする企業が多数みられた(表18-3)。また,一律で「年収300万円」「時給1,200円」などの回答もみられた。
「コース別」の場合は,「特命職A:40万円,特命職B:33万円,一般職:20万円,サポート職:14万円」,「高度な知識技能が必要な職:定年時賃金の20%減,製造業務:時給900円」など,さまざまなケースがあった。
「個人による異なる」の具体的な内容は,「職務レベルにより,雇用契約を締結」「役割,貢献度による」「定年前の資格による」「60歳到達前3年間の考課による」などである。
60歳以降の社員の賃金は,全員20万円前後としている企業がある一方,60歳以降も仕事や評価により賃金は異なる,として10万円台~80万円以上など,幅広く分布している企業もある。企業によりさまざまな対応が行われている様子が窺える結果となった。

◆年金との調整は4割,やや減少傾向

これまで,60歳以降の賃金は公的年金や雇用継続基本給付金とをあわせて考えて,より多くの収入を得られるよう決定されてきた流れがある。しかし,この考え方については,今後は変えていかざるを得ない。2013年4月以降に60歳になる者(男性の場合)は,老齢厚生年金の受給開始年齢が報酬比例部分についても61歳以降となり,60歳で定年を迎えたあと,年金がまったく支給されない期間があることになったからである。60歳以上の社員の置かれた立場は変化してきたが,現状の賃金の決め方はどのようになっているのかたずねた結果が表19である。同じ内容の質問を「2010年度定年後の継続雇用制度等の実態」調査で行っており,その結果も掲載した。
「在職老齢年金と高年齢雇用継続給付金の両方を受給することを前提」が35.4%(2010年40.8%),「在職老齢年金の受給のみを前提」が5.1%(同2.4%)で,あわせて約4割は公的年金と調整していることになる。また,「高年齢雇用継続給付金の受給のみを前提」は12.0%(同8.0%),「公的給付金の受給は前提とせず独自に設定」は44.5%(同38.4%)である。
高年齢雇用継続給付金については,今後も制度が存続する予定であることから,「高年齢雇用継続給付金の受給のみを前提」とする割合は4ポイント増えた。また,「公的給付金の受給は前提とせず独自に設定」が6ポイントほど増える結果となった。
回答企業のなかには,「賃金と年金をあわせて,400万円の年収を維持するように賃金を設定」などの対応をしているところもみられた。しかし今後,公的年金の支給開始年齢はさらに引き上げられることになっており,60歳以降の収入は賃金のみ,というケースが普通になっていく。そのようななか,何を基準に60歳以上の社員の賃金を決めるのか,改めて問われることになるであろう。







◆60歳以降はベアなしが54.7%

「デフレ脱却」をめざす安倍政権のもと,賃上げへの期待も高まっている。そのようななか,もし今後ベースアップが実施されたなら,60歳以降の社員についてはどのような対応をとるか,聞いた(表20)。「ベースアップは実施しない」が54.7%であり,「特に決めていない」が31.8%となった。

◆賃金カーブは4分の3が「一括カット型」

さて,これまで賃金の決め方についてみてきたが,60歳(定年)前後の「賃金カーブ」について,図9を示しておおよその形を選択肢から選んでもらったところ,「一括カット型」が71.2%,「一括カット後上昇型」が4.0%で,およそ4社のうち3社は,定年を機に賃金を一気に下げている,という状況であった(表21-1)。規模別にみると,大企業では一気に下げるという割合は比較的少ない。
一括カットする場合の減額割合をみたものが表21-2である。31~50%の間に4割弱が集まっているが,なかには,71~80%と大幅なカットをしているとの回答もあった。「定年後は時給制で年収200万円以下となるケースが多い」といった状況のため,大幅な低下になるとのことであった。
図10は,40~59歳の賃金カーブと60歳前後の賃金カーブについてクロスでみたものである。59歳までは逓減型,定年後は一括カット型とするケースが最も多く,22.2%であった。

◆人事評価を「行っている」は53.3%

次に,60歳代前半層の社員について,人事評価を行っているかどうかを聞いたものが表22である。「行っている」53.3%,「行っていない」46.7%で,およそ半数ずつという結果であった。「行っている」場合の9割弱は「全員を対象」として行っている。
評価を行っている企業について,その評価内容を聞いたところ「成績・業績評価など業務達成度の評価」が84.2%,「取組み姿勢など情意評価」76.7%,「能力評価」55.5%であった(表23)。
評価結果を何に反映させるか,については「賞与・一時金に反映」58.2%,「月例賃金に反映」43.2%等であった(表24)。今回の調査票では選択肢にあげていなかったが,「その他」のなかに「契約更新の判断基準」とする回答が8社(5.5%),「退職時に支払われる退職金等に反映させる」とする回答が2社(1.4%)あった。

◆家族手当,住宅手当は「支給しない」が8割超

手当の支給状況について聞いたものが表25である。家族手当,住宅手当ともに「支給していない」が8割を超えた。当社の「モデル賃金調査」の付帯調査によると,「家族手当」は86.9%(2012年),「住宅手当」は59.4%(2010年)の企業が採用しており,60歳代社員の手当は抑制されている状況といえよう。

◆60歳代前半層社員の賞与は過半数が支給

60歳代前半層の社員について賞与を支給しているか否か聞いたところ,「支給している」56.6%,「支給していない」32.8%,「人によって異なる」10.2%となった(表26-1)。「人によって異なる」場合としては,年俸制を採用しており,本人の希望により一部を賞与として支給する場合がある,というケースも複数あった。
また,賞与の額については,「60歳前と同様の額を支給」が10.3%,「60歳前より定率減額」23.2%,「定額」21.9%であった(表26-2)。「その他」の具体的内容は,一覧表Ⅶのとおり。業績や人事評価により変動するケース,年俸制のほか,「酒肴料として3~5万円程度」とする回答もあった。

◆嘱託期間の退職金は,8割が支給しない

多くの企業では,60歳で定年を迎えた社員は,嘱託等でその後も働き続けることになるが,その場合の退職金の支払い時期については,「定年退職時に支給」が94.9%であった(表27)。
また,嘱託として勤務した期間については「退職金を支給しない」とする企業が84.3%であった(表28)。
厚生労働省では「70歳まで働ける企業」の普及・促進に向けた取組みを進めているが,65歳以降の雇用についてたずねたところ,「すでに制度がある」16.1%,「検討中」11.3%,「検討していない」71.5%となった(表29)。なかには,「制度はないが,実態として雇用している」とする企業もあった。

◆約3割は人事賃金制度の変更・修正を考えている

65歳までの雇用継続に向けて,今後5年程度の間に,人事賃金制度についての変更・修正を考えているかどうかを聞いたところ「考えている」29.6%,「考えていない」67.5%となった(表30)。「考えている」と回答した企業に,その内容についてたずねたところ,「賃金制度」が76.5%で最も多く,次いで「評価制度」33.3%,「肩書き・資格制度」16.0%であった。具体的には,「賃金カーブの修正」などをあげる企業が多く,職務内容,職種など,働き方に対応した賃金にしていきたい,とする企業が多くみられた。

◆課題は,高齢者への職務配分

最後に,60歳以降の雇用について,課題となっていることを選択肢から複数回答で選んでもらった(表31)。最も多かったのは,「職務配分」で60.9%,次いで「高年齢者の職場配置」46.7%,「高年齢者のモラール維持」41.2%,「人件費の増加」38.3%,「若年層の雇用やモラールへの影響」38.0%,と続いた。高齢者に,どこの職場で,どのような仕事をしてもらうか,という点に課題を抱える企業が多いようである。
企業規模別にみると,どの項目も大企業の割合が他に比べて高めである。60歳以上雇用については,大企業ほど多くの課題を抱えている,と認識しているようである。
また,評価の有無別に課題について集計してみたところ,違いがみられたのは「人件費の増加」と「高年齢者のモラール維持」である。「人件費の増加」については,評価を行っていない場合のほうが課題とする割合が高く,「高年齢者のモラール維持」については,評価を行っている場合のほうが課題とする割合が高かった。因果関係については不明であるが,高齢者の人事評価については,今後,十分に議論し検討していくことが必要であろう。

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